智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

夏目漱石、「心」

2014年08月08日 | 読書、観劇、映画
今、朝日新聞朝刊で、漱石の「こころ」を100年ぶりに連載しており、

毎朝、楽しみにしている読者の一人です。

確か、中学生の頃、夏目漱石の著書に傾倒した時期がありました。

大人になったら、もう一度読んでみよう、と当時思ったものですが、

大人になって、ずいぶん久しいのですが、朝日新聞がきっかけを与えてくれました。


ある日、漱石先生の一文に「うーん」と唸って、早速、夫に音読して聞かせました。

皆様にも、ご紹介申し上げます。


「あなたもご承知でしょう、兄妹の間に恋の成立した例のないのを。」

「始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺激の起こる清新な感じが

失われてしまうように考えています。」

「香を嗅ぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限る如く、

酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那にある如く、

恋の衝動にもこういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。


一度平気で其所を通り抜けたら、馴れれば馴れるほど、親しみが増すだけで、

恋の神経はだんだん麻痺して来るだけです。」

「私はどう考えな直しても、この従妹を妻にする気にはなれませんでした。」


私の夫君は、妻である私との距離感、男女の緊張感を大切にするところがあります。

音読後、夫に「あきちゃんが、言っていたことって、このことよね」

夫も「うんうん」と肯いておりました。

「なるほど!」漱石先生ありがとう。先生の名文で、夫の心理が読み解けました。

それにしても、漱石先生、シェークスピアのようですね。

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