四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

落下したウラギンシジミについて

2014-03-01 16:54:00 | 
2月14日の大雪のあと、21日に越冬ウラギンシジミを観察しに行ったところ、地面にちぎれた翅が散乱し、胴体が見当たらない状況でした。→越冬ウラギンシジミ全滅!
大雪から7日経過しての観察だったため、どのような経緯でこの状況に至ったのかは不明ですが、最初に考えたのは、鳥がヒサカキ葉裏の個体を直接捕らえ、翅をちぎりながら食べたのではという可能性でした。しかし、ウラギンシジミ7頭すべてが鳥たちにそう簡単に見つかるのだろうかという疑問も湧いてきます。そこで、もう一つ、枝に積雪した雪の塊がウラギンシジミを巻き込んで地面に落下し、その後、雪が溶けた地面のウラギンシジミを鳥が見付けて捕食したという考えもありうるのかもしれません。
※この説では、青々とした葉や枝が地面に落ちていなかったことを説明しにくい。そもそも鳥による蝶の捕食の知見が乏しい。

ここで参考までに、別の時期に観察したウラギンシジミの落下個体の事例2つを振り返ってみます。

事例1 2012年2月3日
1月24日には観察個体のすべてがヒサカキ・ツバキ葉裏にいるのを確認していますが、2月3日に9頭すべてが葉裏から脱落。1月24日から2月3日にかけて最低気温-4~-6℃、平均気温0~2℃の厳しい寒さ(八王子アメダス)が続いたことで、落下・全滅したのではないかと推定しています。越冬していたヒサカキ、ツバキ直下で落下個体3頭(A,B,C)を発見しました。


落下個体A(ヒサカキ直下)


落下個体B(ヒサカキ直下)


落下個体C(♂ ツバキ直下)

落下個体Aは、脚が折れるなど傷みが進んでおり、落下は発見日より少し前と思われますが、落下個体B,Cはまだわずかに動く状態であったことから、発見直前の落下だと思います。
※残りの6頭は、行方不明。発見日より前に落下し、風に飛ばされたのか?

事例2 2013年11月11日~17日
11月11日にツバキの直下で落下した♂を発見しました。


落下個体D(ツバキ直下 11月11日)

まだ生きており、翅を開閉しつつわずかに歩いていました。状況から見て、ツバキの葉裏から落下したものと思われます。


同上(11月17日)

6日後に訪問すると、ほぼ同じ場所で胴体も翅もちぎれ、激しい汚損状態になっていました。地上で肉食昆虫や猫などに食われたのでしょうか。

事例1,2とは異なり、今回はちぎれている多数の翅のみがあまり汚損されないで残されている状況のため、発見からそう遠くない時期に、葉裏で静止(or地面に落下)した個体が鳥に捕食されたのかもしれないと思っています。
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10 コメント

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落下個体や★をよく見つけられるものと感心し (uke-en)
2014-03-02 09:42:51
ます。観察密度の違いかもしれませんが、ウラ
ギンシジミやキタキチョウの★探しは全くとい
うほど成果がなく、オンシーズンの状況を考慮
すればムベなるかなとも思っています。

ただ、鳥による捕食は見たことがありません。
逆に、モンキアゲハが鳥を追いかけているのを
見かけたことがあります。
ビークマークと言われるものにしても、シーズ
ン中あんなに多く見受けられるのは何故だろう
と思ってしまいます。たとえ欠片も残らないも
のが多いにしても、逃がしているのですから鳥
はそんなにドンくさいのだろうかと疑問です。

