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情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

山崎拓が当選…法案は?!

2005-04-24 22:26:46 | 人権擁護法案(原則必要派)
【24日投開票の衆院統一補選福岡2区で、再起をかけた自民前職の山崎拓氏が民主新顔の平田正源氏、共産新顔の山田博敏氏ら5氏を破っての議席奪回を確実にした。
 03年衆院選で民主公認で当選した古賀潤一郎氏が学歴詐称問題で議員辞職したことに伴う補選。】
この背景には、
【首相が2回応援に入るなど、自民党も総力戦で臨んだ。前回は山崎氏の女性問題もあって本腰を入れなかった公明党も、全面支援に転じた。
 民主党は政権交代へのステップと位置づけたが、「反自民」「反山崎」の風をつかむことはできなかった。学歴詐称問題のダメージも引きずり、労組など支持組織の動きも鈍かった。 】
http://www.asahi.com/politics/update/0424/007.html?t1
という事情があったという。

山拓との選挙がらみで、動きがあったとされる人権擁護法…。投票日直前に不透明な自民党内の動きがあった。この一連の動き(再提案のきっかけから今日まで)からは、人権擁護法を成立させようという方向に流れることが予測される。

民主党の皆さんが今回の補選で弱気になって対立姿勢を弱めたら、もう、止めようがない。大変な事態になった…。

大変な事態っていうのは、人権救済機関が法務省所管に置かれるなど独立性に問題があること(泥棒に取り締まりをさせるようなもの)、メディア規制が入っていること(権力を監視するところが権力によって監視されるという茶番)という2点です。外国人が人権擁護委員になることは大いに賛成です。


http://www.asahi.com/politics/update/0424/007.html?t1

やはり…人権擁護法案今国会提案に向けさらに一歩

2005-04-23 04:39:01 | 人権擁護法案(原則必要派)
人権擁護法案が今国会で提出される可能性がさらに高くなってきた。

読売新聞によれば、
【自民党の与謝野政調会長は22日、法務部会・人権問題等調査会合同会議で、平沢勝栄法務部会長と古賀誠人権問題等調査会長が人権擁護法案について異なる見解を示した問題で、古賀氏への一任を認める裁定を下した。
 裁定により、法案は政調審議会に審議の場を移す運びだ。ただ、反対議員らは26日に法務部会で法案の審議を続行する構えを見せており、国会提出までにはなお曲折がありそうだ】

ということらしい。
記事はさらに、

【古賀氏は22日午前、党本部で与謝野氏と会い、21日の合同会議で法案の扱いについて「一任を取り付けた」と報告した。与謝野氏は平沢氏を呼び、「古賀氏が座長として、一任を取り付けたことにしてほしい」と伝えた。
 一方、政府案に反対する自民党議連「真の人権擁護を考える懇談会」(会長=平沼赳夫・前経済産業相)は22日の役員総会で、「議論を打ち切り、一任を宣言するかのような行為があったことは誠に遺憾」とする決議文を採択。平沼氏らが与謝野氏に、議論の継続を直訴した。
 与謝野氏は、法案の扱いは古賀氏に一任されたとの見解は撤回しなかったものの、「私が十分に納得しない限り法案を政務調査会、総務会に上げない。再度平沢氏とよく相談する」と述べた。 】
と続けている。


自民党の一部議員が国籍条項を入れるべきだなどと騒いだのは、結局、独立性などの点で問題の多い
人権擁護法案を修正しないで通すための、マッチポンプだったのかもしれない…。

このままでは、弊害の大きい法律になってしまう…。


http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/seiji/20050422/20050422i212-yol.html?C=S

自民党が人権擁護法案提出の構え…

2005-04-22 07:53:18 | 人権擁護法案(原則必要派)
新聞各紙によると、

【人権擁護法案をめぐる自民党内の調整は二十一日、今国会での法案成立を目指す推進派の古賀誠元幹事長が、合同部会での「一任取り付け宣言」に打って出て、新たな局面を迎えた。賛否両論が対立する中で、古賀氏らが一気に勝負をかけた背景には、二十四日の衆院統一補選を追い風に、決着をつけるには「このタイミングしかない」(古賀氏周辺)との思惑があったようだ。ただ、反対派もより強硬になった側面があり、「一任」でもめた郵政民営化法案と同様、党内の火種となった。】(産経)

