特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
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第362話 疑惑Ⅱ 女捜査官の追跡!

2007年11月14日 02時34分50秒 | Weblog
脚本 長坂秀佳、監督 天野利彦

殉職した警察犬・イカロスの仇討ちを果たすべく、貿易商が覚醒剤ルートのボスである証拠をつかもうと奔走する叶たち特命課。イカロスの同僚だった警察犬も全面的に協力する。
貿易商を追い詰めた倉庫のオーナーを突き止めるべく、倉庫の管理責任者を締め上げる。「シャブなんか見たこともない」とシラを切る管理責任者だが、麻薬犬の鼻はごまかせなかった。その証言により、倉庫のオーナーは貿易商の子会社社長だと判明。しかし、社長はすでに姿を消していた。貿易商を締め上げても「子会社の不始末だ」と関係を否定する。「社長の身柄を押さえるしかない」と、叶と女訓練士は社長の残した遺留品をもとに、追跡犬で捜索を開始。しかし、発見できたのは絞殺された社長の死体と凶器のネクタイだけだった。
落胆する女訓練士の自宅を訪れる船村。女訓練士の亡き父親は、船村にとっては尊敬する先輩だった。女訓練士が在りし日の父親、そして海外で働く兄とともに映った写真を見ながら、「せめて、兄さんが側にいてくれればねぇ」と溜息をつく船村。
一方、貿易商は死んだ社長の後釜に覚醒剤ルートを任せて海外逃亡を図ろうとしていた。後釜の写真を見た船村は驚きを隠せない。それは、女訓練士の兄だった。社長殺しの証拠をつかむべく、凶器のネクタイをもとに追跡犬で捜索する女訓練士。だが、追跡犬がたどり着いた部屋にいたのは、貿易商ではなく兄だった。愕然とする女訓練士は、咄嗟に兄を逃がし、叶らには嘘をつく。
貿易商が兄を身代わりにしたのは明らかだった。電話を掛けてきた兄を、叶とともに説得する女訓練士。兄は父親の死の真相を語る。父親は退職後も独自に覚醒剤ルートを追い、そのボスが貿易商だと突き止めたが、逆に覚醒剤中毒者にさせられてしまった。父の復讐を誓った兄もまた、同様に中毒者となっていた。もはや正常な判断が下せない兄を、必死で説得する叶。兄は「奴の倉庫にある証拠を持って出頭する」と約束して電話を切った。
貿易商が所有する倉庫をしらみつぶしに当たる特命課。その一方で、目撃者の証言から貿易商の社長殺しが立証される。追い詰められた貿易商は、兄を人質に山中に逃亡。追跡する特命課をダイナマイトで葬り去ろうとするが、爆弾犬が危機を察知したため難を逃れる。石切り場に立て篭もり、半狂乱になってダイナマイトを放り投げる貿易商。首輪に取り付けた無線機で遠隔操作が可能な無線犬を囮にして、その隙に襲撃犬が突入。続いて他の警察犬や特命課も突入し、貿易商を逮捕。兄も無事救出された。
事件解決後、イカロスの墓前に報告する女訓練士と叶。叶の励ましを受けた女訓練士は、これからも自分の育てた警察犬とともに麻薬撲滅に挑むことを誓うのだった。

前編の感想で「どんでん返しに期待」と書きましたが、結局、宮内洋は悪人のままで、さらには覚醒剤中毒者の兄は長谷川初範(=ウルトラマン80)。特撮ファンに対する嫌がらせのようなキャスティングもあって、あまり好きになれない前後編でした。

麻薬犬をはじめ、追跡犬、爆弾犬、無線犬、襲撃犬と、それぞれ独自技能をもった警察犬たちの活躍は見応えがあり、長坂氏にすれば「取材の成果を遺憾なく発揮した」と言いたいところでしょうが、ドラマ的な持ち上がりに欠けることは否めません。前編では元売人、後編では女訓練士の兄と、それぞれサブストーリーを用意しているため、ドラマが分断されて前後編の意味が薄れてしまったのも残念なところ(もちろん意図的にやっているのでしょうが、それが奏功したとは思えません)。また、石切り場でダイナマイトを放り投げつつの銃撃戦を見せられると、何か別の刑事ドラマを見ているようでちょっと興醒めです。

あと、細かいことですが、ドラマ内では「訓練士」と呼んでおきながら、タイトルに「捜査官」と付けるのはどうかと思います。実際は訓練士も捜査官を兼ねているわけで、間違いとは言いませんが、統一感のなさが気になってしまいました。