僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

食べる犀星

2009-08-15 23:01:51 | Weblog
詩人、室生犀星は私生児として生まれました。その生い立ちの不憫さと貧しさゆえ、食に対するこだわりも強いものがあったようです。
大正12年疎開した金沢では、つぐみという小鳥を食べました。
その事は詩集「高麗の花」に書いてあります。

春さきになると小鳥がおいしくなる/ 美しい柔らかい羽根をひいた裸のまま/火に炙ると漆のやうに焦げる/人間の心をよろこばせる美しい味ひと/それを食べたあとのからだが/ほんのり桜いろに温まつてくる/冬木にとまる小鳥をみると/小ぢんまりしたからだを感じるのだ。

娘の室生朝子は「父室生犀星」の中で、つぐみの毛を何羽もむしったことを回想しています。山にかすみ網を張って大量のつぐみをとって持ち帰り、バケツのなかでつぐみの羽をむしりました。それはかなり辛抱のいる作業でした。肉はバターでいためました。内臓は別に料理し、骨はこまかく叩いて小量のメリケン粉を加えて団子とし、じぶ煮としたといいます。

犀星は果物好きで、杏や柿、いちじく、といった野性味のある果実を好みました。
戦争中、軽井沢に疎開したときは、野草を食べて生き延びました。

この春、/われ市上に食物を見ることなく/つひに路傍の野草をあされり、/いたどり よめ菜 ぎぼしなぞ/日として摘み取らざることなく/和へて食さざることなかりき・・・・・

犀星の食への思いが飢渇感となり、よりいっそうの荒涼とした抒情性を感じさせてくれるのです。

牛乳寒天

2009-08-15 21:39:12 | Weblog
妻が作った、牛乳寒天です。



冷蔵庫で冷やして固めるので、ヒヤッとした寒天独特の舌触りと、砂糖の甘みが喉越しにとても優しいです。

みかんの缶詰などフルーツと一緒に固めると、なおいっそう美味しいかも知れません。


2009夏自給自足物語

2009-08-15 20:54:12 | Weblog
今日、テレビで再放送の番組を観ました。いずれも大自然の中で、悠々自適に暮らす羨ましいばかりの生活が繰り広げられていました。
その中で最も印象に残った人が笹井さんという女性でした。

熊野山中にたった一人、自給自足で生活しているのです。まるで我が庭の如く山を歩き回り、川原で昼寝とまさに女仙人。そんな笹井さんは雑草と作物が入り混じり、自然の在るがままの状態で作物を育てる「自然農法」と呼ばれる方法で小豆、ニンジン、ジャガイモ、ごま、白茄子、ピーマン、赤オクラ等の様々な野菜を育てています。
当然、農薬や除草剤を一切使いません。毛虫や青虫すら駆除しないのです。
「虫たちを殺す権限はないですから」
と彼女はいいます。生きるもの全てとの共存を理想とするのです。
それら自然農法で育てられた野菜を使った料理は、すこぶる美味しそうでした。

更には普段の自給自足生活での暮らしぶりや料理の腕が見込まれ、自然食のお店に招かれ、そこで料理教室まで開いてしまうほどに元気な笹井さん。

ラジオで流れる落語を聴くことが娯楽でしたが、最近考え方が変わり、大工仕事ができて、嗜好や波長の合う人との出会いを望んでいるようでした。やはり生きていくうえでのよき理解者(パートナー)は必要不可欠ですよね。

いろいろと考えさせられる良い番組でした!