「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

スサノヲ Long Good-bye 2023・08・26

2023-08-26 06:28:00 | Weblog

 

  今日の「 お気に入り 」は 、最近読んだ 「 スサノヲの正体 」の一節 。

  備忘のため 、抜き書き 。

  引用はじめ 。

  「 持統天皇の次の万葉歌に 、天香具山と天の羽衣の
   秘密が隠されている( 巻一 ─ 二八 )。

     春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山

    春が過ぎ 、夏が来る らしい 。 白い衣( 白栲)が
   天香具山に干してあるよ … 。 名歌とされている 。 
     しかし 、ヤマト でもっとも神聖な山に 、洗濯物が干し
     てあるはずがない 。この歌は不自然だ 。
     歴史作家・梅澤恵美子は 、これが 『 羽衣伝承 』を
    暗示していると喝破した( 『 竹取物語と中将姫伝説 』
    三一書房 )。 『 丹後国風土記 』 逸文に次の説話が
    載る 。天真名井 ( あめのまない ) で八人の天女が沐浴
    していたが 、老翁が羽衣を奪ってしまった 。天女のひとりは
    天に戻ることができなくなり 、老翁の元でしばらく暮らし 、
    家を豊かにした 。慢心した老翁は天女を追い払ってしまっ
    た … 。
     この悲劇的な天女こそ 、伊勢外宮で祀られる 豊受大神
   で 、 彼女は タニハ( 但馬 、丹波 、丹後 、若狭 )( 日
    本海 )から 伊勢 に連れて来られた 。さらに そっくりな天
    の羽衣伝承が近江にも伝わっていて 、羽衣伝承は 日本海
    + 近江勢力の 『 トヨの女神( 豊受大神 )』 と強く結ば
    れていたことがわかる 。 」

   ( 関裕二著 「 スサノヲの正体 」新潮社 刊 )

  古代史にまるで疎い筆者にとっては 、とても新鮮 、 興味深い本 。

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする