映画とライフデザイン

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映画「エマ、愛の罠」 マリアーナ·ディ·ジローラモ&パブロ・ラライン

2020-10-04 10:03:09 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「エマ、愛の罠」を映画館で観てきました。


「エマ 愛の罠」はチリ映画、予告編を映画館で観てラテン系独特の色彩感覚に触発され映画館に足を運んだ作品である。チリ映画といえば、2019年日本公開作品の中でもナチュラルウーマン(記事)にはその素晴らしい映像美に魅せられた。トランスジェンダーが題材とすると変な偏見を持ってしまうが、行ったことのないサンティエゴの街も美しく視覚的な快感を覚えた。アカデミー賞最優秀外国映画賞にも輝いている。エマの監督のパブロ・ララインは「ナチュラルウーマン」の制作にも名を連ねている。それ自体も見に行きたくなる要因であった。

映画は始まってすぐに、燃え上がる信号を映し出す。横には火炎放射器を持っている人の影が。


何これ?といった感じで始まる。派手な色彩の舞台が映り、異次元世界に入ったようなダンスを見せつけられる。やたらまくし立てる男女の言葉の内容はよくわからない。ダンスチームの中でもピカイチの美貌を持つ金髪のエマのパフォーマンスが普通じゃない。性的匂いをプンプンさせるダンスは超セクシーだ。ストーリーはぼんやりこういうことなんだろうなあといった感じでつかむ。地球の裏側にはこういう世界があるのかと感じさせるヴィヴィッドな映画だ。

気の利いたカフェバーで大画面でBGM的にみるのも悪くないのでは?


あえて作品情報のストーリーをそのまま引用する。その後に感じたままをネタバレ気味に追ってみる。

若く美しいダンサーのエマ(マリアーナ·ディ·ジローラモ)はある悲しい事件によって打ちのめされ、 振付師の夫ガストン(ガエル·ガルシア·ベルナル)との結婚生活が破綻してしまう。 家庭も仕事も失い、 絶望のどん底に突き落とされたエマは、 ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。 さらにラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、 彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。 3人の男女をことごとく手玉に取り、 妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。 その不可解なまでに奔放な行動の裏には、 ある驚くべき秘密が隠されていた……。(作品情報より引用)

⒈エマの大胆な行動力
エマが所属するダンスチームを指導しているのが夫のガストンだ。夫は不能で子供が生まれない。なので、小学生くらいの男の子ポロを養子にもらったが、ポロのいたずらでエマの姉がやけどする事件が起き施設に預かられ、結局ある夫婦のもとに預けられる。

エマは夫との離婚訴訟ということで、女性弁護士ラケルに相談に行く。金がないので弁護料はないとラケルにいい、打合せテーブルの上でダンスを踊りながら、他のことで埋め合わせをするという。実はラケルが預けられた先の妻だというのを確認しての行動だ。


その後、エマは火炎放射器でわざと自分のクルマを燃やして消防を呼ぶ。消防士はラケルの夫のアニバルだ。彼に接近するための口実だ。アニバルがバイトする店にダンサー仲間といったり、エマはじわりじわりとアニバルを誘惑していく。そして2人は体を合わせるようになるのだ。その上で、離婚するとは言え同じダンスチームのガストンにはつれなくしているが、他のチーム員がガストンに近づこうとすると思い出したかのように近づき抱き合う。

エマはラケルとレズビアンのような深い関係になり性的に満足させる。加えて夫のアニバルとも強く合体するのだ。その後、エマはある学校にダンスの教師として雇ってくれと頼み、校長に気に入られて採用される。その学校にはポロがいるのだ。授業で出会った時にポロを外に連れ出してしまう。そのあとは肝なので語らないが、女性であることを武器にしたこの大胆さと行動力には驚く。

⒉vividな色彩感覚と美しいバルパライソの街
予告編でスペインのペドロアルモドバル監督のような色彩感覚を感じたが、期待を裏切らなかった。金髪でどこか神秘的なムードもあるエマは美しい。ダンス仲間との行動はとても理性的には思えない。仕事以外でも、仲間たちとダンスしたり、性欲を発散するが如くに男だけでなく女性とも自由に交わる。


そういうエマを映し出す色彩設計は抜群だ。海辺の港町が舞台になり、ゆったりとした丘のような立地に建物が並んでいる。建物の外壁はカラフルで色鮮やかだ。メイン道路には路面電車が走り、ケーブルカーで高所へ登れる。いずれにもエマを放ち華麗な映像コンテをつくる。


夜の場面では、海から勾配のある坂のように成り立っている街の灯りがとてもきれいだ。こんなの見たことない。


これ、いったいどこ?って映画を観ているときずっと思っていた。チリの街バルパライソである。太平洋のはるか先にこんなに美しい街があったんだ。恥ずかしながら知らなかった。なんと世界遺産になっているという。日本でいうと、港を囲む街の地形は長崎に近く、路面電車やロープウェイで函館をイメージする部分もあるが、見た限りでは日本の両方の街を凌駕する。「ナチュラルウーマン」の時にサンディエゴの街の美しさに感嘆したが、それと同様の感動を得た。


地球の裏側のこれまで知らなかった素敵な港町で、日本人の既成概念とはほど遠い価値観を持つエマという女性を自由奔放にふるまわせた。その映像を見るだけで満足である。

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