【自民党は21日、法務部会・人権問題等調査会の合同部会を開き、党内の反対で今国会に提出できずにいる人権擁護法案の扱いを協議した。人権問題等調査会長の古賀誠元幹事長が途中で「一任を取り付けた」と主張して退席したが、反対派が猛反発。平沢勝栄法務部会長は「一任にはなっていない」として議論を続ける考えを表明した。近く古賀、平沢両氏が会って、改めて今後の対応を協議する。】(朝日)

とのこと。

公明党のヤマタク応援への恩を返すためにも、自民党がメディア規制のあるままで人権擁護法案を出す可能性は高いのではないでしょうか。

人権擁護法案に国籍条項を設置しようとする背景…

2005-04-10 09:16:23 | 人権擁護法案(原則必要派)
与党議員が人権擁護法案に国籍条項を設置しようとする動きに対して、批判が今ひとつ盛り上がらないのは、日本という国の不寛容さの現れではないかとさえ思ってしまう。

あるビルマ人男性について、ビルマ情報ネットワークは次のように伝えています。
http://www.burmainfo.org/pfb/ua20050126.html

 1992年、本国での迫害を逃れ来日。
 2002年11月、警察による摘発で拘留され、そのまま入国管理局に収容されました。
 その後、2002年12月、難民認定を申請。2004年4月、1年5ヶ月もの収容期間を経て、仮放免が許可され、東日本入国管理センターより解放されましたが、仮放免許可書の”仮放免の条件”に「就労又は報酬を受ける活動を禁止しする」と付されました。
(*仮放免とは、在留資格の審査の間、入国管理局での収容を解く制度。)

 Kさんは、2004年12月、東京入国管理局より呼び出しを受け、就労に関する取調べを受けました。
 その後、2005年1月に仮放免許可更新のため、入管へ出頭したところ、就労していたために条件違反として仮放免許可が取り消され、再収容となったのです。
 しかし、難民申請者やKさんのような裁判中の人が日本の中で生存を確保する道は何ら保障されていません。何もないのですから、彼らは生きていくために働かざるを得ません。働くなといいながら、何の制度も用意しない法務省の姿勢には矛盾があります。

 裁判は長期化し、一体どうやって暮らせばよいのか?
 就労禁止は犯罪を犯せといっているに等しいものです。


 ……現在、欧州主要7カ国では、少なくとも、生活費の支給または就労を許可しているという。
http://www.issj.org/Intercountry/ic24-1.htm
http://www9.ocn.ne.jp/~fweap/jigyouhoukoku15.htm



自民党有志が「真の人権擁護を考える会」設立!~その設立趣意書は…

2005-04-06 02:23:01 | 人権擁護法案(原則必要派)
 朝日新聞によればhttp://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20050405/K2005040502960.html、
「政府が今国会への再提出を目指している人権擁護法案に反対する自民党の有志議員ら約30人が5日、「真の人権擁護を考える懇談会」を結成した。初会合で「北朝鮮の批判をしただけで罰則を科されかねない。政治家としての信念にもとづいた行動が侵害されるおそれがある」などと法案に反対する声が相次いだ。」という。

 その設立趣意書では、次の4点が批判されている。

 1 人権侵害の定義「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」があまりにも曖昧であり、さらに「助長」や「誘発」までも救済の対象としており、恣意的な解釈が可能であること
 2 いわゆる国家行政組織法上の3条委員会として、準司法的な強力な権限を付与される人権委員のもとで、人権擁護委員を全国で2万人委嘱されることを定めているが、その選考があまりに不透明であり、国籍も規定されておらず、偏った特定団体等の影響を強く受ける恐れがあり、公正な運営を阻害する可能性は排除できない。
 3 人権委員会は、特別救済手続きとして、出頭要請、事情聴取、立ち入り検査などの強制力を持ち、拒否すれば罰則が適用される。このような強い権限が裁判所の令状なしに可能であり、国民に畏怖、抑圧し自由な言論を妨げる恐れがある。
 4 現行法の人権擁護委員は、政治活動が禁止されているが、本法案上は積極的な政治活動のみが禁止されているに過ぎない。

ほとんどが、恣意的な批判であり、偏った見解というほかない。この趣意書に対する批判は、「人権擁護法案アピールの会」で検討中です。

人権擁護法案を、民主が争点化!

