欧米の企業では部門やラインマネジャーに人事権が付与されていますが、日本では長らく中央集権の人事部に人事権がありました。
全体最適、部門間の調整という意味では機能していたのですが、昨今では評判がよくありません。
好き嫌い人事、秘匿主義、人事権濫用・・・時代とミスマッチを起こしつつあります。
日経ビジネス誌2024/9/9号の特集記事は「人事部クライシス 人的資本経営、本丸を立て直せ」。
ニッポンのカイシャの奥の院、人事部を特集しています。
調査によると90%の社員が人事部に不満を持っているそうです。
嫌われ者の人事部です。
Contents
Part1 不信感と役割増、業務過多で残業三昧 9割「人事部に不満」DX活用に期待の声
Part2 向き合える組織へ 変革の3つの処方箋
Part3 AIで業務効率化 人事プロの相棒に
この特集記事では、日立、IBM、アサヒビール、味の素、みずほHDなどの事例が紹介されています。
伏魔殿と言われる会社、組織・・・従来の人事部の仕事では時代についていけなくなっています。
経営陣、投資家も含めた人的資本経営、人事ビジネスパートナー(HRBP)、DX活用、AI活用、人事のアウトソーシング、シェアードサービスなどの対策を打ち出しています。
ジョブ型雇用、職務給導入などが進めば、欧米企業のように事業部、カンパニーのライン長への人事権の移管が進んでいくと思います。
また、AIやDXの進化により、社員ごとに人事評価、査定がスコアリングされ、これに基づき人事のプロフェッショナルが昇進・昇格・異動などを行うことも進んでいくと思います。
人的「資本」経営では、財務諸表のように人材が「数字」「スコア」化されていくと思います。
これにより、成果主義人事、業績主義人事が加速していくことになります。
人口減少による人手不足、疲弊する労働現場、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革をはじめとする労働法改正・・・。
人事部の仕事は、外部環境、経営陣からの要求と社員、労組との板挟みになり、過酷なセクションになっていくと思います。
今までのような、奥の院的なデスクワークでは持ちこたえられないでしょう。
会社、組織にとって最も大切な経営資源は、人財。
ヒトのチカラを最大限に発揮できる「場」を作っていただきたいものです。