今日の「 お気に入り 」は、「 放哉俳句 」をいくつか 。
「 雨のあくる日の柔らかな草をひいて居る 」
「 蛙たくさんなかせ灯を消して寝る 」
「 とかげの美くしい色がある廃庭 」
「 ここから浪音きこえぬほどの海の青さの 」
「 海が少し見える小さい窓一つもつ 」
「 わが顔があつた小さい鏡買うてもどる 」
「 海風に筒抜けられて居るいつも一人 」
「 うつろの心に眼が二つあいてゐる 」
「 海がまつ青な昼の床屋にはいる 」
「 一本のからかさを貸してしまつた 」
「 久しぶりのわが顔がうつる池に来てゐる 」
「 とんぼが淋しい机にとまりに来てくれた 」
「 山に登れば淋しい村がみんな見える 」
「 盆休み雨となつた島の小さい家家 」
「 久し振りの雨の雨だれの音 」
( 出典:「 尾崎放哉句集 」池内 紀編 ( 岩波文庫 ) ㈱岩波書店 刊 )