今日の「 お気に入り 」は 、最近読んだ 「 スサノヲの正体 」の一節 。
備忘のため 、抜き書き 。
引用はじめ 。
「 持統天皇の次の万葉歌に 、天香具山と天の羽衣の
秘密が隠されている( 巻一 ─ 二八 )。
春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山
春が過ぎ 、夏が来る らしい 。 白い衣( 白栲)が
天香具山に干してあるよ … 。 名歌とされている 。
しかし 、ヤマト でもっとも神聖な山に 、洗濯物が干し
てあるはずがない 。この歌は不自然だ 。
歴史作家・梅澤恵美子は 、これが 『 羽衣伝承 』を
暗示していると喝破した( 『 竹取物語と中将姫伝説 』
三一書房 )。 『 丹後国風土記 』 逸文に次の説話が
載る 。天真名井 ( あめのまない ) で八人の天女が沐浴
していたが 、老翁が羽衣を奪ってしまった 。天女のひとりは
天に戻ることができなくなり 、老翁の元でしばらく暮らし 、
家を豊かにした 。慢心した老翁は天女を追い払ってしまっ
た … 。
この悲劇的な天女こそ 、伊勢外宮で祀られる 豊受大神
で 、 彼女は タニハ( 但馬 、丹波 、丹後 、若狭 )( 日
本海 )から 伊勢 に連れて来られた 。さらに そっくりな天
の羽衣伝承が近江にも伝わっていて 、羽衣伝承は 日本海
+ 近江勢力の 『 トヨの女神( 豊受大神 )』 と強く結ば
れていたことがわかる 。 」
( 関裕二著 「 スサノヲの正体 」新潮社 刊 )
古代史にまるで疎い筆者にとっては 、とても新鮮 、 興味深い本 。