今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。
山本夏彦さんと久世光彦さんの共著「昭和恋々-あのころ、こんな暮らしがあった」の中で山本夏彦さんが
紹介しておられる与謝野鉄幹(のち寛)の「敗荷」という詩です。
「 夕不忍の池ゆく 涙おちざらむや 蓮折れて月うすき 長酡亭酒寒し
似ず住の江のあづまや 夢とこしへ甘きに とこしへと云ふか わづかひと秋 花もろかりし
人もろかりし おばしまに倚りて 君伏目がちに 嗚呼何とか云ひし 蓮に書ける歌 」
この詩について山本夏彦さんは次のように書いておられます。
「 敗荷は破れた蓮の葉で長酡亭は旗亭の名、去年二人の女弟子と遊んだ大阪住吉のあづまやとは
似もつかないが、今また同じ二人だから思いださずにはいられない。おばしまは手すり、その
手すりによって蓮の葉に皆々即興の歌を書いた。明治は筆の時代ではあるが蓮の葉に書くとは
風流である。鉄幹の人気はこのころが絶頂で、昭和になって忘れられたのを萩原朔太郎は残念
に思って、この詩に注目をうながした。少年の私は読んでいまだにおぼえている。」
山本夏彦さんと久世光彦さんの共著「昭和恋々-あのころ、こんな暮らしがあった」の中で山本夏彦さんが
紹介しておられる与謝野鉄幹(のち寛)の「敗荷」という詩です。
「 夕不忍の池ゆく 涙おちざらむや 蓮折れて月うすき 長酡亭酒寒し
似ず住の江のあづまや 夢とこしへ甘きに とこしへと云ふか わづかひと秋 花もろかりし
人もろかりし おばしまに倚りて 君伏目がちに 嗚呼何とか云ひし 蓮に書ける歌 」
この詩について山本夏彦さんは次のように書いておられます。
「 敗荷は破れた蓮の葉で長酡亭は旗亭の名、去年二人の女弟子と遊んだ大阪住吉のあづまやとは
似もつかないが、今また同じ二人だから思いださずにはいられない。おばしまは手すり、その
手すりによって蓮の葉に皆々即興の歌を書いた。明治は筆の時代ではあるが蓮の葉に書くとは
風流である。鉄幹の人気はこのころが絶頂で、昭和になって忘れられたのを萩原朔太郎は残念
に思って、この詩に注目をうながした。少年の私は読んでいまだにおぼえている。」