日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

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「五輪のため」なのに、オリパラ局には何にも記録がない──岸記念体育会館移転問題

2018-06-07 | 東京都政・都議会のこと

 岸記念体育館移転問題。

 都議会で「岸記念体育会館の移転・建て替えに関する陳情」が審査され、私の所属する文教委員会には「オリンピック・パラリンピック準備局は、岸記念体育会館敷地の五輪活用がどのような経過で進められたのかを明らかにすること」という項目がかかりました(その他の部分は、都市整備局と建設局)。

 この問題は、日本体育協会などが入る岸記念体育会館を代々木公園隣地から移転させ、移転先も都有地を売却(現在は賃貸借)。土地購入と移転補償費で123億円の税金が支出される一方、新たな土地代は70億円となっており、日体協が53億円を手にして新会館を建設するということになっています。

 この一連の経緯に、森喜朗元首相など複数の自民党政治家が深く関与していることが明らかになりました。その関与の結果、日体協に特別の優遇がされたのです。しかも重大な問題は、小池知事は、森元首相など自民党政治家が関与している内部文書を知りながら、あえて調査対象とせず、幕引きを図ろうとしていることです。

 こうした疑惑を解明すべきだという都民の声が上がるのは当然です。

 質問に立った私自身、質問しながら改めて驚くべき事態になっていることを感じました。

■「オリンピックのため」なのに、オリパラ局に記録は一切ない

 移転する錦の御旗にされたのは「オリンピックのため」ということでした。

 この方向性が文書上はっきりしているのは、2015年3月4日「都市計画代々木公園における事業着手の必要性について(案)」(都市整備局が建設局、財務局に説明するための検討資料)です。

 ここで、「緊急的に事業着手する理由」が示され、「オリパラ開催に伴い…大会運営に必要な駐車場等が設置可能となるオープンスペースの確保が必要」「条件に合致する土地は岸体育館に限られる」「オリパラ会場計画における…動線上には入場者をコントロールするたまり場の確保が必要」などと示され、さらに衝撃的なのがフローで示された図です。

 これを見ると、今後の手順が詳細に記載されています。

 組織委員会から都知事に協力要請、オリパラ準備局から都市整備局に協力依頼、都市整備局から水道局と建設局に協力依頼をするとされていますが、実際にもこの通りに推移しています。

 オリパラ局は「大会運営用地に活用できる敷地が不足していること、周辺に適当な用地が見当たらないこと」は伝えていたというのですが、その記録はありません。

 さらに、「オープンスペースやたまり場が不足している」など具体的な話をしたかについても、記録がなく覚えていないこと。

 都市整備局のまちづくりを担当する課長から問い合わせがあったというものの、いつ(15年3月4日の前後どちらか)、どのような形で(電話なのか口頭なのか、その場で答えたのか確認してから折り返したのか)、組織委員会と打ち合わせをしたのかなどの記録が一切ないことが質疑を通じて明らかになったのです。

 どんなことを言ったかは覚えているけれど、その他のことについては記録がなく覚えていない──。

 「事実」の問題として、それがあったのかなかったのかというチェックをすることは議会としてはとても重要な過程です。

 しかし、「記録がない」というものについて、事実認定できるかといえば事実認定はできないということになります。

 それは、当然ながら記憶よりも記録が優先されるからです。

 第1回定例会の予算特別委員会で、大山幹事長がこの問題を取り上げた際に、オリパラ局長は「(15年3月4日の文書は)本年一月中旬ごろだと思いますが、その存在を知った」と答弁しています。

 今回の委員会では、合わせて2015年3月30日「都立明治公園(こもれび広場)の取扱いについて」という文書の存在を知ったのはいつか質問しましたが、これも「本年一月中旬ごろ」という答弁でした。

 では、この文書には何が書かれているのか。

<3局(財務局、都市整備局、建設局)での合意内容>
ラグビーワールド杯(H31.9)までの日体協ビル竣工を間に合わせるため、3局連携し以下に取組む。

①都市整備局は、代々木公園の優先整備区域(相当)の方針を決定する。
②建設局は、岸記念体育館用地をオリンピックまでに公園として整備することを理由に、その代替地として仮換地後のこもれび広場を日体協に売却する。
③都市整備局は、神宮外苑地区まちづくり構想にも合致することから、こもれび広場(従前地)の土地所有者として、日体協に移転先候補地貸付する。

 極めて具体的に記述がされ、これが副知事へのレクとして報告されています。

 重要な決定事項を、オリンピック・パラリンピックを所管するオリパラ局が知らなかったということは、「オリンピックのため」というロジックに不透明さがあるということです。

 都議会環境・建設委員会と都市整備委員会でも陳情審査が行われますが、引き続き123億円の凍結と真相解明に向けて奮闘します。

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