映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ジャージーボーイズ」 クリントイーストウッド

2014-09-28 16:07:47 | クリントイーストウッド
映画「ジャージーボーイズ」を映画館で見てきました。
これは最高!今年一番の興奮でした。84歳のイーストウッド本当にごくろうさまでした。



世に出るにはギャングになるか、スターになるか、軍隊に入るしかない。そんなことを言う不良少年たちがスターになるためフォーシーズンズを誕生させる。全米ヒットチャート1位の絶頂期を経て身から出たサビで衰退する話を中心に4人が90年にロック殿堂入りをする場面までを描く。
アメリカでコケたというコメントも見られるが、実際米国内の興行収入は「インビクタス」以降「人生の特等席」までの各作品よりは上だ。(Box Office Mojo調べ)別にこけてはいないし、これから海外で荒稼ぎだ。評論家筋の印象が悪かっただけなのかもしれない。
実際日本では高評価のようだ。芝山幹郎は自分がもっとも信頼する映画評論家であるが、彼も評者の1人である「週刊文春」のシネマチャートの点数が25点満点中24点、ここまでの高評価は「ジャンゴ」以来久しぶりだ。

オールディーズポップス好きの自分からすると、絶対に好きなタイプの映画と思っていたが、その盛り上がりは想像以上だ。名曲「君の瞳に恋してる」の誕生秘話が語られて、リードボーカル・フランキー・ヴァリが失意の中立ち上がろうとする場面には目がうるるとなってしまった。この曲は日本人好みで、カバー曲がCMや劇中などあるゆる場面でかかっている。でもこれ自体がもともとフォーシーズンズのヴォーカルが歌う曲と知っている人は少ない。その他の曲についても、これもそうだったのか?!と思う人が多いだろう。そういった意味でもよかった。

ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたイタリア移民の息子フランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)は理髪店の見習いである。トミー・デヴィート(ビンセント・ピアッツァ)ニック・マッシ(マイケル・ロメンダ)と組んで窃盗などの悪さをはたらいている。トミーが組んでいるバンドにフランキーが歌い手として参加すると、そのファルセットヴォイスが受ける。非行少年のトミーは刑務所に入ったりするが、マフィアのボス(クリストファー・ウォーケン)もフランキーを気にいり、上向きにキャリアを重ねていく。


そして作曲も手がけるボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)と出会う。彼らはちょっとした思いつきでフォー・シーズンズというバンド名を付ける。そしてボブがつくった『シェリー』が大ヒットして全米ヒットチャート1位に輝く。『恋のヤセがまん(Big Girls Don't Cry )』、『恋のハリキリ・ボーイ(Walk Like a Man )』とヒット曲が続き、一気に人気スターとなる。

その一方でコンサートツアー続きで家を留守がちになり、メンバーの家庭は崩壊する。トミーは借金がかさみ、借金取りがテレビ局まで押し掛けてくるようになる。バンドのリーダーの金遣いが荒いためにメンバーに波風が立ちはじめるが。。。


正直イーストウッドらしいかと言えば、そうではない。
でも84歳にしてこの映画のメガホンをとるイーストウッドの執念みたいなものを感じた。音楽好きのイーストウッドはミュージシャン主役の映画を何度も作ってきた。これは彼の音楽映画としての集大成ではないか。ミュージカルの締めらしいエンディングは見ていてわくわくする。
1.君の瞳に恋してる(Can't take my eyes off you)
今でも生バンド演奏でオールディーズや昔のディスコミュージックを主体に演奏する「ケントス」のようなライブハウスではよくかかる。しかも、この曲が一番盛り上がる場面にかかる。我々も若い美人女子社員をつれて「ケントス」にいくが、彼女たちもこの曲のことはよく知っている。転調して一気に盛り上げるときには、手をたたきながら大はしゃぎする。クラブでもかかるのかな?

80年代前半のディスコで「ボーイズタウンギャング:Boys Town Gang」のカバー曲がはやりまくった。今40代半ばから50代後半にかけての中年遊び人なら誰もが知っているバージョンだ。



どちらかといえばボーイズタウンギャングの曲だと思っている人がほとんどかもしれない。このディスコ調のアレンジは今もってディスコミュージックの古典である。
「恋のサバイバル」のグロリアゲイナー版もいい。映画ではミシェルファイファー「恋のゆくえ」で彼女自ら歌ったのが素敵だ。日本ではミーシャがコンサートで歌っているのが一番いいかもしれない。
ともかくみんなに好かれている名曲で日本人が好む曲だけに中年男女はとっつきやすかっただろう。



2.シェリー
どんなにフランキーヴァリのファルセットヴォイスが良くても、ボブ・ゴーディオがいなかったらフォーシーズンズはこれほどまでにならなかったし、「シェリー」のヒットは存在しなかっただろう。それがこの映画をみるとよくわかる。オールディーズには欠かせない曲である。「ケントス」ではこの次のヒット曲「恋のやせがまん Big Girls Don't Cry 」もよくかかるよね。「悲しきラグ・ドール」はある時期までビーチボーイズの曲だと思っていた。「バイ・バイ・ベイビー」ベイシティーローラーズのリバイバルがすごいはやっていたので、これもフォーシーズンズと思っていなかった。
(悲しきラグドールとバイバイベイビーを演奏するフォーシーズンズ)



こんな感じで、この映画見てこの曲フォーシーズンズだったの?と自分と同じような感想を持つ人多いんじゃなかろうか?CMとかで曲が採用されることも多いからボブ・ゴーディオは印税で一生金に困らないだろうなあ




3.クリストファーウォーケン
この映画で一番名の売れている俳優は彼だろう。マフィアとはっきりとセリフには出ていないが、ニュージャージーの顔役ということはすぐわかる。この手のヤクザ顔がうまくなってきた。イーストウッドはその役にあった俳優に直接電話してくどくという。クリストファーにもたぶん電話が来たのであろう。


「ディアハンター」におけるロシアンルーレットのシーンは一度見てしまうと目について離れないシーンである。本当に薄気味悪いシーンだった。あれから36年たって現役でがんばっているのは称賛に値する。そういえば「ディアハンター」の前半、結婚式でメリルストリープやロバートデニーロが大はしゃぎする場面で「君の瞳は恋してる」流れているんだよね。
フィナーレで他の俳優と一緒に彼も登場するときは思わず吹き出してしまう。

4.ジョーぺシ
売れない時期のマネジャーをジョーぺシがやっていたというのはビックリだ。しかも、この映画でトミーが没落する姿が語られるが、なんとそののちジョーぺシの世話役をトミーがやるようになったと言っている。ビックリだ。


ジョーぺシと言えば、ロバートデニーロとマーチンスコセッシ監督コンビの初期の傑作「レイジングブル」での怪演が印象深い。「グッドフェローズ」「いとこのビニー」も大好きだ。アメリカ映画ではまれにみるチビなのに大暴れをする。

白黒のテレビが出てきて、若き日のクリントイーストウッドが画面の中に映るのはカメオ主演のようなものだ。でもこの作品は何だろう?テレビだから「ローハイド」なのかな?

まだまだやってほしい!と思って数年たつ。
高倉健と同じ年のクリントイーストウッドは永遠に不滅であってほしい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする