日本共産党都議会議員(町田市選出)池川友一「市民とつくる都政への架け橋」

日本共産党東京都議会議員の池川友一のオフィシャルブログです。地方政治の現場からいろいろと発信していきます。

「都として被災地の実態・要望のいっそうの把握に努め、人員の派遣をはじめ、必要な支援を迅速に行うこと」

2024-01-05 | 東京都政・都議会のこと

 能登半島地震で亡くなられた方に、心からのご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 日本共産党都議団は、4日に▼現瞬間、最優先にすべきは、人命救助と被災者支援▼都として被災地の実態・要望のいっそうの把握に努め、人員の派遣をはじめ、必要な支援を迅速に行うこと▼被災地の要望に応じられるよう準備を行うこと──についてただちに申し入れを行いました。その後、職員の派遣、都営住宅の提供などが動き出しています。党派を超えて、被災者のためにできることをすすめていきたいと思います。

 申し入れの全文はこちら→https://www.jcptogidan.gr.jp/opinions/7652/

 「災害は忘れたころにやってくる」と言われていましたが、「災害は毎年何度もやってくる」というのが実感です。私は、共産党都議団の防災チームの責任者として活動していますが、東京における防災の課題について、学びながら東京都に対して要求していきます。気候変動による新たな課題にも挑んでいきたいと思います。

 自然災害は、完全に防ぐことはできませんが、予防によって被害を最小限にすることができます。一方で、戦争は人類の力によって未然に防ぐことができます。私たちが生きるこの地球で、ガザやウクライナで戦争が起こっています。「即時停戦」──何をしなければいけないかは明確です。戦争のない平和な社会は、他ならぬ私たち一人ひとりがつくりだしていくしかないのです。


多摩格差は厳然としてある。さらなる多摩格差も

2023-08-10 | 東京都政・都議会のこと

 「多摩格差」──この言葉を聞いたことがある方は、どんなものを思い浮かべるでしょうか。また、はじめてこの言葉を聞くかもしれません。

 「多摩格差」は、かつて都政が23区と多摩地域で格差の解消が必要な8つの課題を決めたことに由来しています。具体的には、義務教育施設、公共下水道、保健所、図書館・市民集会施設などの解消が必要だと定義しました。ところが、石原都政は、「かなりの部分で解消」したと、多摩格差をなくすことが都政のとりくむ課題ではないとしてしまいました。

■多摩格差は厳然としてある。さらなる多摩格差も

 では、多摩格差はなくなったのでしょうか。実際には、厳然とした格差が存在しています。例えば、18歳までの医療費無料化です。23区ではすべてでこの4月から18歳までの医療費は完全無料(所得制限と窓口負担なし)になっていますが、多摩26市は4市しかありません。

 新型コロナで問われた保健所はどうでしょうか。23区は、削減されたものの1区1保健所があります。一方、多摩地域は7つの保健所(都管轄が5、八王子市、町田市)しかありません。1つの保健所で100万人を超える人口を担当する保健所もあります。

 そのほかにも、学校のエアコン設置率、中学校給食の実施状況と方式、幼稚園の入園料補助など、枚挙にいとまがありません。

 さらなる多摩格差という問題もあります。それは、学校給食費の無償化です。23区では、急速に拡大し、今後実施するところも含めて20区が踏み出していますが、多摩26市では狛江市が第3子の無償化を行なっているのみです。

■財政力が大きく違う

 なぜ、こういう事態になるのでしょうか。端的に言えば財政力の違いがあります。2021年度の決算で比較すると、区市町村民税は3倍、固定資産税は4・5倍と税収だけでも大きな格差があります。さらに自治体の積立金残高も23区は市町村に比べて5倍の規模となっています。

■都政の役割が重要

 こうした財政力の違いを踏まえ、多摩格差を解消することは都政の役割です。

 市議時代なりますが、学校の普通教室や図工室などの特別教室のエアコン設置は、東京都が財政的な支援を行い、それを活用することで町田市では100%設置されました。

 3期連続で躍進した日本共産党都議団が、くり返し多摩格差の解消を求める中で、市町村の財源を補完する市町村総合交付金を500億円(2017年度)から592億円(2023年度)へと大幅な増額。さらに市町村の下水道事業に対して、これまでわずか2・5%だった補助率を50%(国が補助する場合は25%)に大きく拡大しました。

 都政が動けば市民の暮らしが良くなる──多摩格差の解消をすすめ、暮らしに役立つ都政に変えるため、みなさんと力を合わせて奮闘します。


東京都は「財源が厳しい」とは言わない──昨年度の決算から見てみる。巨大な財政力を都民のために

2022-12-17 | 東京都政・都議会のこと

 「財政が厳しいから」「財源の確保が課題」──地方議会の多くで、行政側が事業の必要性は認めながらも、財源の問題で実施が厳しいということを答弁することがよくあります。

 私も、町田市議会議員の時代に、「お金がない」問題に何度も直面しました。その際に、議員の側は「ここにお金がある」と財源論を示すために、この開発にお金を使うよりも、暮らしや福祉のために使うことが必要という論戦を行い、市民のみなさんにもそうした発信をしていくことで、財源を確保できるということを共有していきます。

 自治体の状況が違うので、その自治体ごとにどうやって財源を生み出していくのか(区市町村の場合は、国や都道府県の財政支援を求めることも含む)は、知恵の発揮が必要です。

 税金の集め方、使い方を見ることで、自治体の姿勢がわかり、政治対決の中心問題でもあります。

■東京都は、「財源が厳しい」とは言わない

 と、ここまでは一般論として書きましたが、東京都の場合「財源が厳しい」とは言いません。

 私も、都議会議員になって5年ですが、財政委員会に所属していて、東京都の財政の全体像がぼんやり見えてきたところです。そのぐらい東京都の財政力は巨大なのです。

 2021年度の決算をみると、「財源が厳しい」と言わない理由の一端がわかります。

 2021年度の決算は、10億円の黒字で「収支均衡」でした。これ自体は事実です。

 しかし、実態は、収支均衡に「なった」というよりは、収支均衡に「した」というのが真相ではないかと思います。

 詳細は、東京都年次財務報告書で→https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/09/16/documents/06_01.pdf

 ザクっと書いていきます。

 昨年度の当初予算では、都税収入は5兆450億円を見込んでいましたが、決算時点では8265億円増の5兆8715億円(前年比5785億円増)となりました。凄まじい増加率です。

 税収増となったことで、東京都独自の制度として、財政調整基金への積み立てを義務付けています(おそらく東京都だけの制度)。その結果、昨年度末の最終補正予算で、1944億円を財政調整基金に積み立てました。

 さらに、21年度と22年度の当初予算における都税収入を比較して、上昇した分に合わせて積み立てた結果、22年度当初予算で404億円を財政調整基金に積み立てています(当初予算で財政調整基金に積み立てるというのも東京都だけだと思います)。

 昨年度の予算段階では、3751億円の財政調整基金、244億円のスマート東京推進金など基金を取り崩して、財源として活用する予定でしたが、最終的にこれらは1円の取り崩しも行いませんでした。

 さらにさらに、オリパラ基金の21年度末残高見込みは1780億円(うち国分が379億円)となっています。この基金は廃止される予定であり、1400億円を暮らしを守る財源として活用することができます。

 法人二税の割合が高く、変動が大きいから「将来への備え」が必要だと、東京都は説明します。しかし、以前と比較しても、都税収入にしめる法人二税の割合は減少しており、現実の暮らしや営業の厳しさを考えれば、緊急対策としてお金を使うことが必要です。

 ちなみに、東京都が事業の必要性を認識しながら(と言っても、議会では認識をほとんど答弁しようとしない)、実施を拒む理由として使うのは2つです。

 ひとつは、国において実施すべきもの。もう一つは、区市町村の責任で実施すべきもの。東京都がやるべきことではないんだということを言って、責任がないかのように言います。しかし、東京都には、都内で生活する人々の暮らしや福祉を向上させていく、責任があります。

 さらに、不要不急の大型開発や大型道路への支出をやめさせればもっと暮らしのための財源は生まれます。日本共産党都議団は、そうした視点から毎年、予算の組み替え動議の提案を行なっていますが、来年度予算に向けても税金の使い方の転換を求めていきたいと思います。


#ESATJ実施状況調査 英スピ議連&都民の情報収集フォーム

2022-11-29 | 東京都政・都議会のこと

 東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)が、11月27日に実施されました。

 ESAT-Jは、到達度を測るアチーブメントテストとして実施し、都立高校入試(入学者選抜)に活用されようとしています。

 ESAT-Jについては、都民、専門家からも制度的な欠陥が指摘され、都議会でもくり返し追及してきました。

 たとえば、

  • スピーキングテストで1点差なのに、入試に活用するときには4点差となること
  • 国私立中学校など、ESAT-Jを受けられなかった生徒が都立高校入試を受ける場合、周辺10人の入学検査の英語の点数から類推し点数をつける
  • 都教委が到達度を測るテストをやるには「行政調査」しかできないのに、入試に活用することで事実上の強制となっている(教育基本法16条の「不当な支配」)
  • 保護者の同意なく、個人情報の収集が行われている
  • ベネッセの商品であるGTECと酷似している

 あげればキリがありませんが、テストそのものが問題ありです。

 11月27日に実施されたESAT-Jでは、すでにさまざまな声が寄せられています。

 都議会の英スピ議連と都民団体で、実施状況調査を行っています。11月30日の朝の時点で430人を超えて回答が寄せられています。〆切は12月4日です。

 このアンケートによって得た個人情報は、下記の団体での分析や要望書、議会質問作成のみに使用し、第三者に提供することはありません。分析結果の公表後は適切に処分します。また、寄せられた事例については個人が特定されないように配慮し、発表する場合があります。

