「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

うつろの心に眼が二つ Long Good-bye 2021・09・13

2021-09-13 04:56:07 | Weblog



   今日の「 お気に入り 」は、「 放哉俳句 」をいくつか 。


    「 雨のあくる日の柔らかな草をひいて居る 」

    「 蛙たくさんなかせ灯を消して寝る 」

    「 とかげの美くしい色がある廃庭 」

    「 ここから浪音きこえぬほどの海の青さの 」

    「 海が少し見える小さい窓一つもつ 」

    「 わが顔があつた小さい鏡買うてもどる 」

    「 海風に筒抜けられて居るいつも一人 」

    「 うつろの心に眼が二つあいてゐる 」

    「 海がまつ青な昼の床屋にはいる 」

    「 一本のからかさを貸してしまつた 」

    「 久しぶりのわが顔がうつる池に来てゐる 」

    「 とんぼが淋しい机にとまりに来てくれた 」

    「 山に登れば淋しい村がみんな見える 」

    「 盆休み雨となつた島の小さい家家 」

    「 久し振りの雨の雨だれの音 」


  ( 出典:「 尾崎放哉句集 」池内 紀編 ( 岩波文庫 ) ㈱岩波書店 刊 )

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