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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「私の男」 二階堂ふみ

2014-06-18 16:55:06 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「私の男」は待ちに待った二階堂ふみ主演作品。早速映画館で見てきました。
二階堂ふみにとっては「ほとりの朔子」に続く主演作品。今回は桜庭一樹の直木賞作品を映画化した。流氷をバックにした北海道の冬景色のもとで、禁断の恋に落ちていく2人の姿を描く。原作の時系列を逆転した脚本、北海道の流氷を美しく映しだした撮影、ジーンと心に響く音楽、二階堂ふみと浅野忠信の演技いずれも高い水準の映画である。ネタばれありで語りたい。

ここでは二階堂ふみが七変化を見せる。
北海道の田舎で、どんくさい高校生を演じていたと思いきや、浅野忠信と強烈な濡れ場を演じる。東京に移った後、派遣の受付役で化粧をした顔は美形だ。高級レストランで父親と面と向き合い、足で挑発する色っぽい姿も印象に残る。
ヒミズ」、「脳男と一作ごとに凄味が増している。

あと素晴らしいのがジム・オルークの音楽である。映画全般にどんよりしたムードが走る中、静かに流れる音楽が映像にぴったりとなじんでいる。「春を背負って」で池辺の音楽が全く合っていないのと好対照である。

北海道に大地震が起き、奥尻島の島一帯が津波にさらわれた。その時10歳の女の子花が家族と離ればなれになり1人取り残される。その花を遠い親戚で1人暮らしている淳悟(浅野忠信)が引き取る。

数年後海上保安庁に勤める淳悟と高校生になった花(二階堂ふみ)の2人は紋別の町でひっそりと暮らしていた。淳悟には小町(河井青葉)という銀行に勤める美しい恋人がいた。小町は淳悟に別の女の気配を感じるが、それが一緒に暮らす花のことと気づく。高校生の花と淳悟がただならぬ関係になっていたのだ。

遠縁にあたる大塩(藤竜也)は花が引き取られるときから面倒を見てきた。2人の間によからぬ気配を感じて、花を親戚の所へ預けようと企んだ。それを拒否する花は大塩を流氷の海に誘い出す。大塩がのった氷は流され凍死してしまう。
やがて2人は東京に向かう。淳悟はタクシーの運転手をしながら、高校生の花と暮らしている。そこに北海道から刑事(モロ師岡)が訪ねてくるのであるが。。。

印象に残るシーンが数多い。ここでは3つ取り上げる。ネタばれ要注意

1.流氷の海を追いかける藤竜也と二階堂ふみ
海上保安庁の巡視船にのっている淳悟は10日程度遠出している。そのときに藤竜也演じる大塩が、2人のよからぬ関係を知りしつこく花に親戚の家へ移れと迫る。いやがる花は流氷の海に逃げる。ひたすら花はつらなる流氷の間を走り抜けていく。大塩が追い続ける。
やがて、大塩がうっかり離れた流氷の上にのってしまう。そのまま氷はオホーツクの沖合へ流されていく。
助けてくれと叫ぶ大塩
大塩は凍死した。淳伍と花は葬儀に出席するが、その後この町を離れる。
こんな流氷の冬景色をバックに撮った映画ってあるだろうか?藤竜也が氷に取り残されたシーンは、実際に彼をどうやって助けたのかな?とこっちまで心配になる。

先週の週刊文春に二階堂ふみと阿川佐和子の対談記事があった。
そこに藤竜也の二階堂評が掲載されていた。引用する。
「ああ、あの子はいいでしょう。顔だけで気持ちを自在に表現できる女優です。」と嬉しそうにきっぱりと絶賛されていました。

この緊迫感のあるシーンで2人の連帯感は高まっただろう。
藤竜也は「スープオペラ」以来だ。「時間ですよ」で影のある男を演じた時からの彼のファンで、パリで「愛のコリーダ」を見て彼のチ○こも見ている。日活の残党でいまだ頑張る藤竜也にはエールを送りたい。

2.抱き合う浅野忠信と二階堂ふみ
淳悟がしばらく遠出するのを寂しく思った花が抱いてくれと誘う。2人は濃厚に抱き合う。二階堂はブラジャー姿になる。胸は大きい。ぞくぞくするシーンだ。
やがて上から赤い液体が2人の身体に落ちてくる。これは血を意味するのか?幻惑させられるシーンになってくる。まるで、現実ではないように映し出される。その2人を窓の外から覗く男がいる。大塩老人(藤竜也)だ。赤に染まった2人の身体を映す映像が、普通の映像に代わる。

