国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

何度ドラマーをイカせられるか?

2010年01月15日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
今日のアルバムは正直初めて聴いたときは全く分からないものだった。
どの入門書でも褒めているし、
この人の代表作として出てくるのがこのアルバムであるから
これを聴いて何だか分からなかった僕は
「とにかくジャズを聞いているだけ」だったのだ。
少し間を空けて(といっても2年ぐらい空いたと思う)、
改めて聴いてみるとその凄まじさにショックを受けた。

今日のアルバムはオーネット・コールマンの
『アット・ザ・ゴールデン・サークル Vol1』だ。
メンバーが雪の平原(?)立つ印象的でカッコイイジャケットだ。

漫然と聞いているとそのまま流れていってしまうが、
オーネットのアルトの響きに耳を沿わせて追っていくと
いつの間にかそのトリコになっている。
オーネットのサックスはあっちに行ったかと思えば、
急にこっちというように音が行ったり来たりする。
凄まじい勢いで吹き込んでいくメロディーラインは、
込み入った感じではなく、むしろ児戯のような単純さがあるが、
その単純さが得てして難しく、そこにオーネットの魅力があるのだ。

1曲目の「フェイセス・アンド・プレイセス」は、
高速で吹きまくるオーネットの勢いにドラムもベースも白熱してくる。
特にドラムのチャールス・モヘットは、何度イッてしまったことだろうか。
辛抱たまらんと叫び声を上げ、勢いに任せて叩き込む。
後は野となれ山となれ的なリズムの間を縫うように
オーネットは冷静に天上に向けて音を放っていく。
外の雪景色と対照的に、
ゴールデンサークルの中は大変な燃え上がりとなるのは必然だろう。

初めてこのアルバムをちゃんと「聴いた」とき、
あまりの凄まじさとオーネットの創り出そうとする音楽の輪郭線が
ちらりと見えてきたのはちょっとした感動だった。
これこそジャズを聴く楽しみなのだろう。