地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

日本再生医療学会総会が開催されたので

2009年03月09日 08時48分44秒 | 時事ネタ


昨夕、神田の定宿に入り、宵の口、「中国電化工業」さんと宿隣り
の居酒屋で飯喰っていました。

地域情報や業界情報など交換しましたが、明るい話はあまり無し。

代わりに刻々と進捗している再生医療技術の話題を。これなら間
違いなく明るい話題ですので。

第8回日本再生医療学会総会が3月5~6日の2日間開催されて
います。多数のiPS細胞利用技術の研究発表がなされましたが、
大々的に報道された中での主だったものを以下に転載します。

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iPS細胞:ウイルス使わずヒト体細胞から作成

 さまざまな細胞や組織に分化する能力を持つ人工多能性幹細胞
(iPS細胞)をウイルスを使わずに、英国とカナダの研究チームがヒト
の体細胞から作成した。ウイルスを使わない作成方法は、ヒトでは
初めて。1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 iPS細胞は、体細胞に数種類の遺伝子を導入する方法などによっ
て作る。導入の際、レトロウイルスを使う方法が最初に開発された。
ただ、レトロウイルスは遺伝子を体細胞の染色体に組み込むため、
遺伝子異常を起こしてがん化しやすいと指摘されていた。

 研究チームは、染色体に遺伝子を組み込んだり消去もできる遺伝
子「トランスポゾン」を使い、四つの遺伝子をヒトの胎児の線維芽細
胞に同時に導入、iPS細胞の作成に成功した。また、マウス実験で
は、染色体に組み込まれた4遺伝子を特定の酵素を使って消去する
ことに成功、消去後もさまざまな細胞に分化する能力が確認された。
導入した遺伝子を消去できれば、がん化の危険性が低くなる。実用
化に向けた作成法として注目されそうだ。【永山悦子】

毎日新聞 2009年3月2日 3時02分

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<iPS細胞>ヒト神経幹細胞に2遺伝子入れ作成 慶大が初

3月5日21時24分配信 毎日新聞

 さまざまな種類の細胞に分化できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)
を、神経細胞のもとになるヒトの「神経幹細胞」に2種類の遺伝子を
入れて作ることに永井康雄・慶応大助教(再生医学)らが初めて成
功した。ヒトiPS細胞は当初、皮膚細胞に4遺伝子を入れて作られ、
別の細胞から少ない遺伝子で作る手法が模索されている。今回の
成果は高効率のiPS細胞作成につながりそうだ。5日、東京での日
本再生医療学会で発表した。

 研究チームはヒトの神経幹細胞に4遺伝子のうち、1~4種類をそ
れぞれ導入。Oct3/4、Klf4という2遺伝子を入れた場合と、その2
種にSox2を加えた3遺伝子の場合でiPS細胞を作ることに成功した。
Oct3/4だけの場合と、c-Mycという遺伝子を加えた4種類全部の
場合は、正常な形状のiPS細胞ができなかった。作成効率は、2遺
伝子の時が最高だった。

 神経幹細胞は4遺伝子のうちSox2とc-Mycが元々内部で働き、
この2種がなくてもiPS細胞になれるとみられる。

 マウスでは、独チームが神経幹細胞をOct3/4の1遺伝子でiPS
細胞にすることに成功している。【奥野敦史】

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<ヒトiPS細胞>血小板の作成に成功…献血頼らぬ供給に道

3月6日20時32分配信 毎日新聞

 さまざまな種類の細胞に分化できるヒトの人工多能性幹細胞(iPS
細胞)から止血作用がある血小板の作成に、東京大の中内啓光(ひ
ろみつ)教授(幹細胞生物学)らが世界で初めて成功した。血小板は
手術の止血のほか、血が止まりにくい出血性の病気の治療に不可
欠だが、長期保存できない弱点があった。実用化すれば献血に頼ら
ず、血小板を安定供給する道が開ける。6日、東京で開催中の日本
再生医療学会で発表した。

 中内教授らは、山中伸弥・京都大教授が開発した方法で作ったヒト
iPS細胞と、骨髄中の細胞を培養。複数のたんぱく質を加え、血小
板のもとになる細胞「巨核球」に分化させた。巨核球から、形状や機
能が通常と同じ血小板ができるのを確認した。

 iPS細胞は皮膚など体細胞に特定の遺伝子を入れて作るのが一
般的だが、遺伝子の副作用でがん化の危険がある。だが、血小板
は遺伝子が存在する核がなくその影響を受けない。また、血小板異
常の患者のiPS細胞を作り、遺伝子治療をしてから血小板を作り、
移植するという治療法も現実的になる。