これはかなり過激だ。でも二階堂はバストをさらけ出さない。
まだまだ若い。いずれ気前よく見せてくる日を楽しみに待つしかない。


3.追ってきた刑事と浅野忠信の格闘
東京(川崎?)に移り住んだ淳悟のもとを刑事が訪れる。玄関に出た淳悟は刑事を中に上げる。刑事は花のものと思しきメガネを差し出す。淳伍は殴る。そして作りかけの味噌汁を刑事に浴びせる。包丁をもって刑事を切りつけ、血が吹き出し刑事が死ぬ。この格闘は緊迫感がある。
夕方になり、学校から帰った花が見つけ2人は唖然とたたずむ。

でも1つ突っ込みたい。
この死体どうしたんだろう。この処置については最後まで語られないままに映画が終わっている。
あえてそうしたのであろうか?
普通であれば、刑事が遠方まで出張するときは、警察に出張届を出してくるはずだ。しかも、当然どこへ行くかを知らせるだろう。刑事が戻ってこなければ、当然警察はそのことを調べるはずである。そのあと、時間が少し飛ぶが、2人は何もなかったかのように暮らしている。ちょっとこれ自体は不自然に感じる。


4.浅野忠信
二階堂のことばかり話しているが、浅野忠信も寡黙にもかかわらず、非常にいい演技をしている。「ヴィヨンの妻」のだらしない作家役がうまかったが、それと同じように堕落した男の役をやらされると天下一品なのかもしれない。

今回は浅野忠信がかなりねっとりしたラブシーンを河井青葉と演じている。このシーンってこんなに長くやる必要あるのかな?という素朴な疑問があるけど、美人が脱ぐのを見るのは悪くない。でも不思議だなあ。河井青葉は正統派美形だけど、二階堂ふみがいると彼女の方がよく見えてしまうんだよね。「ほとりの朔子でも鶴田真由と杉野希妃の共演した2人の美人よりよく見えた。不思議だ。

5.二階堂ふみ
週刊文春のインタビュー記事によると
流氷の中に入る撮影をなんと4回もやったそうだ。服の下にセミドライスーツを着ていたけれど、水が入ってしまうので、人は寒さで死ぬんだなってことがわかったという。手先に今までない痛みが走ったようだ。
これは大変だ。でも二階堂ふみのプロ意識には本当に感心する。

次の作品が楽しみである。
コメント (2)
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映画「春を背負って」松山ケンイチ&蒼井優

2014-06-18 08:53:10 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「春を背負って」を映画館で見た。
名カメラマンとして名高い木村大作監督が「劔岳 点の記」に引き続いてメガホンをとった。
監督として撮った前作は雪山を美しく捉えてすばらしい映像だった。70過ぎてもそのカメラワークは冴え渡る。
当然のごとく映画館に足を運ぶ。

今回も山を映し出す映像コンテが素晴らしい。春の桜を映し出し、夏山の爽快感、秋の紅葉、雪に埋もれた立山を最高のアングルで映し出す。その木村監督のもとへ集まったのは、松山ケンイチと蒼井優の若手に加えて豊川悦司だ。久々に檀ふみが登場する。3000m級の高地で撮影するわけだから、これはしんどい。出演者には敬意を表したい。
脇役として登場するのもベテランがそろう。

ただし、映画のストーリーはちょっと単調でプロットが弱い。緊迫感がない。
もっともこれは原作があっての映画なので必ずしも木村監督のせいではない。
しかも、音楽が池辺晋一郎の音楽がちょっとうるさすぎるという難点はあるが木村大作の技をじっくり堪能できた。

長嶺亨(松山ケンイチ)は外資系金融機関につとめるトレーダーだ。運用成績が落ち込み上司から叱咤激励をうけている。そんな時母(檀ふみ)から父の訃報の連絡があった。
亡き父(小林薫)は、立山連峰で山小屋〝菫小屋〟を営んでおり、小さい頃から亨は父に厳しく育てられていた。父は雪山から転落した登山者を助けようとして、頭を岩にぶつけて亡くなった。
亨が母(檀ふみ)のもとへかけつけると、地元の山仲間が大勢葬儀に参列していた。その中には親友(新井浩文)と前年から山小屋を手伝っていた高澤愛(蒼井優)の姿があった。
葬儀のあと始末をしながら、亨は久々に母や愛とともに雪に埋もれた山小屋に向うことにした。小屋でたたずみながら、母は山小屋を誰かに譲らねばという話をした。亨はとっさに自分がやると言い出す。都会での生活を捨て小屋を継ぐことを決意する。
愛も一緒にやるということになった。

