国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

コルトレーンからのメッセージ

2010年01月21日 | マスターの独り言(曲のこと)
コルトレーンについては散々このブログでふれてきたが、
後期コルトレーンはまだ解決の糸口が見えそうにない。
ジャズというにはあまりにも荒々しく、
高速でブローしまくり、高音と低音を激しく入り交じらせながら
強引に空間をこじ開けようと進んでいく。
今の「しらけ」時代では
それこそ「どっちらけ」で、冗長な演奏となり飽きてしまうのだろう。
ジャズからはみ出したぐちゃぐちゃな音楽は、
それこそ聴く必要もないか、それとも騒音かと見なされ
皮肉なことに静かに消えていってしまうのがオチだろう。
大体そんなもの聴かなくたって世の中には「楽しいこと」がいっぱいあるのだ。

ところが1960、70年代のジャズ全盛期ではコルトレーン・サウンドが神様だった。
激しく難解な音楽は当時の社会情勢や政治状況と合い重なって、
「わけが分かんないから素晴らしい」というまさに訳の分からない理由でもてはやされた。
その代表格がコルトレーンだったわけだ。

僕にはコルトレーンが何を考えていたか分かるわけもないが、
時々その激しいブローの中に一抹の悲しさを感じたりもする。
途切れることのない音は、吹いていないことへの不安だったりするのかもしれない。

そんなコルトレーンへ捧げられた曲がある。
「ア・メッセージ・フロム・トレーン」
ジャッキー・マクリーンの『デモンズ・ダンス』に収録されたものもいいが、
僕はアーチ・シェップの『スチーム』を推す。
コルトレーンに心酔していたシェップが
ピアノレスでテナーをブリブリに吹きまくっている。
その演奏はまさにコルトレーンが乗り移ったかのようであり、
途切れることなく一本のメロディーが蕩々と流れだし、やがて空間へと広がっていく。
そこにはタイトル通り「コルトレーンからのメッセージ」を受け取った
1人のテナー奏者がいたのだ。