とすねっと要望書第22号に対する東京電力(株)からの回答書に対し、以下の意見書を送付しました。
「電気料金の免除に関する要望書」に対する回答についての意見
平成23年10月11日
東京電力株式会社 御中
東京災害支援ネット(とすねっと)
代表 弁護士 森 川 清
(事務局)〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-14
SK90 ビル302 森川清法律事務所
TEL03-6913-4650 FAX03-6913-4651
意見の趣旨
1 貴社の回答は、電気料金免除の要望を無視するものであり、到底受け入れられません。
2 福島第1原子力発電所の事故または東日本大震災のため災害救助法の適用地域から東京電力管内に避難している被災者に対し、避難先の住宅等の電気料金を免除するよう重ねて要望致します。
意見の理由
1 わたしたちは、主に都内において東日本大震災及び福島第1・第2原子力発電所事故の被災者を支援する活動に携わっている弁護士・司法書士・市民等のボランティア・グループです(代表・森川清弁護士)。インターネット(ブログ)やニュースレター「とすねっと通信」を通じて被災者に必要な情報を提供するとともに、中央共同募金会その他の民間諸団体の協力を得て、無料の電話相談や、避難所や被災者に提供された公営住宅や旅館・ホテルでの訪問相談、避難者等に対する物資支援・子育て支援等の活動を行っております。
2 さて、平成23年9月29日に要望させていただいた件について、貴社からの平成23年10月7日付けでご回答をいただきました。しかし、その回答には電気料金の免除は盛り込まれず、被害者・被災者の方々にとって受け入れられるものではありません。そこで、下記の点について再度ご検討いただき、改めて福島第1原子力発電所の事故または東日本大震災によって避難している避難者全世帯に対し、避難先の住宅等の電気料金の免除を要望致します。
3 まず、貴社の避難者に対する電気料金に関する支援ですが、貴社の回答では避難指示等がなされた区域内から避難している方を対象としています。しかし、原発事故被害者の救済及び被災者支援という観点から、避難指示区域等内外を問わず、福島第1原子力発電所の事故または東日本大震災から避難されている全世帯を対象とすべきです。
また、貴社は加害企業であり、大変な生活苦を背負わされている被害者に対する電気料金の免除の要望を公平性と欠くことを理由に退けることができる立場にありません。被害者の中には、福島県と首都圏とに家族が分かれ、二重生活を送っている方も多いのです。賠償請求を待たずに、避難費用の軽減措置を講じるのが、公共性を有する電気事業者の責務ではないでしょうか。
次に、貴社は9月30日の申請により電気料金の支払いを猶予することとしたとしています。しかし、原発事故の被害者を救済する責任が貴社にあること及び避難者の避難生活の経済的負担を考慮すれば、電気料金の支払いを免除するのが当然です。
なお、貴社の支払い猶予を今年の3~11月分までしか認めていません。今になって3月分の電気料金の支払いを猶予するといっても、多くの被害者・被災者は支払いを済ませてしまっており、貴社の猶予措置は意味を成しません。多くの被害者にとって実質的に猶予の意味があるのは、おそらく、わずかに9~11月分だけでしょう。しかも、苦しい避難生活は来年も続くことが必至であるのにもかかわらず、年が明ければ一挙に支払いが求められるのですから、そもそも被害者の支援策として実効性を持ちえません。
そして、貴社は、避難者からの申出に応じて、猶予の措置を講じるとしています。しかし、このやり方では、避難者が申出をしない限り支払猶予を受けられないこととなり、申出をすべきことに気付かずに電気料金を支払った方との関係で、公平性を欠くおそれがあります。申出を求めることはやめるべきです。
以上