国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ジャズとワールド・ミュージックの微妙な関係

2011年11月03日 | 他店訪問
10月30日はちょうどハロウィンの日でもあり、
下北沢駅前ではなぜか仮装行列が群れをなして街を練り歩いていた。
人混みをかき分けるかのように下北沢にある『Com.Cafe音倉』へと向かう。
着いたころにはすでに開演時間ギリギリであったため店内は満員だった。
店内の人に導かれるように座った席は何と真ん前のど真ん中。
まるで「ヤル気マンマン」の人である。

イヴェントは2日続きであったがパネリストが変わる。
ジャズ側からは後藤雅洋氏、村井康司氏、中山康樹氏、佐藤英輔氏の4名、
ワールド・ミュージック側からは関口義人氏、松山晋也氏、北中正和氏、
そしてピーター・バラカン氏の4名である。
特にピーター・バラカン氏はテレビなどで見たことがあるが、
直接講演を聴くのは初めてだったので、とても楽しみにしていた。

会は前半と後半に分かれ、間に「サル・ガヴァ」というグループのライブが入った。
前半はそれぞれが持ち寄ったアルバムを聴いて、
そこからジャズとワールド・ミュージックの関係性を
見出そうとするトークだったのだが、
如何せん持ち時間が少ないためか音源も途中でフェイドアウトしてしまったり、
トークもアルバムに関する説明に終始してしまう様子が見られ、
かなり消化不良な部分があった。

ジャズを聴くと分かるのだが、
昔はフォービートがある種ジャズの形式ととらえられていて、
アコースティックな演奏だけをジャズと認めるいわゆる「お堅い方」もいるのだが、
それだけがジャズではない。
ジャズの定義はそれぞれ難しいところなのだが、
少なくとも「フォービート」と「アコースティック」の2種に限られるものではないと
僕は考えている。
中にはジョー・ザビヌルのように「これ、ワールド・ミュージックじゃない?」
というものもあるのだが、
しっかりとジョー・ザビヌルの世界観が描き出されていれば
それはワールド・ミュージックから影響を受けた
ジャズと呼んでも差し支えがないだろう。
ただ、そんな両方の境界線をさまようような音楽はいくらでもあるのだ。
つまり今現在に近づけば近づくほどジャズとワールド・ミュージックは融合していって
いると言っても過言ではないだろう。

それが「サル・ガヴァ」のライブに出ていたと思う。
アコーディオンやヴァイオリンなどを交えて、ギター、ピアノ、ベースという編成で
タンゴなどの音楽を基盤にしながらオリジナルの曲やアレンジをしていく。
楽譜はあるようだが、それでも互いに呼吸を確認し合いながら
演奏を進めていくのはジャズのインプロヴィぜーションにも通じている。
抽象的なタイトルと国籍の基盤は感じても演奏の中ではそれを軸に変化をさせていく。
加えて変拍子という通常の音楽の枠に縛られない自由さが
今回のイヴェントのテーマにもつながっていたと思う。

正直に言えば僕はワールド・ミュージックというのが今ひとつよく分からない。
その言葉を聞けば、結局思い当たるのはアフリカ系の音楽につながってしまう。
だが、村井氏が最近『Jazz JAPAN』で掲載している
「ジャズ史で学ぶ世界の不思議」などを読んでいくと、
「ジャズはアフリカから連れてこられた黒人たちが、ニューオリンズで…」という
今まで当然のように語られていたジャズの始まりが、
実はカリブやケルト、アジア系の音楽の要素も含んでいたことに気づかされる。
ならばそれらはどこから?
知れば知るほど迷宮入りである。
結局これってワールド・ミュージックを自分の耳で聴いていくしかないという
結論にたどり着くわけだ。

ジャズをきっかけに何だか音楽の森に深く入り込んでいる。
こりゃあ、一生音を楽しめそうな感じである。

 最初の写真は前に紹介したことのあるハンガリー系の民謡を収集し、
 歌った『くちづてに』である。これも会場で売られていた。
 なるほど、ワールド・ミュージックといえばこういうのも入るのか。

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