国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

このアルバムは地球サミットや~

2010年01月14日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
「音楽に国境はない」という。ここ近年のジャズはまさにその通りである。
基は黒人たちの音楽から発展してきたジャズであるが、
最近ではイタリア、北欧などヨーロッパ的なサウンドを取り込みながら、
一方で原点であるアフリカの民族音楽にルーツをさぐっている。
他方インドなどオリエンタルな響きに新しい活路を見いだしている曲もある。
ジャズは何でもありなわけだ。
考えてみればジャズには黒人の作りだしてきた音楽的要素を
白人たちが取り入れ発展させて、再び黒人がてこ入れをするという流れがあった。
多くの黒人たちは「自分たちが作ってきたものなのに」と
辛苦を舐めてきたエピソードも数多くある。

そんな柔軟性というか、
何でもごちゃ混ぜにしながら続いているジャズ史を見てみれば、
ジョー・ザヴィヌルのようなヨーロッパ出身の奇才が生まれても不思議はない。
「ウェザー・リポート」の中心として70~80年代まで活躍し、
解散後「ザヴィヌル・シンジケート」を結成し、より世界的なサウンドを求めていった。
今日の1枚『マイ・ピープル』は、
そんなザヴィヌルのいよいよの集大成といえる作品だろう。

僕らがジャズに求めるのはその軽快かつ自然と身体を揺らすリズムにある。
僕はエジプトでナイル川下りをしたことがあるが、
そのときの船で船頭がタンバリンを持ち出し、そのリズムに合わせながら歌ってくれた。
この単純さとリズムへの適応性が何ともいえないジャズ的で、アフリカ的なのだろう。
『マイ・ピープル』には多くのアフリカミュージシャンが参加している。
そしてキーボードの申し子ザヴィヌルは、
自らのルーツである西洋音楽理論を組み合わせて世界的な新しい音楽を創りだしている。

これはアルバム全体が「地球の音」なのだ。
これは繰り返し聴いて、そのリズムに身を委ねるしかない!