島根ワイナリーを2時過ぎに後にして、初めて見る宍道湖の北岸を走ります。宍道湖が右に見えるというだけで、私は何処をどう走っているのか見当もつきませんが、宍道湖はのんびり・ゆったりとした感のある湖でした。ずっと宍道湖の北岸を走ってるばかりと思っていたら、宍道湖を過ぎてそれに連なる中海という内湾に沿って走っていて、だんだん大山が見えてきたと思っていたのでした。
境港まで6kmの標識、この急で大きな橋を渡るともう少しだということになりますが、私は山陰最大の港、境港を見せてくれるのだとばかり思っていました。朝ではないので魚市場を見学できるのではありませんが、大きな港だと聞いていたので少し期待をしていたのです。
ところで走っている時は全く気が付いてなかったのですが、写真を見ると前を走る車の前がやけにぼやけています。センターラインがハッキリ写っているところの手前は黒い窪みのようにも見えますが、これは標識の影。何故前の車と標識の影の間がぼやけているのか・・・妖怪の街に近づいてきた、そのせいかも知れません。
境港に着き、駐車場に車を停めたところまでは境港の港湾を見れるのだと思っていました。ところが歩き始めてすぐに気が付いたのは水木しげるの描いた妖怪があちこちに佇む妖怪の街なのでした。世はここを水木しげるロードと呼ぶらしい。地図を見ると入ったところは川が流れていたので、水木しげるロードの入口から入ったのではなく途中から入ったのですが、十分その雰囲気は楽しめます。
もう3時半を回っていたので、西陽が差していて見難いのですが、一反もめんの籐椅子が洒落ています。家にこんな板の間があれば買って帰りたくも思えます。
タクシーのマークは鬼太郎のオヤジ、目玉になっています。
通りをずっと歩いてアーケードに入ると『水木しげる記念館』があり、この日はナントカいうアニメの催し(国際まんが博)の最終日だというので入館無料の大サービス、何の躊躇いも無しに入ってみたのでした。館の前には鬼太郎やねずみ男の着ぐるみが観光客と一緒に写真を撮られていました。
鬼太郎の身長って何センチだと思いますか?約130cmですって、私より大きくなくって良かった、安心しました。
ここは写真に撮っても良い所、カメラの絵に○印が付いています。この絵を見ているとそんなに違和感を感じないのですが、私が小さかったころの水木しげるのマンガはヘタクソだと思っていて、妖怪のマンガ作家って、所謂当時の少年マガジンや少年サンデーに連載していた水木しげるにしても楳図かずおにしても嫌いでしたね。
このアーケード下、その向こうの道も水木しげるロードですが、今は妖怪たちのモニュメントがずらりと並ぶこの道も、提案当初は反対者ばかり、この旅行から帰ってからたまたま境港を扱ったテレビでは賛成したのはたった2軒だけだったと報道していました。それが今は町全体が妖怪たちのお蔭を蒙って、観光客が倍増したと言います。NHKの連続ドラマ『ゲゲゲの女房』が放映されたから観光客が増えたのか、観光客が増えたからNHKは放映したのか、どちらなんでしょうね。
水木しげるって、今の大阪市住吉の粉浜で生まれたそうで、私の家からはそう遠くではありません。でも実家は境港、生まれてすぐに実家に戻ったようです。高等小学校まではこの境港にいたので、このロードに水木しげるの名前が付いた由縁なのですね。私との縁はそれ位で、水木しげるの絵って、今でもそんなに好きではありません。
でもこういうオブジェになると、氏が描く絵よりもデフォルメされて、かわいい感じがします。絵のままではこのような像にはなり得ないのですね。
キャラクターはパンにもなっていますが(買ったのではありません)、どの妖怪なのか判らないものもあります。パッケージに『KOBE BAKERY』と印刷してあるので神戸ベーカリーでしょうか?神戸と境港の関係は?
道路の片隅でお土産を売ってる出店がテントがあり、こんなものを買わされてしまいました。3つで千円、味も量も決して高いと思わせるものではありませんでした。
日本国が先の戦争で敗戦モードに入ってから氏はニューギニアに派遣され、爆撃が原因で片腕を失くすという悲惨な目に遭っていますが、戦争に対してどういう思いなのでしょう。好きでないので氏の本をあまり読んではいませんが、何となく(戦争は)負けたから悲惨なのであり、勝ち続けていたらそうでもないという考え方ではないかと思える節があるのですが、私が水木氏や鬼太郎を好きになれないのは、そういう風に感じさせるからなのかも知れません。
境港の妖怪の街はよく取り上げられいるので、少しは知っていましたが、こうしてみると「水木しげる」一色なんですね。というか鬼太郎軍団。私も子供の時に観た(テレビマンガ)のは、もっと下手な絵だったと思っています。まだ白黒かカラー放送の始まった頃か(いや家にカラーテレビが置かれたのかはあいまいですが)、暗いイメージ、悪い妖怪が人間を操るという内容が多かったので、ほのぼのとした話は覚えていません。なぜか再放送になって観るのが「ぬらりひょん」や「牛鬼」の話。なぜ「子泣きじじい」「砂かけばばぁ」なのか、子供心に気になって気になって。妖怪が存在するのかよくわかりませんが、亡くなった姉はよく「天井に大きな妖怪みたいな顔を見た」と小学高学年の頃言っていました。もしかして、それは悪い妖怪で家にとりついているのかも・・・。
悪者妖怪のパンとか、ないんですかね・・・
私も小学生の頃は寝る前、起きた時、布団に入ったままで天井の羽目板の木目を見ていた記憶がありますが、何故か妖怪などは関連付けがなされませんでした。妖怪に見えるのはやはり何処かで妖怪を観たから、本物ではなくて、漫画やアニメなのでしょうが、きっと脳が木目と漫画をひっつけるのでしょうね。
水木しげるが努力してこういう妖怪の世界を樹立したのは認めます。
昨日のお土産の袋に入った物、中に何が入っているか・・・境港関連だとヒントを言えばよかったと思ったのでした。