映画とライフデザイン

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映画「パーフェクトケア」ロザムンド・パイク

2021-12-05 20:23:01 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「パーフェクトケア」を映画館で観てきました。


「パーフェクトケア」は映画ゴーンガールの悪女ぶりがお見事だった美人女優ロザムンドパイクが再度悪女を演じるという宣伝文句にすぐさまのってしまう。怖いもの見たさの心境だ。介護が絡むという文字は見えたが、事前情報は最小限レベルで観た。

これはおもしろかった
サスペンススリラー基調に加えて若干ブラックコメディの要素もある。若い人がデートで観るというよりも、介護する身内がいる方や、初老の域に入った人が観るには超おすすめである。でも、自分はこれを観て、身震いするような怖さも感じた。

数多くの老人の法定後見人として、財産管理というよりも養護施設に住む維持費という名目で勝手に所有建物や財産を売却したりする悪徳女性後見人の物語である。ロザムンドパイクは、狂気じみたゴーンガールでの悪女ぶりとは異なり、むしろ本当のインテリワルを演じる。アメリカじゃ本当にこんな感じで老人を食い物にする連中がいるのかと思うとショックを受けた。

実に薄気味悪い。日本は大丈夫なのかと感じながら映画を観ていた。最近雑誌などで老後特集記事が目立つが、その手の類に関心のある人は必見の映画である。このところ低予算映画ばかり観ていたので、いかにも典型的な現代アメリカ映画という感じだ。美術、衣装と編集、ポストプロダクションは完璧の映画を堪能した。

法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすることが仕事だ。医師や高級老人ホームと結託し多くの高齢者たちから資産をむしり取る悪徳後見人である。パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)とともに新たに獲物を狙っている。

今回、馴染みの女医から認知症の気が少し出てきたと紹介された老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)は長期に渡って金融機関に勤めていた独身で、これまで結婚歴もなく身寄りはいない。多額の預金があり、一戸建住宅はキャッシュで建てている。狙い打ちをかけて裁判所で認知症が急激に進んだと医師が証言して、マーラが後見人と認められる。


マーラがジェニファーの自宅を訪問し、裁判所で認定されたことを伝えても、自分は一人で十分生活と言い切る。それでも、家の外に警官もいて車に乗せられ行った先は高級老人ホームで、一旦入所すると出入り不可能で所有の携帯も取り上げられたのであるが。。。

⒈後見人としての認定
映画が始まりいきなり、高級老人ホームに母親に会わせてくれという息子が無理やり入り込もうとする映像が映る。プロレスラーのような警備員にガードされ入れないのだ。この息子にはもう権利がない。気がつくと、裁判所で後見人と認定された主人公に権利がすべて行っているのだ。

それにしても、本人が立ち会わず、医師の診断と証言だけで裁判所が後見人として認めてしまうこの話は実にショックだ。こんなこと認められるんだと呆れるばかりである。しかも、そのあとは、家中の持ち物をオークションにかけ、貸金庫のカギを見つけると金庫を荒らし放題である。家も売り物にされる。

本当にこんなんでいいの?と思ってしまう。この映画をきっかけに日本で後見人と称したワルが増えないか心配である。

⒉ロザムンドパイク
ロザムンドパイクはオックスフォード大学出の才媛である。それこそ先日久々観たハルベリーと007のボンドガールをやったのがメジャーデビューである。ただ、映画界に存在感を示したのはゴーンガールであろう。普通の奥さんが狂気じみた悪女に変貌する姿には驚いた。傑作である。


でも、そのあといくつか出演しているが、「エンテベ空港7日間」は死んでしまうテロリスト役で実力からするとちょっともったいなかった。やはり今回のような悪女役が似合う。水中でのシーンとか割とむずかしい演技を必要とされるシーンもあり、かなり頑張った。

⒊ダイアンウィースト
後見人に食い物にされる老女を演じる。ダイアンウィースト出演の映画にはハズレがない。ブログ記事でそう書いたことがある。今回出会うのは久しぶりだ。履歴を見ると、クリントイーストウッドの「運び屋」に出演している。すっかり脳裏に記憶がない。その昔の「チャンス」や「ブロードウェイと銃弾」の印象が強い。最初はアネットべニングが老化粧をしているかに見えた。


わりとほんわかしたタッチのいでたちで今回も巧みにこなす。後見人ロザムンドパイクに引きつられ、所員の大歓迎を受けて老人ホームに入るシーンが印象的だ。その後、裏社会とのつながりがあることがわかる場面での表情の変化もうまい。若い頃はウディアレン映画の常連だったけど、最近はちょっとウディは評判悪いからなあ。

⒋全部うまくはいかない。
最初は軽妙に悪徳後見人を演じていたロザムンドパイクも予期せぬ背後に調子が狂う。それでも「私には負けはないの」と強気だ。このようにストーリーにアップダウンの変化をつける。詐欺映画からサスペンスに転化して、裏社会の親玉の小人(ピーター・ディンクレイジ)も出てくると、コメディの匂いさえ出てくる。なかなか巧妙だ。


ただ、最後はゴールデンエイジの頃のアメリカ映画の終わりかたにまとめたのはどうしてなのか?


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