トレーダーをやめて、山小屋の主として重い荷物を抱えて登山する途中で、ゴロさんこと多田悟郎(豊川悦司)が現れる。
父親の山岳部の後輩であるゴロさんは慣れない亨を手伝うためにやってきたのだ。
3人の山小屋生活が始まった。

1.池辺晋一郎の音楽
ともかく不必要にうるさい。全部がそうではないが、映像とあっていない。木下恵介監督の作品で、木下忠司の音楽がうるさすぎてうんざりすることがある。同じようなものだ。例えばティムバートン監督の「バットマン」で、マーラーの交響曲を思わせるダニーエルフマンの音楽が高らかに鳴り響いている。これもうるさいが、映像にはあっている。
それとはちがうのだ。フェリーニが「音楽、音響効果はイメージの強化を目指すべきである」といっている。逆に池辺は映像のイメージをつぶしている。残念である。

2.過酷な撮影条件
標高の高いところでの撮影は大変だったよなあ。ここでも松山ケンイチが60kgの荷物を担ごうとして悪戦苦闘するシーンが写る。スタッフ一同に厳しい登山に音を上げたのではないか?長身で体格のいい豊川を松山や新井がおんぶするのも大変そうだ。あとは激しく降る暴風雨の中のシーンも、きつそうな映像だなあ。
そんな中夕日を見つめながらたたずむシーンや岩のテラスで松山と豊川が映し出されるショットも美しい。


3.演技巧者が集まる
個性的な実力派の俳優たちが揃っているけど、井川比佐志、石橋蓮司というあたりの起用がうまい。
いつもながら井川比佐志の笑顔っていいなあ。味がある。昔から木村大作と縁が深いのでは?
市毛良枝を映す映像も解像度を落としているのでふけて見えない。
吉田栄作、仲村トオルなど二枚目はそれなりに適役だけど、現代の名優安藤サクラはせっかく出ているのに力が発揮できる役柄ではない。いつもは不良の匂いをプンプンさせる新井浩文もこういう役だと不自然な感じがする。

4.蒼井優
不倫の恋に破れ、1人で立山登山を目指し遭難しかけたところを亨の父に助けられた。義に感じ、山小屋で働くようになったという設定だ。ここでの蒼井は笑顔がかわいい。ベリーショートに近いショートカットだ。でも、若い2人が山小屋という閉鎖空間にいるのに何にもないのはおかしい。
70歳を過ぎた木村大作には恋愛の映像コンテは苦手なんだろう。ちょっともったいない。

5.檀ふみ
久々に映画でみた。もしかして、監督の好みなのであろうか?民宿の女将としての着物のいでたちが素敵だ。
登山ルックに長身の身を包んだ姿もいい。もう60になったのね。「青春の蹉跌」のお嬢さん役がなつかしい。
昔はキャンパスで何回か見かけたことがある。たしか、2年くらい留年していたのではないかな?
本来であればキャンパスで出会うことがないはずなのにね。
もう30年以上経つので時効だけど、深夜六本木の居酒屋T坊で男と深夜2人でいるところも見かけた。
やさしそうな好男子だったけど結局縁がなかったみたい。父親の血はついでいないようだ。


6.物語の構造
主人公 亨
依頼者 亡き父 母
援護者 ゴリさん  愛    大勢の山の仲間たち
主人公の使命 山小屋の管理

プロットに意外性がない。何でなんだろう
出演者をこうやって整理すると、主人公に敵対する人物がいない。それなので単調なのであろう。
亨にはライバルがいない。「劔岳 点の記」のときは登頂を競い合うライバルがいて緊張感があった。
例えば東京にいる亨に恋人がいる設定にすると、愛との間で敵対する葛藤が生まれる構図ができるのにそうしていない。
山小屋で3つの逸話を通じて、亨に「難題」を与える。それ自体は大きな難題ではない。
原作の問題なのか?ちょっとものたりない。

この映画は74歳になった木村大作監督が、自身の集大成のつもりで作ったのではなかろうか?
プロットが弱いといったが、そんなことはどうでもいいのかもしれない。
ここで見せるリアルな高山での映像それ自体はこれから30年たっても語り継がれる気がする。

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