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「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2005・11・07

2005-11-07 06:10:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。

 山本夏彦さんと久世光彦さんの共著「昭和恋々-あのころ、こんな暮らしがあった」の中で山本夏彦さんが

紹介しておられる与謝野鉄幹(のち寛)の「敗荷」という詩です。

 「 夕不忍の池ゆく 涙おちざらむや 蓮折れて月うすき 長酡亭酒寒し
  似ず住の江のあづまや 夢とこしへ甘きに とこしへと云ふか わづかひと秋 花もろかりし
  人もろかりし おばしまに倚りて 君伏目がちに 嗚呼何とか云ひし 蓮に書ける歌 」

 この詩について山本夏彦さんは次のように書いておられます。

 「 敗荷は破れた蓮の葉で長酡亭は旗亭の名、去年二人の女弟子と遊んだ大阪住吉のあづまやとは

  似もつかないが、今また同じ二人だから思いださずにはいられない。おばしまは手すり、その

  手すりによって蓮の葉に皆々即興の歌を書いた。明治は筆の時代ではあるが蓮の葉に書くとは

  風流である。鉄幹の人気はこのころが絶頂で、昭和になって忘れられたのを萩原朔太郎は残念

  に思って、この詩に注目をうながした。少年の私は読んでいまだにおぼえている。」
コメント
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