「母べい」は黒澤明作品のスクリプター(記録係)であった野上照代の自伝的小説『父へのレクイエム』を、山田洋次監督が吉永小百合を主演に迎えて映画化したヒューマン・ドラマである。突然夫が治安維持法で投獄される苦境の中、気高き信念を失わず、残された2人の娘を守るため懸命に戦中戦後を生きた一人の女性の姿を描く。
昭和15年の東京。主人公「母べい」こと吉永小百合は、文筆家で大学のドイツ文学の教員だった夫こと坂東三津五郎と2人の娘と共に暮らしていたが、家賃の支払いも滞り生活に窮していた。その上、戦時中の言論統制で夫の著述物の出版もなかなかされなかった。そんなとき、夫の著述が治安維持法に抵触すると、特高に逮捕されてしまった。不安と悲しみを募らせる母と娘たちだった。夫のかつての教え子こと浅野忠信や夫の妹檀れい、型破りな叔父こと鶴べいらが一家のもとに駆けつけ、吉永と娘たちを優しく親身に支えていくが。。。。
比較的思想の要素が強くなる作品である。戦前行き過ぎた言論統制があったのは、事実であるが、ちょっと批判表現がきつい気がする。大げさだと思う。脚本に左翼思想の偏りが強いので、喜劇的リズムが若干あるにもかかわらず、物足りない作品となった。
ここ数作、時代劇を撮ったりして思想の色合いが薄らぎ、傑作を連発した山田洋次監督作品だが、これはちょっといただけない。この直後の「おとうと」で思想がフラットになっているので良いけれど。。
個人的に見どころと思ったのは、おぼれている浅野忠信を吉永小百合が泳いで助けに行く場面だ。彼女は65にもなろうとするが、相変わらず水泳で鍛えているらしい。実際に泳ぐところを目にすると、一種の妖怪のようにも見えてくる。美貌衰えず本当に驚異だ。
昭和15年の東京。主人公「母べい」こと吉永小百合は、文筆家で大学のドイツ文学の教員だった夫こと坂東三津五郎と2人の娘と共に暮らしていたが、家賃の支払いも滞り生活に窮していた。その上、戦時中の言論統制で夫の著述物の出版もなかなかされなかった。そんなとき、夫の著述が治安維持法に抵触すると、特高に逮捕されてしまった。不安と悲しみを募らせる母と娘たちだった。夫のかつての教え子こと浅野忠信や夫の妹檀れい、型破りな叔父こと鶴べいらが一家のもとに駆けつけ、吉永と娘たちを優しく親身に支えていくが。。。。
比較的思想の要素が強くなる作品である。戦前行き過ぎた言論統制があったのは、事実であるが、ちょっと批判表現がきつい気がする。大げさだと思う。脚本に左翼思想の偏りが強いので、喜劇的リズムが若干あるにもかかわらず、物足りない作品となった。
ここ数作、時代劇を撮ったりして思想の色合いが薄らぎ、傑作を連発した山田洋次監督作品だが、これはちょっといただけない。この直後の「おとうと」で思想がフラットになっているので良いけれど。。
個人的に見どころと思ったのは、おぼれている浅野忠信を吉永小百合が泳いで助けに行く場面だ。彼女は65にもなろうとするが、相変わらず水泳で鍛えているらしい。実際に泳ぐところを目にすると、一種の妖怪のようにも見えてくる。美貌衰えず本当に驚異だ。