今日の夕方、いつも深海エビ漁に乗船させてもらっている船の方から電話が来る。初めて見る魚が獲れたとの事。以前に頂いたソコカワムキ(ブログ2020 8.21)に似ており、口が長いらしい。ベニカワムキの仲間にそのような魚がいたなと思いながら港へと急ぐ。港に着き、有難く標本を2個体頂く。見た感じ口が長いソコカワムキの様で実に面白い形をした魚である。頂いたこの2個体、同じ種のように思われるが、並べて比べると小さい個体は大きな個体に比べて背鰭軟条が赤く、尾鰭先端も黒い。別種も疑ったが、家に帰り調べると2個体共にフエカワムキであった。フエカワムキを調べてみると鱗食魚であると文献に記載されており、更に人間の右利き・左利きのようにこの魚にも左右性が存在するらしい。この左右性は他魚種の鱗食魚でも確認されており、捕食行動に利きがある事が報告されている。普段はこの口は上を向いているが触ってみると横にも動く。ただ、文献に記載されているように利き手があるらしく、片側にしか動かない。運よくこの2個体は利き手が左右違い、大きな個体は右側にしか動かず、小さな個体は左側にしか動かない。大きな個体は右利き、小さな個体は左利きのようである。深海の事でその行動は確認されていないと思われるが、このフエカワムキは魚の背後からそっと近づき、口先を横に向けて鱗を剥ぎ取って食べるのであろう。この長い口も獲物に背後から気付かれないよう近づく為の武器となるのだろう。その鱗食行動を水族館などで見てみたいものである。このフエカワムキが私にとって本当のクリスマスプレゼントとなる。
大きな個体は右側にしか動かず右利き
小さな個体は左側にしか動かず左利き
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