国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「ジャズ」を聴きたいと思ったら、ドナルド・バードを聴け!

2010年01月17日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
新譜を聴いた耳にはどこか電子音がこびり付いたように「ふぁ~ん」とした感じが残る。
そこでよりジャズがジャズらしい音楽を聴いてみようと思うのなら
やっぱりブルーノートである。

今日の1枚はドナルド・バード初リーダー作『オフ・トゥ・ザ・レイシズ』である。
ドナルド・バードはそれまでもブルーノートの作品には顔を出していたが
4000番台で初リーダー作というのは少々遅い感がある。
録音されたのが1958年12月。
翌年にジャズの最高傑作と名高い『カインド・オブ・ブルー』があることを考えると
ちょうどジャズ変化の大きな節目に来ていた時期だろう。
それまでのソロイストたちが曲をこね上げていくだけでなく
グループのサウンドが一体となりまとまりのある世界を生み出していく
そんな変化の時だった。

ドナルド・バードの初リーダー作は三管という厚みのあるサウンドで
全曲快調に飛ばし続ける。
メンバーにはジャッキー・マクリーンにペッパー・アダムス、
ウィントン・ケリーにサム・ジョーンズ、アート・テイラーと
いぶし銀な編成もジャズファンにはたまらないだろう。

バードの曲は3曲あるがどれもノリノリで軽やかである。
のちの双頭コンボの相方となるペッパー・アダムスの
バリトンサックスは低い位置で楽曲全体を支えている。
マクリーンがいいのはいつものことで、パーカーのソロを所々に引用しながらも
自分流にソロを昇華していく。
ウィントン・ケリーに関しては言うに及ばず、
有名から一歩離れるがアート・テイラーのドラミングにはインパクトがある。
そしてドナルド・バードの柔らかで艶やかなトランペットは、
楽曲全体のまとめ役にもなっている。

このリーダー作後、バードの作品が増えたのは当然のことだろう。
まさに「ザ・ジャズ」ってところが何とも心地よいのだ。