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二郎は鮨の夢を見る

2013-02-08 00:09:22 | 映画!
先日『二郎は鮨の夢を見る』という映画を観ました。監督はアメリカ人のデヴィッド・ゲルブですが、舞台は全編日本。東京・銀座の地下にある小さな鮨店「すきやばし次郎」の店主・小野二郎さんを描いたドキュメンタリー映画です。

現在87歳の二郎さんが握る鮨は、「ミシュランガイド東京」で三つ星の評価を5年連続受け、世界中の食通たちをうならせてきた・・・とまぁ、彼を簡単に紹介するとこんな感じになると思います。

私はこのお店に行ったことがありませんし、美食家でもありませんので、二郎さんの握る鮨そのものの素晴らしさについて語る資格はありません。でも、この映画を観て驚いたのは、彼が「食」だけで勝負しているところ。普通の高級レストランなら、おいしい料理を提供するのは言うまでもなく、お店の雰囲気・内装・テーブル・椅子その他調度品はもちろん、スタッフの身だしなみや接客態度などいわゆる「もてなし」に気を配っていると思います。

そして、客は料理やもてなしだけでなく、さらにはお店に一緒に行った相手とそこで過ごす時間そのものに価値を求めていると思うのです。つまり、誰かと一緒に食事に行き、そこでおいしい食事を楽しみ、行き届いたもてなしを受け、ゆっくり過ごす、ということです。が、『二郎は鮨の夢を見る』を観る限りでは、「すきやばし次郎」にはお酒もおつまみもなければ、大げさなもてなしもなく、ましてやお客さんがゆっくり過ごせる雰囲気もなく、とにかく「丹精込めて仕込み、握った、極上の鮨を食べてもらう」ということが最重要事項なのです。まるでファーストフードのように早ければ15分で食べ終わってしまう、けれど値段は3万円以上で、時間単価で考えるとべらぼうに高いお店ということになります。

映画の中で輝きを放つ数々のお寿司を観て、正直私も「すきやばし次郎に行ってみたい! 二郎さんが握ったお寿司を食べてみたい!」と思いました。でもその一方で「15分三万円は敷居が高すぎる」とも思いました。しかし、「すきやばし次郎」がそのような料金設定でも国内外から高い評価を受けているのは、やはりすごいと言わざるをえません。二郎さんは純粋に「食」だけでお客さんを満足させる新しい価値観を作った、と言えますし、それが外国の人々にも認められたことは日本人として誇りに思えました。この価値観が生き残っていける日本であってほしいですし、二郎さんの技がこれから先も受け継がれ、さらに高められるよう心から願っています。

この映画について書きたいことがもう1つ。2011年に製作されたこの作品は興業収入250万ドル超というドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットになり、今回ようやく日本で公開されました。IMDbでも7.8という高い評価を得ているので、日本に住む外国人の中にもこの作品の公開を楽しみにしていた人もいるのではないでしょうか? しかし、私が観た時にはこの作品に英語字幕はついていませんでした。「日本人観客には英語字幕はうっとうしい」という配給会社の判断だったのかもしれませんが、私自身「アメリカでの公開時、彼らの会話はどんな風に英訳されていたんだろう?」と興味を持ちましたし、日本にいる外国人に観てもらうためにも英語字幕は絶対につけるべきだったと思います。いくら日本での公開とは言え、最初から観客を日本語がわかる人に限定しているのは本当にもったいないと感じました。今からでも英語字幕つきで上映することはできないでしょうか? > 配給会社さん
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