地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

カーボンナノチューブ作製、低コスト化に成功したとの報

2009年03月04日 14時42分18秒 | 時事ネタ


銅の1000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱伝導特
性、アルミニウムの半分という軽さ、鋼鉄の20倍の強度(特に繊
維方向の引っ張り強度ではダイヤモンドすら凌駕する)と非常にし
なやかな弾性力を持ち、さらには燃料電池の電極としても期待され
るなど、実に様々な特性を持つCNT(カーボンナノチューブ)です
が、国内にて発見されたこの物質を、既存技術に較べはるかに手
軽かつ安価と出来る作製技術が、国内にて開発されました。

本日付の日刊工業新聞一面トップ記事及び同社HPから。

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東京理科大、CNT精製コストを30分の1以下に
                    -大量生産へ突破口


東京理科大学工学部の西川英一准教授の研究室は、カーボンナノ
チューブ(CNT、用語参照)精製のコストを30分の1以下にする
新方式を開発した。CNTが1グラム当たり約600円でできる。
炭素棒電極の片側を振動させる装置を開発。低電流アーク
放電法で発生する炭素粉量を5倍、粉のCNT率を10倍以上に
高めた。工程も半自動化し長時間の生産に適応した。真空装置な
どの設備なしで安全にCNTを大量生産する方法として期待される。

新方式は「フィジカルバイブレーション法」と名付けた。西川研は
低電流のアーク放電法を使いビーカーの水中で低コストにCNTを
精製する研究を進めている。その一環で、電極を細かく振動させた
ところ、高効率にCNTができることを見いだした。このため、エアポ
ンプを改造し、炭素棒に50―60ヘルツの振動を送り続ける
振動装置の機構を製作した。

(掲載日 2009年03月04日)

精製したCNTを分析したところ、高い比率で、しかも3割以上
長い多層CNTができたことがわかった。水中電流アーク放電法
は一般的な化学気相成長(CVD)法に比べ、結晶度が高く高強
度のCNTができる。だが、効率や純度の向上が課題だった。

また、振動させると電極同士が付いた状態でも精製が続くことが
分かった。電極は放電により引き合う。密着すると放電しないた
め1㍉-3㍉㍍離す必要があり、手作業で行うため手間がかかった。
水の温度も100度C以下で安全なため半自動化でき、作業者の
負担を軽減できる。試算では、従来法は真空中で精製すると1㌘
当たり5万2000円のコストで260時間必要だった。これが
665円のコスト、約3時間に低減できる。今後は装置化を目指
し企業との連携も視野に入れる。

【用語】 CNT(carbon nanotube)。炭素の結晶構造の一種で直
径0.5ナノ―5ナノメートル(ナノは10億分の1)の円筒状物質。単
層や多層、半導体の特性を持つなど構造別に多種ある。同じ重さ
の鉄の数百倍の強度を持ち導電性、熱伝導性、ガス吸着性も高い。
日本や米国、ドイツなどで年産数十トン量産され、主に樹脂の添
加材として自動車や電機電子部品向けの需要が拡大している。

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CNT作製には現在までに幾つかの方法が実用化されています。
以下にwikipediaから転記します。

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● アーク法
黒鉛電極をアーク放電で蒸発させた際に陰極堆積物の中にMWNT
が含まれる。その際の雰囲気ガスはHeやAr、CH4、H2などである。
金属触媒を含む炭素電極をアーク放電で蒸発させるとSWNTが得ら
れる。金属はNiやCo、Y、Feなどである。

● レーザーアブレーション法
Ni-Co、Pd-Rdなどの金属触媒を混ぜた黒鉛にYAGレーザーを当て
蒸発させ、Arの気流で1200℃程度の電気炉に送り出すと炉の壁面
に付着したSWNTが得られる。高純度なSWNTが得られるが、大量合
成には向かない。触媒の種類と炉の温度を変えることで直径を制御
できる。

● CVD法
触媒金属のナノ粒子とメタン (CH4) やアセチレン (C2H2) などの
炭化水素を500~1000℃で熱分解してCNTを得る。

● HiPCO法
High Pressure Carbon monooxideの略でCVD法の一種で触媒に
ペンタカルボニル鉄 (Fe(CO)5) を用い、一酸化炭素を高圧で熱分
解することにより高純度で比較的小さな直径(1nm前後)のSWNT
を得る。Carbon Nanotechnologies Inc.より市販されており、日本
では住友商事を通して購入できる。ナノチューブの物性研究に
とってスタンダードな試料。

● スーパーグロースCVD法
産業技術総合研究所ナノカーボン研究センターにおいて、畠賢治
らによりスーパーグロースCVD法が発表された。CVD法の一種であ
る本法は高効率、高純度な単層ナノチューブを得ることができる。
その効率は2000倍といわれ、純度等の問題も併せて量産が難し
かったナノチューブの量産を実現する技術として期待されてい
る。また、この技術を用いると、その配向性の高さから、花び
らのような構造体を成長させることも可能である。 この方法で
合成されたカーボンナノチューブは、基板の上に貝割れ大根の
ように上向きに密集して成長する。また同研究センターは2006年
11月に、単層カーボンナノチューブの優れた物理・化学特性を
保持したまま配向高密度化した固体の開発に成功した、とプレ
ス発表した。



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● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
    ・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生(クロムメッキと
   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
   と書くのが日本語的には正解)が得意です。

● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● 無電解ニッケル-リンめっきの軽金属上への析出、他被膜との積層処理
    可能です。被膜の付加価値向上にお役立て下さい。

● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工開始
    しました。

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