「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

お婆よく歩く Long Good-bye 2021・09・06

2021-09-06 05:06:07 | Weblog


   今日の「 お気に入り 」は、「 放哉俳句 」をいくつか 。


    「 なぎさふりかへる我が足跡も無く 」

    「 たつた一人になり切つて夕空 」

    「 雨の幾日がつづき雀と見てゐる 」

    「 墓石洗ひあげて扇子つかつてゐる 」

    「 何か求むる心海へ放つ 」

    「 考へ事して橋渡りきる 」

    「 こんなよい月を一人で見て寝る 」

    「 淋しいぞ一人五本のゆびを開いて見る 」

    「 わが顔ぶらさげてあやまりにゆく 」

    「 にくい顔思ひ出し石ころをける 」

    「 なんにもない机の引き出しをあけて見る 」

    「 犬よちぎれる程尾をふつてくれる 」

    「 人を待つ小さな座敷で海が見える 」

    「 いつしかついて来た犬と浜辺に居る 」

    「 思ひがけもないとこに出た道の秋草 」

    「 たまらなく笑ひこける声若い声よ 」

    「 帯のうしろに団扇をさしてお婆よく歩く 」


  ( 出典:「 尾崎放哉句集 」池内 紀編 ( 岩波文庫 ) ㈱岩波書店 刊 )

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