映画とライフデザイン

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映画「ルイス・ウェイン」 ベネディクト・カンバーバッチ

2022-12-04 19:04:28 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ルイス・ウェイン」を映画館で観てきました。


映画「ルイスウェイン」は怪優ベネディクトカンバーバッチが猫の絵を描いて有名だったルイスウェインを演じる新作である。日本育ちのウィルシャープがメガホンを持つ。映画ポスターが猫だらけでイメージが良くない。どうしようかと思ったが、クーリエなどと同様のベネディクトカンバーバッチのドラマ作品だけに見逃せない。映画館に向かう。

ルイスウェイン(ベネディクトカンバーバッチ)は英国の上流階級に生まれた変人だ。当時は虐げられていた存在だった猫の絵を描き名を成す。妹の住み込みの家庭教師できたエミリー(クレア・フォイ)と身分の違いを乗り越えて結婚する。ところが、エミリーは乳がんで早々に亡くなる。その後、猫の絵が大人気となったにも関わらず、絵の版権がなく大勢の女家族を養うために金欠状態が続き、気がつくと妄想癖で精神の安定を崩すという生涯を描く話だ。


思ったよりも良かった。
イミグレーションゲームのように精神を病む天才を演じると天下一品のベネディクトカンバーバッチの安定感が際立つ。ポスターなどで、ひたすら猫が強調されているのはちょっとやり過ぎかもしれない。時代は1880年代から1920年代までさかのぼる。セットもあるだろうが、英国には当時のチューダー調の建物がそのまま数多く残っているのだろう。英国の階級社会を描くにも、バックがきちんと描かれているとリアリティがある。

ルイスウェインとエミリーの不器用な恋は好感が持てる。もともとは理系学問好きの電気オタクで、浮世離れしている男だったのに、エミリーに一目惚れして一気に近づいていく。家庭を支えているのは母親でなく長姉キャロライン(アンドレア・ライズボロー)がすべて仕切っている。周囲から住み込みの家庭教師に狂うルイスのうわさをされて、家族や周囲は反対するが結婚を押し切る。階級社会のギャップを強調するわりには、彼女も高貴な家の家庭教師になる訳で、そんなに下級でもないだろうと思うがどうだろう。


でもこの物語は2人の恋物語が占めるウェイトは小さい。どちらかというと、金銭感覚がないルイスウェインのダメ男ぶりが繰り返し言及される。ギャラの交渉なんてことは出来なかったはずだ。映画でいうように人気画家になったなら、もっと儲けてもいいはずだ。お坊ちゃんだから仕方ない。同時にルイスだけでなく家族が精神を病んだりして、不運な環境にあったことが強調される。エミリーが生きていれば、もっと金を残せたんだろうなあ。


原題は「THE ELECTRICAL LIFE OF LOUIS WAIN」である。日本語解説は猫尽くしだけど、この「電気」というキーワードがあることが重要だと思う。電灯に時代が変わっていく時代を象徴するシーンとセリフが多いのに猫だらけの作品情報の解説はちょっとどうかと感じる。

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