ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔09 七五の読後〕 【「老いるショック」は3度来る】江見 康一 かんき出版 

2009年06月08日 | 〔09 七五の読後〕
【「老いるショック」は3度来る】江見 康一 かんき出版 

著者は元、一橋大教授。
著書に「資本形成」なんて難しい本もある。
この人が81歳の時、東京から赤穂まで680キロを自転車で走破した。
 「老いるショック」の表題をつぶやいていたら「オイルショック」になった。
ははア 掛けているなと思ってパラパラめくり面白そうなので読んだ。

● 早駕籠を自転車に換え赤穂まで   
著者が旧制の赤穂中学在学中に恩師が急逝。
元禄14年に江戸城内松の廊下の大変事があり浅野屋敷から早駕籠で赤穂城へ急報したことを著者は思い出した。
その故事にちなんで恩師の霊を慰めるため東京の浅野屋敷から赤穂までの自転車行を18歳の著者が思い立った。
時に昭和14年。
太平記や平家物語の旧跡を尋ねながらも103時間かかって赤穂に到着。 ちなみに浅野家来が費やした時間は108時間。
平成14年。
テレビ「あなたの夢を応援する」に応募から夢がふたたび花開き、また同様の方法で赤穂へ。
トラック、トレーラーの爆音の行き来する中、ついに無事本懐を遂げた。
昭和14年から平成14年までの63年間の時の流れを実感しつつ、今度は妻への慰霊の自転車巡礼だった。
途中、吉良の菩提寺にも寄ったという。

● いつまでも 年相応の夢を持て
● リタイア後 まだまだあるある三十年

私も公民館へ出かけ碁を打つ。強くなりたい夢を持っている。脚がしびれて立つことがキツイこともある。
週1、2回のテニスもやる。アキレス腱切断で入院したのが3年前。でも、いまだ懲りない。
菜園で鍬も振るう。農園仲間と酒を飲んで駄弁るのが楽しい日々ともなっている。
ときめき、夢、熱さ。
はて、この先、どこまで続くのか。

● マンコロと幸若舞は重なって
私は東京オリンピック前年、昭和38年に入社したが、当時の定年は55歳。
その頃、蔭でマンコロということばがあった。
朝刊は夜作られる。
深夜勤務の激職が続き満期を迎えてコロッと逝く人をマンコロと言うんだと教わった。  

永禄三年(一五六〇)五月、信長は桶狭間合戦の出陣前夜、「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり、ひとたび生をえて、滅せぬもののあるべきか」と、幸若舞「敦盛」を舞った。
当時は人間50年。
いまはピンピンコロリのことばがある。
病に苦しまず、元気に長生きし、ある日突然にコロリと逝こうということらしい。

● これからの おいるショックをどうかわす
初老 45~
人生マラソン・レースの折り返し点である45歳頃で、この時から初老の衝撃が来る。
オレは若いと思って、ある日入浴後の鏡の前でビクッとする。
著者はこれを第一次老いるショックとした。
額は大きく後退、豊かな髪だった頭のテッペンがかなり薄い。
だが、まだまだ現役、人よりは老けてないゾ。
なんだ坂、こんな坂の自信もある。
その昔、アンチエイジングというのか加齢に抗した「48歳の抵抗」という映画もあった。
原作は石川達三、脚本は新藤兼人。
ロマンスグレー役が山村聡で相手役が若尾文子。

中老 65~74 
第二次老いるショック。
嫌でも年金にウエイトのかかる生活体系となっている。
これから私の歩む道でもある。
老化判定法というのがあるそうで、3分以内のスピーチが守れない。
かっての肩書きと使わない名詞が捨てきれない。
達者自慢で孫のことを、とくとくと自慢する。
20分以内に同じ話を繰り返す。
しかし、若い時から私も含めて酒の仲間は酔えば話がくどく、反復する会話はザラにあった。
だとすればこれからどうなる?  

高老 75~90 
第三次老いるショック。
入れ歯、補聴器、杖などの補助具が必携になってこよう。
しかし例外であこがれの人々もいる。
以下は目標、あこがれの人たち。
 「書いた、恋した、生きた」の宇野千代さんは98歳で大往生。 「生きかた上手」の聖路加国際病院名誉院長の日野原さんはいまだ現役。
75歳でエベレストに再登頂した三浦雄一郎さん。
89歳の女優森光子はこの5月29日、「放浪記」上演回数記録を2017回に伸ばしたの報道もある。
ああ、あやかりたい、あやかりたい。

● ショックとは昔オイルにいまマネー
オイルショックは1973年10月の第四次中東戦争がきっかけだった。
中東の石油を頼りにしてきた日本の経済を脅かした。
石油がなくなるゾ。石油危機、石油ショック、のことばが新聞にあふれ、便乗値上げ、狂乱物価などが見出しとなった。
銀座からネオンも消えた。
インフレ抑制のため公定歩合が引き上げられ、設備投資などを抑制する政策がとられた。
今のマネーショック(金融危機)とはまったくの逆だ。
ともあれ「老いるショックを感じたら老いるマネーを考えろ」と経済学者の著者は説く。
健康と経済と心のありようを3Kとし、これを老後への持参金にせよとも。
株式投資の話にまでひろげて老いへの準備をすすめているところも面白かった。

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