映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「鑑定人と顔のない依頼人」 ジェフリーラッシュ

2014-09-30 05:27:43 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「鑑定人と顔のない依頼人」は2013年日本公開のイタリア映画だ。


「ニューシネマパラダイス」「マレーナ」のジュゼッペ・トルナトーレが監督で、映画音楽は監督の名コンビ巨匠エンリコモリコーネである。それこそクリントイーストウッドの出世作「夕陽のガンマン」「荒野の用心棒」の音楽担当だ。

イタリア映画といっても、交わされる言葉はほとんど英語である。鑑定人に名優ジェフリーラッシュが扮し、その悪さ仲間がドナルド・サザーランドである。

一流鑑定士がある女性から鑑定依頼をうける。最初は相手にしなかったのに、姿を見せない依頼人に関心を持ち深みに入っていく。依頼人が美人と判明し、それまで独身を通していた主人公の動きがかわる。いったいこの依頼は何なのか?
序盤戦から依頼人が姿を表わすまでは普通の展開だったが、終盤にかけて妙に動きが速くなりスピードアップする。すると、想像もしなかった展開に変わっていく。

ヴァージル・オールドマン(ジェフリーラッシュ)は天才的鑑定眼をもち、あるゆる美術品の価値を一瞬にして判断することができる一流鑑定士だ。オークショニアとして値の張る美術品オークションをリードする立場にあった。しかし、相棒(ドナルド・サザーランド)と悪さをしている。これは贋絵画と偽って、相棒に安く入札させる。ヴァージルは極度の潔癖症で、極め付けに芸術品の中の女性しか愛することができないという人物だ。


そんな主人公にある鑑定依頼がくる。それは、若い女性からの資産家の両親が亡くなり、屋敷に遺された絵画や家具を査定してほしいという依頼だった。忙しい鑑定人は相手にしていなかった。しつこいので、とりあえずお屋敷へ向かう。ところが、依頼人は姿を現さない。ヴァージルは不信感を抱くも、それが本物なら歴史的発見となる、ある美術品のパーツを見つける。


ヴァージルは彼女が屋敷で暮らしていることを突き止める。彼女と壁ごしのやり取りを重ねる。
会話を交わした後、帰ると言って入口のドアを閉め、その隙に屋敷の中に残る。そこでヴァージルは、こっそり依頼人の姿を覗き見ると、美しい女性だった。徐々に魅かれていく。この奇妙な鑑定依頼の本当の目的とは何か?

1.ジェフリーラッシュ
「シャイン」のピアニスト役が絶品だけど、「英国王のスピーチ」のドモリ矯正士も実にうまい。「英国王」ではアカデミー賞の助演男優賞もらってもおかしくないと感じていた。オーストラリア出身だけど、イントネーションが英国系で聴きとりやすい英語を話す。自分にとってはわかりやすい。この映画の鑑定人は、何でそれまで独身だったのか?別に男色の趣味があるわけではない。それが若い依頼人に徐々に心ときめかす。その老いた男の恋愛を実にうまく演じている。落胆した姿も非常に味がある。あんなことになったら具合も悪くなるよなあ

2.謎の依頼人
最初依頼人は姿を見せない。執事が取り仕切っている。大けがでもして顔を損傷しているような人なんだろうか?と思ってしまう。あえてそうしたと思うが、謎に包まれた時間が続く。そうした後で主人公が賭けに出る。わからないようにしてこっそり部屋に残るのだ。そこで初めて姿を見ることができる。美女のようだ。
隠れていたが、依頼人にばれてしまう。彼女はあわているが、説得して平穏な状態となる。それからはひきこもり状態の彼女に対して、男性の保護本能が目覚めてくる。依頼人の世話をするようになっていくのだ。


3.意外性のある展開
この映画のラスト30分はよめない。ミステリーとしては実にうまい。
謎の依頼人が顔を見せ、鑑定人が恋していく。依頼人もそれにこたえる。恋愛モノなのかと自分を錯覚させる。ところがそう簡単には終わらない。イタリアの超一流監督がつくるんだからそんな陳腐な映画ではない。
それまで出演してきた脇役たちが一気にからんでくる。それも見せかけは2人に干渉しているようにはみえない。
2人は愛し合うようになり、絵画に描かれる女性しか愛せない男に隙が生まれる。
そして唖然とするシーンにつながっていく。

結局は「スティング」を思わせるドンデン返しだった。
それでも主人公はある人物をかばう。そこが監督のいいたいことだったのであろう。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする