情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

沖縄密約文書公開の直前に、西山記者の上告を棄却した最高裁の意図…

2008-09-03 13:39:12 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 いやぁ、挑戦状を叩きつけるつもりが見事に先制攻撃をされちまった。9月2日、すでに紹介したように、沖縄返還の際、日本が米国に裏金を支払うという密約の存在を裏付ける合意文書の公開請求を行った(※1)。ところが、9月2日当日の午後1時、密約情報を入手した元毎日新聞西山記者のもとへ、西山さんが密約があったにもかかわらず起訴したなどによる損害の賠償を求めて起こした訴訟の上告が棄却されたとの知らせが届いた(※2)。

 この訴訟では、西山さんは沖縄密約文書がアメリカで公開されていることも主張していたが、裁判所はそのことには触れていない。

 その密約について文書を開示するよう求める直前に、最高裁が上告を棄却したことは偶然とはとうてい思えない。

 この情報公開については、東京新聞が7月に報道し、サンデープロジェクトが8月第4週に放送したうえ、朝日新聞が直前に報道している。最高裁判所は、いつ、奥平教授らが情報会をするかを正確に把握していたはずだ。しかも、数日前からは午後2時弁護士会集合、午後2時15分外務省に情報会請求書提出という流れを示した案内をマスメディアに多数配布していた。

 最高裁は、その2時集合をあざ笑うかのように、午後1時に上告棄却を伝えてきたのだ。

 そのタイミングの良さは、東京地裁、東京高裁の裁判官に、「いいか、密約文書について訴訟になっても最高裁は動じない。これまでどおり無視しろ」というメッセージを伝えるためのものとしか思えない。

 しかし、最高裁の判断は誤っていた。このタイミングで判決を出した場合、バランス上、判決のみを伝えるわけにはいかなくなるため、報道各社とも情報開示請求のことも伝えざるを得ないのだ。

 沖縄密約文書については、アメリカで公開された公文書を巡って各社とも少しは報道していたが、NHKだけはまったく伝えなかったという。まるで政府を擁護するかのようだったらしい。

 ところが、この日、NHKは深夜枠ながらも、今回の情報開示請求を報道した。NHKまでもが報道したことの意味は大きい。

 最高裁は策を弄して自らその策にはまったようなものだ。

 自民党公明党政権の交代も近いように思う。

 情報公開請求が反撃ののろしとなるようご支援ください!


※1:http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-03-M_1-027-1_001.html?PSID=ab0af09f8164c01371cff459590de2d9

★重要なので記事を転載します。

【東京】沖縄返還に至る過程で日米の政府高官が交わした「秘密合意議事録」など三通の行政文書について、県内外のジャーナリストや学者らが二日、外務と財務両省に情報公開請求した。原則として三十日以内に回答がある。「文書不存在」という回答が予想されており、請求者らは、行政処分取り消しを求めて東京地裁への提訴も検討している。

 請求した文書は、一九六九年十二月二日付で日米財務官僚が交わした「秘密合意議事録」と七一年六月十一、十二両日付で日米の外交官が交わした「秘密合意書簡」の計三通。具体的文書を指定して公開請求をしたのは初めてという。

 請求者の共同代表は、ジャーナリストの原寿雄さんと筑紫哲也さん、憲法学者の奥平康弘さんの三人。そのほか国家公務員法違反罪で訴追された元毎日新聞記者の西山太吉さんや我部政明琉大教授ら計六十三人が名を連ねた。

 沖縄返還をめぐっては、米側負担と定められた軍用地の原状回復補償費四百万ドルを日本側が肩代わりする密約など、複数の秘密合意があることが米側文書で裏付けられたが、日本政府は一貫して否定している。

 都内で行われた会見で、原さんは「日本のジャーナリズムとして放置できない問題。知る権利の新しい戦い方として情報公開請求をした」と説明。奥平さんは「日本の民主主義の根幹を問うものであり、政府が『不存在』という回答をしても、追及の手を緩めてはならない」と強調した。

 西山さんは「文書には日米の交渉責任者のサインがあり、存在しないと逃げることはできない。国民の主権を根本的に検証するものだ」と意義を語った。

 情報公開を請求した県内メンバーも二日、県庁記者クラブで会見を開いた。

 沖縄対外問題研究会の宮里政玄代表は「沖縄返還交渉も(海兵隊の)グアム移転も原理は同じ。沖縄が利用されている」と指摘。フリージャーナリストの土江真樹子氏は「沖縄で生きる私たちがまず密約を知る権利がある。沖縄の現状の基になる返還密約を明らかにしたい。多くの県民、国民の理解や支援を求めたい」と呼び掛けた。

 沖縄大学の新崎盛暉名誉教授は「米国は強引だが、一定のルールがあって何年後に情報を公開するが、日本政府は一切なく、外交姿勢に緊張感を欠いている」と政府の外交姿勢を非難した。



※2:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/115335.html

★重要なので記事を転載します。

一九七二年の沖縄返還交渉時の日米密約をめぐる外務省機密漏えい事件で、国家公務員法違反で有罪が確定した元毎日新聞記者西山太吉さん(76)=北九州市=が不当な起訴で名誉を傷つけられたとして、国に損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は二日、西山さんの上告を退ける決定をした。原告が敗訴した一、二審判決が確定した。

 裁判官四人全員一致の決定。藤田裁判長は「原告は違憲を言うが、事実誤認や単なる法令違反を主張するもので上告事由に該当しない」と述べた。

 西山さんは七二年四月、国家公務員法違反で起訴された。今回の提訴は約三十三年後の二〇〇五年二月で、不法行為から二十年で損害賠償請求権が消滅する除斥期間の適用が争点となった。

 一審東京地裁判決は「不法行為が成立するとしても、請求権は既に消滅した」と判断。二審東京高裁判決も「除斥期間満了まで、訴えの提起が不可能な状況にあったとは認めがたい」と、いずれも除斥期間を適用して原告の請求を棄却した。

 一、二審判決とも、沖縄返還に際し、米国が負担すべき軍用地の原状回復補償費四百万ドルを、日本政府が肩代わりするとした密約の存在は判断せず、最高裁も言及しなかった。



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