 ご協力をお願いします。

 アンケートはこちら→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe3s6RvHBi6r7NLhmtsZQdg74C2HinMk009Zr0mk24WJymeKQ/viewform


問題だらけの英語スピーキングテスト(ESAT-J)を都立高校入試に活用することは、法的にも問題がある

2022-10-01 | 東京都政・都議会のこと

 東京都教育委員会が、英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高校入試への活用を行うことに対して、反対の声が日増しに広がっています。

 現在もオンライン署名が行われています。(オンライン署名はこちら→都立高入試に英語スピーキングテストを使わないでください

 日本共産党都議団は、15日の文教委員会、27日の本会議代表質問、30日の文教委員会で徹底的にこの問題点を追及しました。

 代表質問はこちら→https://www.jcptogidan.gr.jp/report/6223/

 この間の経過と英語スピーキングテストの問題点について、29日に和泉幹事長の「談話」も発表しました。(談話はこちら→https://www.jcptogidan.gr.jp/opinions/6239/

 採点の公平性、不受験者への対応、個人情報の扱い、ESAT-Jがベネッセの商品GTECと酷似していること、民間企業のテストを入試の合否に使うこと、利益相反、都教委の説明不足など、都教委が進めている英語スピーキングテストには、多くの問題点があります。

 ポリタスTVで、詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

 都立高校の一般入試は、入学試験当日に行われる「学力検査」(700点)の点数と各教科の中学校3年生2学期の成績を記した「調査書点」(300点)の合計によって決めることになっていました。つまり、1000点満点でした。

 ところが、2023年2月の入試から、そこにESAT-Jの点数が最大20点加わることになります。

 ESAT-Jの評価は6段階で、Aが20点、Bが16点…Fが0点という具合です。ESAT-Jの点数が1点違った場合でも、評価が一段階変わることで、入試では4点の差になることは、公正性・公平性の観点から言って大きな問題があります。

 なぜ、入試当日の「学力検査」の中でスピーキングテストをやらないのか。「調査書」に書き込むという、ややこしい仕組みにしているのか。私は、とても疑問がありました。

 ESAT-Jは、入試当日の「学力検査」ではなく、いわゆる「学力テスト」です。「学力テスト」というのは、文科省が行なっている「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)と性質的には同じものです。

 ESAT-Jは、English Speaking Achievement Test for Junior High School Students の頭文字をとったものですが、AはAchievemen(達成度・到達度)をはかるというものです。

 法律上はどうなっているのか。

 どのような入試にするのかは、教育委員会が決定する事項です。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法)の第21条第4項で「学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること」とされていることを根拠にしています。

 しかし、今回のESAT-Jは、入試の「学力検査」ではありません。その場合、法的にどうなっているのか。

 同じ地教行法の第54条第2項には、「文部科学大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対し、都道府県委員会は市町村長又は市町村委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる」とあります。

 都教委が、区市町村公立中学校の生徒に対して、直接テストを行うことは法律上できません。都教委が法律上やろうとすれば、地教行法第54条第2項による「調査」として行う以外の方法は認められていないのです。

 しかも、第54条第2項は「求めることができる」と書いてあるとおり、強制的にできるものではなく、あくまでも「協力依頼」として「調査」(今回でいうとESAT-J)を行うことができるというものです。

 つまり、区市町村教育委員会がESAT-Jをやるかやらないかを自主的に判断をすることになります。

 もう一度いいますが、「協力依頼」による「調査」というのがポイントです。

 しかし、この「協力依頼」による「調査」を都立高校入試に活用するとなった場合、ESAT-Jを受けなかった生徒は不利益を受けることになります。ESAT-Jの点数(20点満点)がもらえないからです。

 ESAT-Jを受けなかった生徒が不利益になる=事実上の強制性を持たせることになります

 強制してはならないものを、入試に活用することで強制するというのがESAT-Jです。これは、明らかに法的に問題があります。

 都教委による教育の「不当な支配」(教育基本法第16条)そのものです。

 都議会本会議と文教委員会で、この問題を徹底追及しましたが、都教委は、ESAT-Jを公立中学校に対して行える根拠として、教育基本法第16条第3項だと言い張っています。

 第16条第3項とは「地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない」と一般的に地域の教育振興をはかるものであり、これを根拠にして施策を行うのであれば、なんでもできてしまうことになってしまいます。

 事実を事実として認めなかったら、議論は成りたちません。

 地教行法第54条第2項を根拠にしているといった瞬間に、ESAT-Jを入試に活用することが事実上強制につながることになるために、このことを頑なに認めず欺く態度は絶対に許されません。

 都民の運動と力を合わせるとともに、都議会でも党派を超えたとりくみによって、英語スピーキングテストを中止させるために全力でとりくみます。