今日の「お気に入り」は2000年前のローマに生きたセネカの言葉です。
「 いずれは去らねばならぬ所を、少しばかり早く去ったところで、それが何でしょう。
配慮しなければならぬのは、長く生きることでなく、充実して生きることです。なぜといって、
長生きは運命次第ですが、充実した生は自分の心掛け次第だからです。充実した人生は十分に
長い。しかし、その充実は、心が良き資質を発達させ、支配力を自分の全体に十分に及ぼした
ときにのみ得られるものです。
怠惰に過しただけなら、八十年生きたところで何になりますか? そういう人は生きたのでな
く、人生に滞在していたにすぎません。遅く死んだのでなく、長く死んでいたのです。」
(セネカ「道徳についてのルキリウスへの手紙」 中野孝次訳)