怪鳥ロプロス 空を飛べ ♪ (^^ゞ
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uke-enさんへ (twoguitar)
2014-03-02 11:15:38
ウラギンシジミの越冬観察を続けている最中に結果として落下個体や★を見付けているわけですが、他の蝶の落下個体はまったくといっていいほど見ていません。
鳥による捕食は見たことがありませんね。
鳥による捕食もビークマークも知見が少なく、調べても少ししか出てきませんでした。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007707563
しかし、鳥は賢いハンターのはずですから、犠牲者はとても多いはずだと思います。
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先ず鳥は学習能力がありますから一度でもウラギンを見つけたら、その発見パターンで残りの全部を見つける可能性はあると思います。 (clossiana)
2014-03-02 15:27:13
でも2月の分は胴体が残っていますから鳥とは思えません。寒さかな?とも思いますが普通は葉裏に足が強固についている筈ですので、どうして落ちるのか疑問が残ります。11月の分は寒さの筈がありませんから風雨で落ちて、その後、何者かに捕食されたのかな?と思いましたが、いずれも断定は出来ないですよね。本当に難しいなと再認識させられました。
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Unknown (silkcotton)
2014-03-03 13:12:45
生きる現場は壮絶なドラマがあるのだと思いました。生物の世界から考えると、自然界の戦いですが、人間となると、人間同士の戦いもありますね。
共食いのような!小さなウラギンシジミが、人間のエゴの世界を教えてくれる気がしました。
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clossianaさんへ (twoguitar)
2014-03-03 14:52:25
そうですね、鳥の学習能力で、次々に捕食した可能性が高いですね。
確かにウラギンシジミが葉裏に爪で自分自身を固定していますね。葉裏に付いたまま命を絶っている例も2回見たことがあります。
その一方で、「葉の裏で冬を生きぬくチョウ」の著者の高柳さんは、「春まで生き残れるのは数パーセント。力尽きて落下したり、葉に止まったまま死んでいたり、鳥に食べられたりと、まるで死亡確認調査のようで、自然の厳しさをひしひしと感じます」と述べています。
http://teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/bitstream/10083/46555/1/19980201_011.pdf
あまりに厳しい寒さでは、葉裏への固定が弱まり、落下することもあるのかと思っています。2012年2月4日に9頭すべてが葉からの脱落を確認されたことから、あまりの寒さに耐えられなかったことが原因ではないかと推定しています。
越冬に入るのは圧倒的に♀が多いので、♂のかなりの割合は越冬前後に寿命を全うするのかもしれません。2013年11月の落下は、寿命全うの1例なのだろうかと考えたりしています。

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silkcottonさんへ (twoguitar)
2014-03-03 15:00:29
ウラギンシジミを観察していると、自然との闘いであったり、鳥捕食による絶命であったりの時々辛い現場を見ることになります。
>ウラギンシジミが人間のエゴを教えてくれる・・・
賢い人間はいつになったらお互いを尊重して争うことを止めるんでしょうね。
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やはり鳥が食べたのでしょうか。 (えむり)
2014-03-04 16:39:50
今年の大雪には、蝶も鳥もびっくりしたことでしょう。
何年に一度という今年の大雪ですが、様々な動植物に影響が出ていますね。

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毎年、越冬中のウラギンシジミを観察なさっておられることに驚きました。 (良さん)
2014-03-04 17:07:47
また、寒さや鳥、色々な生き物の攻撃に耐え、越冬している昆虫達に頭が下がります。
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えむりさんへ (twoguitar)
2014-03-04 21:01:49
2月14日の大雪は、万物を覆い尽くしてしまったので、鳥は食糧にありつけず慌てふためいたでしょう。蝶はなすすべもなく、葉裏でじっと耐えるか、そのまま雪に埋もれるか試練だったと思います。
僕も腰を痛めたので、もう勘弁という気持ちです。
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良さんへ (twoguitar)
2014-03-04 21:07:21
冬は越冬蝶の頑張りを声援しながら、多数のウラギンシジミの集まるヒサカキを中心に越冬観察をここ3年続けています。2冬は厳しい結末を迎えてしまいましたが、去年は3月9日に無事越冬完遂したと思われるのが3頭いました。
寒さの他に鳥による捕食が大敵らしいことが今回浮かび上がってきました。
蝶の越冬は命懸けですね。
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