2005-03-31 05:21:10 | 人権擁護法案(原則必要派)
FNN(http://bb.goo.ne.jp/contents/FJTFNN/FJTFNN200503310012/index.html)によると、

「民主・仙谷政調会長、人権擁護法案について民主党としての対案提出を検討する考え示す」

「民主党の仙谷政調会長は、「次の内閣」の会合後の会見で、自民党内で異論が噴出し、国会への提出が難航している人権擁護法案について、民主党としての対案の提出を検討する考えを示した。仙谷会見は「そろそろ、人権委員会をとりあえず設置することが重要だとの意見は多く、わたしもそのように考えております」と述べた。「次の内閣」の会合では、人権擁護法案に関して、与党案では凍結とされているメディアの取材に対する規制条項について、これを完全に削除し、メディアの自主努力の規定を盛り込む方針を確認した。また、「人権侵害の調査を行う人権擁護委員を日本人に限定すべき」との意見が自民党で広がっていることについては、民主党案では「国籍の限定はすべきでない」との方針も確認された。仙谷氏は、対案提出の時期を「連休前」と述べており、5月中の取りまとめを急ぐことにしている。」

とのこと。

いい感じではあります。が、独立性の問題は、どうされるおつもりでしょうか?
民主は、この問題を争点にする覚悟のようですね。だとすれば、独立性の問題を含め、中途半端に引かないように頑張ってほしいものです。



これでは、最悪!-人権擁護法案

2005-03-31 05:10:27 | 人権擁護法案(原則必要派)
朝日新聞(http://news.goo.ne.jp/news/asahi/seiji/20050331/K2005033003650.html)によると、

人権擁護法案、修正案を自民に提示 国籍条項は「保留」

 政府が今国会に再提出する予定の人権擁護法案について、法務省は30日、救済の対象となる事案を絞りこむなど一部修正する案を自民党側に示した。同党内にある「人権侵害の定義があいまい」などの批判を受けた。各地で相談を受ける人権擁護委員を日本人に限る「国籍条項」については、導入に反対している公明党に配慮して「保留」としている。
 03年に廃案となった同法案をめぐっては、与党人権問題懇話会(座長・古賀誠自民党元幹事長)が2月に再提出方針を決め、法務省が準備を進めた。だが、自民党内で「人権侵害の定義が不透明で、特定の外国人の団体に悪用される」「人権擁護委員は日本人に限るべきだ」などの批判が出ている。
 こうした批判を受け、法務省は法案の中に、救済制度の乱用を禁止する条項を新たに加えるほか、付随する規則で抽象的な差別は救済の対象にならないことを明記するなどして、訴えられた側の権利を保護する修正を加えることを検討している。30日、こうした内容について古賀氏ら同懇話会のメンバーらに示した模様だ。
 古賀氏らは修正案を基に党内調整を進め、今国会提出を目指すが、国籍条項の挿入を強く求める勢力もあり、今後の議論はなお曲折も予想される。

とのこと。


一部修正したと言うことは、国籍条項の導入もありうるということですね。
そんなことしたら、日本は、世界の笑いものになるっさ…。

安倍発言-腹立たしいというか、悲しいというか…

2005-03-30 02:20:26 | 人権擁護法案(原則必要派)
毎日新聞から

「安倍幹事長代理:人権擁護法案批判 今国会提出に慎重姿勢」
 自民党の安倍晋三幹事長代理は27日、東京都内で講演し、与党内で調整が難航している人権擁護法案について「『人権侵害』の定義があいまいで、果てしなく解釈が広がる危険性がある。いいかげんな形で(国会に)提出し、成立させてはならない」と述べ、今国会提出に慎重な姿勢を示した。