 血小板は冷蔵保存できず、通常4日ほどで廃棄される。最近は献
血者が減り、慢性的な供給不足が続く。中内教授は「5年後をめど
に、出血性疾患の患者を治療する臨床研究を始めたい。赤血球など
他の血液成分を作成できる可能性もあり、将来は献血不要の社会
を実現したい」と話す。【奥野敦史】

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iPS細胞で「筋ジス」改善、京大グループがマウスで成功

3月7日10時26分配信 読売新聞

 全身の筋肉が徐々に弱くなる筋ジストロフィーのマウスに、新型万
能細胞(iPS細胞)から作った筋肉細胞を移植して機能を改善するこ
とに、中畑龍俊・京都大教授らのグループが成功した。

 6日、東京で開かれた日本再生医療学会で発表した。根本的な治
療法がない筋ジストロフィーの発症を抑えることができる可能性があ
るという。

 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉の構造を維持するたんぱく
質ジストロフィンが作られず、10歳ごろから歩行が困難になる。中畑
教授らは、マウスのiPS細胞から筋肉を補強する細胞を作り、ジスト
ロフィン遺伝子が欠損したマウスに移植した。

 この細胞は筋肉に接着してジストロフィンを分泌し始め、筋肉組織
を6か月以上、安定した状態に保ち続けた。

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現時点では治療法が確立されていない難病や重度障害への治療法
として、iPS細胞を利用した再生医療技術が著しく進歩してい
ます。

つい先頃までは、レトロウィルス使用でのiPS細胞作成について、
遺伝子異常からがん化する危険性が言われていました。今回、その
危惧を回避する方法が発表され、一歩進歩。

神経幹細胞・血小板の作成に成功、筋ジストロフィー発症の抑制に
成功と、少しでも早く臨床応用してほしいものばかり。


身障者の社会参加に資する興味深い報道もありました。

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行き先考えるだけで動かせる車椅子開発=伊大学

2009年3月8日(日)21:00

(時事通信)

【ミラノ(イタリア)AFP=時事】イタリア・ミラノ工科大学の研究者らは
このほど、行きたい場所を考えるだけで動かせる車椅子を開発したと
明らかにした。人間の脳信号を受けてコンピューターが車椅子の動き
を制御するもので、5年から10年で商業用試作機を製作できる可能
性があるとしている。

 同大学の人工知能・ロボット工学研究所のマッテオ・マッテウッチ教
授によると、利用者がコンピューターのスクリーンに映し出される行き
たい場所(台所、寝室、風呂場など)の名に数秒間意識を集中させる
と、脳信号が頭皮に付けた電極からコンピューターに送られ、あらかじ
め設定されたプログラムに従って車椅子をその場所に導く仕組み。開
発には3年かかったという。

 また、車椅子にはレーザービームが2基取り付けられており、これに
よって障害物を探知するという。

 同研究所では既に、四肢麻痺の人向けの商業用試作機を製作可能
な複数の企業と接触中で、実現すれば従来の電動車椅子の1割増し
程度の価格になるだろうとしている。マッテウッチ教授は「われわれは
全地球測位システム(GPS)を使って車椅子を戸外で動かせるように
する研究も始めている」と話している。〔AFP=時事〕

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最近猛烈な勢いで研究が進んでいる脳信号読取り技術の応用事例
です。四肢不自由な方々にとってこれ以上の朗報はありますまい。

5年ぐらい先の世界を想像させる、明るい話題でした。



今日は東京タワー足元の機械振興会館で、硬質クロム工業会三役
会議と情報委員会です。

少しなりと晴れやかな気持ちで会議に臨むとします。



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● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
   または、TEL:0942-34-1387  FAX:0942-36-0520
   所在地:福岡県久留米市津福本町1978-1 へお願い致します。

● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
    ・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生(クロムメッキと
   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
   と書くのが日本語的には正解)が得意です。

● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● 無電解ニッケル-リンめっきの軽金属上への析出、他被膜との積層処理
    可能です。被膜の付加価値向上にお役立て下さい。

● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工開始
    しました。

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