映画とライフデザイン

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まぼろし  シャーロット・ランプリング

2012-05-28 05:30:05 | 映画(フランス映画 )
映画「まぼろし」はイギリスの名優シャーロット・ランプリング主演2001年のシリアスドラマ
現代フランス映画の若き名匠フランソワ・オゾン監督の作品はブログで取り上げてきた。器用にもフランス語も巧みに話すシャーロットと監督の相性は抜群にいい。
夫が突然行方不明になった一人の女性の喪失感と、不在になった夫の幻影と言い寄ってくる男性の現実に彷徨う姿を描いている。


舞台はフランスだ。
南西部のリゾート地にある別荘に向かった主人公(シャーロット・ランプリング)は夫と2人で25年にも及ぶ夫婦生活をしていた。海辺に出てたたずんでいた時、ふと気がつくと夫がいない。探し回るがいない。あわてて海辺のレスキュー隊に捜索を頼むが、ヘリを使って捜索しても見つからなかった。
一人暮らしをするようになった彼女は大学で英文学を教えていた。彼女の気を紛らせるために友人たちが、彼女に男性を紹介しようとしたが、気乗りしない。彼女は家では夫の幻影と話をしていたのであった。前のように夫の面倒を見て、彼に洋服を買ってあげようとしていたのであった。
友人たちの紹介する男性の中で、一人主人公に強い好意を寄せる男性がいた。送る途中突発的に唇を奪われたが、彼女は避ける。謝る男性はあきらめず、彼女に接近していく。主人公もそのまま彼と会うようになってきたとき、家に警察から留守番電話が入っていた。夫らしき死体が発見されたという知らせだが。。。。

フランス映画らしく色彩が若干淡く映し出される。この辺りは原色を多く使うアメリカンラブストーリーの鮮明な美術とは違う。フランソワオゾン監督の作品は、「リッキー」「スイミングプール」「8人の女たち」それぞれ全く違うストーリーなのに流れている基調がいつも同じである。不思議だ。ストーリーの起承転結がはっきり分かれているので、わかりやすい。ゲイだと公言している彼が女性映画をとると天下一品なのはどうしてなのであろう。

自分が年をとったせいか、50代の女性を主人公としたこの映画にすんなりなじむようになってきた。この映画にシャーロット・ランプリングはまさに適役である。この映画で彼女は脱いでいる。この時55歳の彼女のヌードというと無理がある気がするが、50代の大人の恋話には必須の場面なのかもしれない。

長い彼女のキャリアで一番印象深いのはポールニューマン主演「評決」での謎の女の役である。

まだ若き彼女にポールニューマンがハマっていく姿が印象深い。インテリな雰囲気を醸し出している彼女が美しかった。その彼女が同じフランソワーズオゾン監督「スイミング・プール」で売れっ子作家の役をやった時同一人物には見えなかった。しかも彼女が最後脱ぐシーンを見て驚いた。「まぼろし」も大学教授の役だ。インテリ女性がセクシャルな違った一面を出すというパターンがうまい。


先日マーガレットサッチャーの伝記的映画を見た。あの映画で認知症になっているサッチャーが亡くなった夫の幻影と毎日会話をする場面がある。この映画も同様のパターンだ。この映画の主人公はけっしてボケているわけではない。25年連れ添って毎日会話をしていたのが突然いなくなった。それでもデイリーの動きは変わらないのである。ましてや子供がいない設定だ。こんな感じになるのは決して不自然ではないのかもしれない。

もう一つ印象的なシーンは、行方不明の夫の老いた母親と会話する場面だ。二人の会話で、生んだ自分の方が連れ添った妻よりも彼のことをよく知っているんだと言い張る場面がある。当然妻は長く連れ添った自分方が関係が深いと主張している。日本フランス世界どこへ行ってもこういう関係はどこも同じだなあと思った。


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