 さらに人権擁護委員の選任条件に国籍条項がないことを指摘し、「例えば北朝鮮出身者の人権を守っている朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の方々が委員になれば、私は真っ先に人権侵害を行っていることにされる危険性がある」と語り、修正の場合は国籍条項の追加が不可欠との考えを示した。【中西拓司】
毎日新聞 2005年3月27日 19時25分http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20050328k0000m010057000c.html

過去の重大な問題に加え、すでに日本は、日本人だけでは成り立たなくなっているのに…
(共同通信「専門技術者以外に拡大検討 法務省、入管計画を決定」法務省は29日、今後5年間の外国人の入国・在留管理の指針となる「第三次出入国管理基本計画」を決定した。南野知恵子法相が同日午前の閣僚懇談会で報告した。少子化時代を受け、専門的・技術的分野に限定している外国人労働者の受け入れ拡大の検討を盛り込んだ。同省は4月上旬に官報で告示する。
http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/seiji/20050329/20050329a1450.html)

次期総理候補…ですか…



人権擁護法案の必要性…鎮静衣など6時間、拘置中の男性死亡

2005-03-27 06:17:06 | 人権擁護法案(原則必要派)
 読売新聞に「鎮静衣など6時間、拘置中の男性死亡…埼玉・深谷署」という見出しのもと、
【25日午前8時半ごろ、埼玉県警深谷署の留置場で、出入国管理法違反容疑(旅券不携帯)で拘置中の自称タイ国籍の男性(40)が顔を真っ青にしているのに看守が気づいた。男性は、市内の病院に収容されたが、間もなく死亡した。
 同署によると、男性が24日午後9時ごろから、3人部屋で大声を上げたり、壁に体をぶつけたりしたため、25日午前1時ごろから、腹部に両手を固定する「ベルト手錠」や、袋に入れたまま手足を固定する「鎮静衣」を使用した。同7時15分ごろ、鎮静衣を解いたという。
 同署の柴崎幹愛副署長は「ベルト手錠や鎮静衣は適正に使用していた。司法解剖で詳しい死因を調べたい」と話している。】
という記事が掲載されている。http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20050325/20050325i515-yol.html

旅券、すなわちパスポートを持っていなかったばかりに、彼は、死ぬ羽目になった。彼の行為は、鎮静衣を使用されてまで警察に留置されなければならない行為だろうか。
極端な話をすれば、あなたが旅行中に、ホテルにパスポートを置き忘れえていたところ、たまたま警察の職務質問を受け、そのまま、留置場に入れられ、言葉も通じぬまま、「おかしいじゃないか」と強く抗議したら、鎮静衣を使用されたってことではないでしょうか(本件がそういう事案かどうかは判らないが…)。

こういう場合、刑事事件としては、警察官は不起訴になるだろうし、彼が外国人であるだけに遺族が国家賠償請求訴訟で争うことも困難だ。
人権救済機関はこういうときに必要ではないでしょうか?

※過去の事例
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/04/2004_33.html

※これもどうだか…
「裁判官訴追委、事務局長人事見直し 委員長ら改善策協議へ」
 国会の裁判官訴追委員会の森山真弓委員長と川崎二郎衆院議院運営委員長が、週明けにも会談し、訴追委の歴代事務局長に裁判官出身者が就任している現状を見直し、改善策をまとめる方向となった。
 これは二十五日に国会内で開かれた同委の庶務小委員会の協議を受けたもの。小委員会では、「裁判官の実態を知らない人では訴追委の事務局長は務まらない」との意見もあったものの、「世間から不審に思われるのはよく分かる」など、慣習の改善を求める意見が相次いだ。
 具体的な改善策としては、事務局長が辞めたあとに再び裁判官に復帰している現行の慣例を改め、事務局長を「最終ポスト」とする案も浮上している。ただ、「最終ポストにふさわしい給与や待遇を保証するのは難しい」など否定的な声も強く、二十八日にも、森山、川崎両氏が改善策を協議することになった。
 訴追委は、裁判官にふさわしくない行為をし、職務義務に違反した裁判官を罷免するため、裁判官弾劾裁判所に訴追する機関で、衆参各十人の議員が委員となっている。
 先月二十八日の衆院予算委第一分科会では、東京地裁民事部の裁判長出身である高田健一・訴追委事務局長が、歴代事務局長の後歴について「いったん東京高裁に戻った後、各裁判所の所長になっている人が多い」と答弁。民主党の高山智司氏が、「(裁判官弾劾制度の)制度趣旨に反する」と指摘していた。
(産経新聞) - 3月26日3時24分更新http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050326-00000007-san-pol

