映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「フェアウェル」オークワフィナ

2020-10-07 22:54:15 | 映画(アジア)
映画「フェアウェル」を映画館で観てきました。


映画「フェアウェル」は比較的評価も高く、主演の中国系アメリカ人オークワフィナゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞している。余命短いと宣告受けた中国に住む祖母の元に、帰国する家族が祖母に病気が深刻だとわからないように右往左往する話である。

期待して見に行ったが、完全外された。たまにはこういうこともあるのであろう。2019年の最高傑作とまでいう人がいると目にして、なんで評価が高いのか理解できなかった。オークワフィナが特別な演技をしているようにも思えない。不治の病気を告知するかしないかという題材はたまに見るが、ストーリーの展開にサプライズも感激も涙も何もない。通常こういうのはブログアップしないが、たまには追ってみる。

6歳の時に中国からアメリカに移住して25年になるビリー(オークワフィナ)は、父ハイヤン(ツィ・マーガン)と母ルー(ダイアン・リー)から祖母ナイナイ(チャオ・シュウチェン)が肺がんで余命3ヶ月と宣告されると聞く。父母は病のことを本人に悟られないように、ビリーのいとこの結婚式を口実に中国長春へ帰郷する。ビリーはすぐしゃべってしまうとニューヨークに残されたが、いたたまれなくなり追いかけて中国に向かう。


ビリーは真実を伝えるべきだと集まった親類に訴えると、中国では不治の病は告げずに見送るべきだと親戚中から反対される。病状はまったく楽観できないのにナイナイは元気に結婚式の準備を仕切っている。うまくいかない人生に悩んでいたビリーは、逆にナイナイから生きる力を受け取っていく。そして結婚式を迎えるのであるが。。。

1.2人のいやな女ビリーと祖母ナイナイ
ビリーはNYで親元を離れて一人暮らしをしている。雰囲気は「魔法使いサリー」のよしこちゃんみたい。幼いときに両親と中国から移民で米国に来た。グッゲンハイム美術館の学術員に応募したが、不合格通知が来ている。自立心が高いのはいいが、家賃は滞納して家主から文句を言われている。父親からお金援助してあげるか?といわれても大丈夫と突っ張る。素直さに欠ける。

金がないくせにクレジットカードで中国に渡航する。しかも、長春への渡航便ってそうはないから旅費は高いんじゃないかな。たぶん払えない気がするんだけど。ブラックリスト行きか。これってルル・ワン監督自らを描いたモノなんだろうけど、いやな女だ。

祖母ナイナイの自室には人民服を着た姿での夫とのツーショットの写真がある。あの文化大革命をよく乗り越えてきたものだ。長春は旧満州の新京であったが、そのころからいたわけではないだろう。長男は日本に、次男がニューヨークと2人とも外国へ行ってしまった。主人を天国に見送り、1人で暮らしている。太極拳を毎朝気合いを入れてやっている。

強烈な仕切り屋だ。孫の結婚式の料理や記念写真にまで口を出し、ロブスターかカニかで式場の担当者と渡り合う。出しゃばり女だ。孫が結婚するのはアイコという日本人で中国語がわからないと思って陰口をたたく。いやな女だ。風邪をこじらせたと病院へ行っているが、付き添いの妹には医師は余命3ヶ月といっている。咳がはげしい。自分も上司を2人肺がんで亡くしたが、死ぬ前は咳が出ていたなあ。


いやな女が2人いるだけで感情流入がしずらくなる。
でも、逆にナイナイの息子2人はまともだ。2人とも性格がいい。女流監督にありがちだが、女のいやなところをこれでもかとばかりに表現する。まさにこの映画そうだよね。逆に父親にはやさしい想い出しかないせいか、それが映像化される。皮肉だね。


2.中国の発展と日本の左翼系文化大革命絶賛人
いろんな中国映画を観てきて、極端な田舎じゃなければなにかしら街に特徴があってどこか想像できる。でもずっとこの中国のまちどこなのか?と思っていた。ようやくわかったのが、結婚式のシーンで、長春の名前が出てくる。まともな日本人ならすぐさま満州国の首都新京だとわかるであろう。日本は戦前旧満州に近代国家を作る名目で格調ある建造物を建ててきた。それは映っていないし、超高層の建物が建て並ぶ近代都市なので驚いた。生活水準も高そうだ。


中国は景気がいいというセリフもでているし、ホテルでビリーがある部屋を一瞥すると、商売女らしい美女を横に侍らせて麻雀をやっているシーンが出てくる。しかも、ビリーのいとこが結婚するのがアイコという日本人なのはビックリだ。でも日本に対するいやな表現はまったくない。

米中の対立はちょっと米国がやりすぎという印象を自由貿易主義者の自分は持つ。ある意味中国がものすごいスピードで発展するのが怖いのだ。よくぞここまで眠れる獅子が目を覚ましたのかと思う。中国自体は文化大革命で30年以上発展が遅れた。日本の知識人には文化大革命を支持した人が多い。

A新聞の連中もその片棒をかつぐ。文化大革命に批判的だった東京外語大の中嶋嶺雄のようなまともな中国研究者がいたと思えば、早大教授安藤彦太郎や新島淳良のように学園紛争を支持してどうにも手のつけられない文革信者の連中もいるし、小島麗逸のように自己批判して転向した人もいる。この現代中国人の充実した生活をみてどう捉えるのであろうか?これでも農村からの革命と言うのであろうか?日本の左翼系知識人および学生運動にかまけていたクズ連中は本当に困ったものだ。

最後のワンシーンはよくわからない。これってシャレ?どう受け取ればいいのかしら?

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