国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「ベイシー」の思い出

2011年06月14日 | 他店訪問
もう少し「ベイシー」の話をしよう。
どんな時でも「縁」と「運」がある。
例えば欲しかったレコードやCDがあるとき「偶然にも見つかった!」といったように…

ジャズ喫茶にも同様のものがある。
例えば行っても、その日が何らかの所為で「臨時休業」だったり、
もうすでにそのジャズ喫茶が無くなってしまっていたり…
やはりジャズ喫茶にも「縁」と「運」が付きまとうのだ。

僕は幸いにして「ベイシー」とは多少の「縁」と「運」があるようだ。
確かもう2年前の春のことである。
「一関に行こう」と思い立ったのは、まさに「ベイシー詣」である。
「せっかく行くならば一泊で」となる。
そうすれば「ベイシー」の音を2日も感じることができるだろう。

駅前には「サンルート一関」がある。
どうも「ベイシー」客はここを利用することが多いようだ。
もちろん初日も十分に「ベイシー」の音を聴いた。
だから当然2日目も、となる。

だが、残念なことに開店時間が分からない。
HPには1時ごろと書いてあった。
でも、正確には何時ごろなのか分からないのだ。
基本、朝は午前中から活動していないと気が済まない僕は、
朝の10時にホテルをチェックアウトした。
その足で「ベイシー」に向かう。

当然のことだが開いていない。
いつ開くのか分からないまま、
あちこちをフラフラして、11時半ごろには近くの蕎麦屋で春の高校野球も見た。
磐井川の堤防に座り、
『失われた時を求めて』の一巻を読みながら時間が過ぎるのを
今か今かと待った。
1時近くなり、ようやくマスターが来た。
後を追うように僕も店内へと首を突っ込む。
「もう、いいですか?」
真っ暗な店内を覗き込み、おそるおそる声をかけた。
暗闇の中から怪訝そうな顔で見つめ返された。
「まだだよ」
そりゃあ、そうだ。来たばかりですぐに始まる店はない。

行く当てが無いから表に出て、縁石に座って待つ。
再び今か今かと待つ。

30分ぐらい待っただろうか。
ようやくマスターに声をかけられた。
「…いいよ」
「ベイシー」の中は静かだった。まだ、音楽がかかっていないのだ。
マスターはあちらこちらとまだ動き回っている。

ようやく音楽が流れ始めた。
ビル・エヴァンスの『モア・フロム・ザ・ヴァンガード』
「…注文は?」

15分ぐらいだったと思う。
新幹線の時間があったため席を立たなくてはならなかった。

今、あの音がたまらなく懐かしい。
この夏、また「ベイシー」の客になろうか?

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