外国人と人権擁護法案

2005-03-25 23:34:03 | 人権擁護法案(原則必要派)
外国人登録者の人口は、平成15年末で、191万5030人、総人口の1.50%だという。人権擁護委員の数は最大2万人を予定している。そうだとすると、2万人×1.5%=300人の外国人人権擁護委員がいないとバランスがとれないように思えるけれど、どうでしょう。

人権擁護法案に関する必読書

2005-03-24 02:23:17 | 人権擁護法案(原則必要派)
現に存在する諸外国の機関を研究したものです。


「世界の国内人権機関 国内人権システム国際比較プロジェクト(NMP)調査報告」

著者/訳者名 : 人権フォーラム21/編
出版社名 : 人権フォーラム21 (ISBN:4-7592-6319-5)
発行年月 : 1999年07月
サイズ : 208P 21cm
価格 : 2,100円(税込)


目次
総論(国内人権保障システムをめぐる国際動向―国連パリ原則を中心に
国内人権保障システムの機能と実効性―各国の特徴)
国別報告(スウェーデンのオンブズマン―福祉国家のさらなる挑戦
ドイツの国内人権保障システム―身近な裁判と少数者にも配慮した民主主義
フランスの国内人権機関―国家人権諮問委員会と共和国行政斡旋官 ほか)
資料(国家機関(国内人権機関)の地位に関する原則(パリ原則)
第1回アジア太平洋国内人権機関地域ワークショップ―結論・勧告・決定(ララキア宣言)
第3回アジア太平洋地域国内人権機関年次会合結論 ほか)

二弁会長声明アップ

2005-03-20 13:37:13 | 人権擁護法案(原則必要派)
第二東京弁護士会が人権擁護法案に関する会長声明をアップしましたので、ご参照下さい。人権救済機関を法務省に置くことに反対するだけでなく、内閣府に置けばいいとも言わないことで筋を通した「過激な??」会長声明になっています。

http://www.niben.jp/

人権擁護法案をテーマとした公開合同研究会

2005-03-20 12:37:44 | 人権擁護法案(原則必要派)
3月19日、JCJ,出版労連、新聞労連、民放労連、メディア総研などによる公開合同研究会「表現・メディアの法的規制について」に参加しました。田島泰彦上智大学教授、和田献一解放同盟中央本部中央執行委員と3人で、人権擁護法案に関するまず状況報告などした後、質問を受ける形で進められました。田島先生は、表現の自由を最大限保障すべきという見地から、論陣を張り、他方、和田さんは、場合によっては行政を利用してでも差別的言動を封じる必要があるという主張をされた。ただし、和田さんから、差別は根源的には文化の問題であって、何でも規制すればよいというものではなく、規制によって全てが解決するものではないという趣旨の発言もありました。
なお、田島教授と私は、今回の事件擁護法案が、差別を禁止する目的、公権力による人権侵害を救済する目的、メディアを規制する目的など、異なる目的を持っているために、救済機関のあり方や権限について、どうしてもきしみが生じるのであり、本来は、別々の法律にするべきであるという点で一致しました。
今回の人権擁護法案がどうなるか不透明ですが、さまざまなチャンネルを使って、継続的に、意見交換できる場が必要であると実感しました。

自民党の動きに対する緊急アピール

2005-03-12 23:54:08 | 人権擁護法案(原則必要派)
以下の緊急アピールは、人権団体、ジャーナリスト、弁護士の賛同を募ったうえ、来週早々にも発表する予定です。

