智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

弘法、筆を選ぶ

2016年03月07日 | 書道、絵を描く
甥っ子と始めた書道も、2年目に入りまして、

目下、漢詩 「春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少」 

昨年12月から練習を重ね、現在 化粧和紙にて清書に取り組んでいます。

10cm*12cm 四方に、小筆で書きます。


日々練習していますが、成長期と緩慢期が交互に訪れ、スランプに陥ったとき、

先生から「気分転換に どう?」と渡された和歌

「田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ 」

これも同時進行で練習し、現在 短冊に清書しています。


ある日曜日、練習を中断して、夫のために昼ごはんを用意した後、再開しますと・・・

墨の具合が悪くなり、連動して筆も変になり、こんなことになるものか・・・と驚きました

そこから諸問題が起きて、筆、下敷き、墨、硯、お道具の全てが気になりだし、

やはり、学生の頃、考えなしに使っていた道具では、いけないのでは・・・・?と疑念が湧きました。


丁度タイミング良く、夫の長姉が訪問し、義姉は長年書に親しんでおり、

「小筆を仕入れたから」と、5本も分けてくださり、お道具について、様々な助言をいただきました。

早速、意気揚々と頂いた小筆を用いますと、、、、、残念なことに、腰が弱くて、私には合いません。


しかし、「道具には こだわるべきで、自分の筆を探さないといけない」と理解しましたので、

意を決して、神田司町の「栄豊斎」の戸を敲きました。

このお店、日本橋三越に行く途中にあり、以前より気になる存在でしたが、

門構からして、いかにも老舗の専門店の風格で、敷居が高く感じられ、躊躇していましたが、

気合を入れて「こんにちは~、筆を見にきました~」とご挨拶して入りましたが、お昼時のためか、誰もいません。


奥行きのある店の片壁一面は全て、筆。圧倒されます。

白髪交じりのダンディーな男性が、「何をお探しですか?」 と近づきます。

「小筆を」と申しますと、

「何を書いていますか?」と問われ「漢詩と和歌です。」と答え

「漢字は何文字?」と質問され 「20字です。」と応え、

「何に書いているの?」 「半紙で練習して、化粧和紙で清書しています」

何やら技量を問われているようで・・・、答えと同時に 汗が出ます。


義姉から、羊の毛の筆をいただいたが、自分に合わず、これまでタヌキの毛の筆を使っていた、

と事情を説明しますと、「イタチ、しかも国産を勧めます。」

羊は柔らかく、タヌキは強く、イタチがほどよい腰、弾力だそうです。

国産と中国産、各メーカー全種を取り揃えているようで、その中から

穂先の太さ、長さ、持ち手の太さを見て、これまで使ってきたものと比較して、2本選び出しました。


お次は、墨。「きめ細かく、なめらかな墨であること。」と希望を伝えると、

店員は「では、これ。」私「それにします。」


引き続き「硯も探しています。」と申しますと、

店員は目を輝かして「筆、墨、どんなに良くても、硯が駄目だと、活きないからね、重要だよ。これを勧めます。」

さすがに値が張るので、念のため対比となる他の候補の説明も受けて、「お勧めの、これにします。」


更に、「フェルトはありますか?」

「下敷きなら、2mm、3mm厚があり、大きさは・・・」と、希望のサイズを出してくれます。


「半紙をしまうものは、ありますか?」

最初のプラ製には、首を横に振り「他には?」、それならと、化粧和紙で装丁された紙入れ数種を出され、

私が装丁の柄を選びますと、店員も「趣味がいいです」と頷きます。


以上、お会計の段、レジにいる店員に、ロマンス・グレーの店員が金額を指示します。

「これとこれ、3割引。・・・・いや、全部3割引きにしてあげて! 若くてきれいな人には、割り引くよ~。

店には、おばさんか、おばあちゃんしか来ないしね~」

「私も、十分、おばちゃんですよ。」と笑いながらうつむきますと、二人の店員は「えっつ!?」という顔でこちらを見ます。


最後に、一緒に選別してくださったことにお礼を告げて、「次回もまた、教えてください」とお願いしますと、

「いつも店にいるわけじゃ、ないんだ。暇な時、顔出しているんだけど。でも、また、応対しますよ。」

もしかして、かのロマンスグレーさんは、店員さんではなく、社長さんなのかもしれませんね。


3割引きは大きいです! 「若くて綺麗」という褒め言葉で、すっかり気を良くした私、

これからも、このお店に通うことでしょう~

 




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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (goodshot)
2016-03-08 23:34:55
義母が以前書道教室を開いていた事もあり、その達筆な年賀状を見ていつも感心していました。もちろん小筆で書いています。
気持ちを落ち着かせるには写経が良いと言っています。実は現在の転勤地の近くに有名な硯の産地がありまして、そこの石で作る硯を端硯と言いますが、義母へのプレゼントとしてちょいと奮発して硯を贈りました。まあ日本人が買いに来たので、高いものから勧められてしまいましたが、そこは鍛え上げた値切り交渉スキルで切り抜け、まあそれはどうでも良いですが、贈った義母にも喜んでもらいました。義母も、硯を良いものにしたので、筆や墨もアップグレードしないと、と言ってましたね。
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good shotさんへ (智の庭)
2016-03-10 12:48:02
以前、奥様が書に秀でていらっしゃる旨、コメントを頂いておりましたが、お義母様の血をひいていらっしゃるからですね。
good shotさんのお子様方も、書をされますか?

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Unknown (goodshot)
2016-03-18 08:37:39
長男は私に似た乱筆で、大学生にもなり多少コンプレックスがあるみたいです。下の3人は幸い妻に似て字はキレイです、書はやっておりませんが。字まで親に似るんですね。
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