国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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「ジャズ界の天手力男」 マックス・ローチのドラムは世の中を明るく照らす(『いーぐる』連続講演から)

2012年01月21日 | 他店訪問
1月14日に行われたジャズ喫茶「いーぐる」の新年一発目の連続講演は、
毎年恒例、音楽評論家の原田和典氏の講演である。
僕が連続講演に通い始めてから4年ぐらいは
毎回、原田和典氏の回は欠かさずに行っている。
今回のテーマは
「米寿記念 モダン・ジャズ・ドラムの天手力男 マックス・ローチ」である。
マックス・ローチがもし生きていると米寿であった年だということであり、
やはりドラマーとしてエネルギッシュにたぎるような演奏を聴かせてくれる
ということでの講演であった。

マックス・ローチというと有名なのがクリフォード・ブラウンとの
双頭バンドであり、マーキュリーに残した2人名義のアルバムは
やはり「ジャズ」の熱さを伝えてくれる。
そもそもローチがクリフォード・ブラウンが参加しているアルバムを聴き、
気に入って誘ったという経緯があり、
それだけクリフォード・ブラウンにほれ込んでいたということが分かる。
そのことは演奏から十分に感じられるほどで、
クリフォード・ブラウンの豊かで広がるトランペットに
完全無二の正確にリズムを刻むマックス・ローチが合わさることで
これ以上なく燃えたぎっている。

という月並みな講演を原田氏はしない。
まず1枚目からやられる。
『黒い太陽』というアルバムを出されて、「え?」となるのが普通だろう。
日活映画で1964年に公開された『黒い太陽』の音楽を
マックス・ローチが来日して録音しているのだ。
そのサウンド・トラックの「シーンC」では、
まさにオーネットの『チャパカ組曲』のようにジャムセッションを
そのままゴロッと切り取ったような音は、
日本映画であろうと何であろうと全力投球で演奏するローチの人柄を伝わってくる。

また、ローチはマイルスにヒップ・ホップ番組を紹介したということもあり、
自身もサンプリングを使ったアルバムを作っていたり、
意外にヴォーカルとやることが好きだったり(アビー・リンカーンと結婚してる)と
原田氏の独特の視線を楽しませてくれる講演だった。

ドラマーのソロというのはジャズに慣れない内は退屈に感じてしまうこともあったが、
やはりドラマーによって音の響きやリズムの取り方に特徴がある。
ついついローチとクリフォード・ブラウンの双頭バンドは後回しになっていたが、
聴いてみてやはりジャズの楽しさと熱さを感じられるものだと思った。

「天手力男」とは、『古事記』などに出てくる「天岩戸」をこじ開けた神様である。
そこから腕力が強いイメージがある。
ドラマーはスティックで無数の太鼓を変幻自在に叩き続ける。
そのリズムは人々の心を明るく照らすという意味合いで取り上げたような旨を
原田氏は語っていた。

だがもう一つ「天手力男」に意味があった(であろう)ことに
僕は気付いてしまった。
「うぁ~、そういうことだったのか…」と気付いたのは講演が終わってから
数日経ってからのことである。
気付いて、僕は全く別の扉を開けてしまうこととなった…

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