10月27日に開催した「福島原発自己30キロ圏外避難者の支援と完全賠償を求める院内集会の集会宣言です。
集会宣言
福島第1原発の事故から7か月余りが経ちました。
原発からは、大量の放射性物質が、住宅地に、野や山に、空や海に、そして地下水に撒き散らかされました。
大切な故郷は放射能によって汚(けが)されてしまいました。
わたしたちは、放射能の恐怖から逃げるしかありませんでした。政府から避難の指示が出ているかどうかは関係がありません。汚染された場所から逃げるという当たり前の行動をとっただけです。
しかし、区域外避難者は、「自主避難」と呼ばれて、避難についての支援をあまり受けられないという差別を受けています。政府の指示がないのに避難しているからだそうです。
放射能汚染を耐え忍んで暮らしなさいなんて、政府に決められるいわれはありません。現に、福島県を中心に放射能汚染地域がひろがっています。たとえ低線量であっても、被曝は怖いです。被曝については分からないことが多く、低線量でも健康への影響は否定できないという考え方もあります。予防原則に従えば、可能なかぎり被曝を避けるのは当然のことです。放射能に対する感受性が強いとされる子どもや妊産婦は、特に被曝を避けなければなりません。
避難生活を続けていくのは、大変な費用がかさみます。福島に残る生計維持者(多くは夫です)と離ればなれになり、二重生活を強いられている家族も多いです。生活物資は福島と避難先とで別々に用意しなければなりませんし、福島と避難先を往復する交通費もかさみます。小さな子どもを抱えている家族は、子どもの医療費も大変です。避難所では食事が出ていましたが、仮設住宅扱いの公営住宅や借上げ住宅では食事が出ません。家族全員の食費の出費が重くのしかかっています。今こそ、支援が必要なのです。
しかし、区域外避難者には、支援の手が十分に差し伸べられていません。
原子力損害賠償紛争審査会の中間指針も、区域外避難者に冷たい態度でした。中間指針では、区域外避難者は東京電力の損害賠償の対象範囲として明記されませんでした。わたしたちの希望は、避難区域の内外を問わず、すべての被害者に完全な賠償を行うこと、そして、汚染された地域を原発事故の前と同じ状態に戻し、元通りのふつうの暮らしを取り戻すこと、すなわち原状の回復の実現です。原賠審では区域外避難者にも損害賠償の範囲を広げるという話もありますが、予断を許さない状況です。わたしたちは、東京電力に対し、完全賠償と原状回復を強く求め、みんなの力を合わせてわたしたちの願いを実現させたいと思います。
政府が勝手に決めた区域の外だという理由で支援も賠償も受けられないなんて、あまりに理不尽です。集会参加者の総意として、区域外避難者にも手厚い支援と完全な賠償を実現するよう、政府・関係機関および東京電力に対し、強く求めます。
2011年10月27日
院内集会参加者一同