人権擁護委員の国籍条項の導入などに反対する緊急アピール

1 私たちの基本的立場
 私たちは、人権救済のために政府から独立した人権救済機関(国内人権機関)が速やかに設立されるべきであるという立場に立って、政府の提案する人権擁護法案について、少なくとも
1)人権救済機関を内閣府の外局とするなどして、政府からの独立性を担保すること、
2)表現の自由に対する重大な制約をもたらすメディア規制(取材・報道を特別調査の対象とすること)に関わる条項を削除すべきであること
を求めてきた。
 ところが、政府は、この機関を法務省の外局としたままで、メディア規制についても削除するのではなく凍結するにとどめた法案を提案するための準備をすすめている。

2 自民党の法務部会と人権問題等調査会の合同会議における議論
 しかし、驚くべきことに、3月10日の自民党の法務部会と人権問題等調査会の合同会議で、政府案に対して、城内実、古川禎久両議員らが、次のように主張して法案の了承を拒否したため、結論は3月15日に開催される次の法務部会に持ち越されたと報道されている。
 1)人権擁護委員(委員会を構成する人権委員とは異なる)の選考過程が不透明で、外国人も選任されるのは問題である。
 2)特定の団体の影響力が強まり、法の理想どおりに運用できないおそれがある。
 3)法案の定義する人権侵害、とりわけ差別の定義が明確でない。
 4)委員会に与えられた出頭要請や立ち入り調査などの権限が濫用されれば、新たな人権侵害につながるおそれがある。
 このような意見に対し、与謝野自民党政調会長は、党内の懸念が払拭されるまで、法案を提出しないと表明したとしている。

3 一部自民党議員の見解について
 しかし、このような意見の大半は、これまでの人権擁護法案の策定の経緯に照らして、的はずれであり、有効な人権救済機関を設けることに反対しているかのようですらある。
 1)人権委員会の行う特別調査は人権委員と委員会事務局の職員のみが行う権能である(44条2項)。人権擁護委員は、従来の相談業務に加えて、一般調査に関わることは認められているが(39条2項)、特別調査の権限は認められていない。人権擁護委員の業務は、いずれも権力的な業務とは言えない。したがって、人権擁護委員の一部に外国人が選任され、相談業務などに関与することに問題はないし、むしろ話し合いをスムーズにすることに寄与するであろう。
 人権擁護委員は全国で2万人以内とされるほど、多人数選任されるのであり、人権擁護委員から、外国人を閉め出そうとする自民党の一部議員の主張は国際化の流れにも沿わない、差別的で排外的なものと言わざるを得ない。

 2)人権擁護委員は市町村長が推薦した候補者の中から人権委員会が委嘱することとされている。しかも、人権委員会は候補者が適当でないと認めたときには候補者リストを再提出するよう求めることができる。したがって、特定の団体に偏った委員の選任などはあり得ない。

 3)法案の定義する差別の定義があいまいであるという意見も誤解である。3条2項の「不当な差別的取り扱いをすることを助長し、又は誘発する」という文言が無限定であるとする意見があるようであるが、3条2項は「不当な差別的取り扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で」「当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為」を人権侵害としているのであり、これに該当する行為は地名総鑑の出版など極めて限定された行為を対象としていることは文言上も明らかである。
 客観的行為を特定した上で、それに差別目的があったことを加重要件として挿入された文言を、あたかも、行為の特定のための文言であるかのように取り上げて議論していること自体が誤りである。

 4)委員会に与えられた出頭要請や立ち入り調査などの権限が濫用されてはならないことは言うまでもないが、濫用がなされないことの担保は、委員会を内閣府の外局とするなど政府からの独立性を保障することなどによってなされるべきである。

4 結論
 以上のとおり、私たちは、よりよい人権救済制度の創設を求める立場から、一部自民党議員の意見に基づいて法案が修正されることに強く反対する。
 私たちは、政府の原案については改善すべき点を冒頭に掲げたところであり、これらが修正されない限り、法案の再提出にも反対である。しかし、今回、自民党の前記会議で出された意見に基づいて人権救済機関の性格を更にゆがめるように法案を修正することには強く反対する。