本を読もう!!VIVA読書!

【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『日韓大討論』金完燮、西尾幹二

2006年03月29日 | 外国関連
 

新しい歴史教科書をつくる会の内紛が終息し、どうも元のさやにおさまるらしいのですが、大功労者である西尾氏とは、会は距離を置くことになったとの報道でした。一体何をしているのでしょう?それはともかく…。

『親日派のための弁明』を書いて、日韓両国に衝撃を与えた金完燮(キムワンソプ) 氏と『新しい歴史教科書』の西尾氏との対談です。西尾氏の本は何冊か読んでいますが、その主張は本書でも同様です。一方、金氏の発言には驚かされます。

『親日派のための弁明』も瞠目に値する内容にあふれていますが、本書は明らかにそれ以上だと思われます。というのも今回は対談という形式であるため、「私の考えでは~」「正確に調べていませんが~」という断りを付けながらも、私にとっては、より斬新な歴史感を披見しているからなのです。悪い言い方をすれば、私のような素人には荒唐無稽です。

『親日派のための弁明』における驚きは、新しい歴史解釈にあるというよりも、それが韓国人の口から出てきたという点にあって、日本人学者の見解と重なる部分がありました。しかし本書では、西尾氏も何点か反論しながらも金氏に対して驚いている発言があるのですが、新しい主張をいくつもされています。実に好奇心を刺激する歴史対談です。

西尾氏の知識、勇気もすごいと思いますが、金氏の視点は何のバイアスもかかっていない不思議さ、奥深さのようなものがあります。同じく韓国人である呉善花氏は(私は好きですが)単に親日家という気もします。金氏はそれとは異なって真実の探求にエネルギーを注いでいる、さすが物理学者だなと思わせます。彼にとって、親日家、あるいは愛国者などというレッテルは誤解を招くだけなのですね。ぜひお読み下さい。歴史に詳しい方のご意見もうかがいたいと思った次第です。

http://tokkun.net/jump.htm

日韓大討論

扶桑社

詳  細

『センター試験英語リスニング合格の法則(基礎編)』木村達哉

2006年03月29日 | 英語リスニング
 

今年のセンター試験からリスニングテストが導入されました。こちらの教室でも本格的にリスニング講座をはじめましたが、その折に相当数の類書を買い込んで研究しました(赤字になりそうなくらい)(笑)。

それぞれ評判になったリスニング対策の本の書評というか感想を書きます。

まずはもっとも有名な灘高キムタツこと、木村達哉先生が出した本書です。リスニング用のテキストというのは、高校や予備校の先生が書いたものと、より専門的に音声学などを基本にした大学教授や研究書などが出したものがあります。本書は前者ですね。

灘高ということから、東大や一部私大レベルの受験生が期待すると、あまりの易しさに落胆しかねません。本書はあくまで『センター試験』のしかも基本問題中心の対策本です。例えばわざわざ

★heardは『ヒアードゥ』ではなく『ハードゥ』と発音する★とか
★May I ~?は『~してよろしいですか?』と許可を求める際の表現★

と記述してあり、高校入試レベルでの基本まで書いてあります。さすがに大学受験生なら大丈夫でしょう。灘高の授業とは思えません。従って本当の基礎からやりたい人には、かゆいところに手の届く一冊といえます。ただそれならば、覚えるべき会話表現などを一覧などにして、集中的に聞かせる、音読させるような構成の方が学習効果が高いと思います。

もちろんセンターレベルにまで高めようとしているのですから、さらに高度で、受験生が陥りそうな解説も満載されています。ただし、本書はDay1からDay14で構成されており、つまり2週間で仕上げようとしているのでしょうが、それはムリというものです。heardの読みレベルから学ばなければならない生徒は、一年間毎日やるくらいの量がなければ、センター試験の高得点は不可能だと私は思います。

良い点は本書は音読ができるようにCDが工夫されていることです。リスニングができるようになるためには、発音できなければならない。このことは多くの生徒、ひょっとしたら教師まで見落としている点です。その意味では高く評価できます。

http://tokkun.net/jump.htm

灘高キムタツのセンター試験英語リスニング合格の法則 (基礎編)

アルク

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『ノーザンライツ』 星野道夫

2006年03月29日 | エッセイ
 
 
野生の王国「アラスカ」に、核実験場を作る計画があったことを知っている方は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。私もまったく知りませんでした。

米ソが核兵器配備をめぐり暗闘を繰り広げた1960年代、野生動物の宝庫「アラスカ」も、この戦いから無縁ではいられませんでした。

一時は実験場に決まりかけたアラスカを、放射能から守るために立ち上がったのは、自然を愛する名もなき市民運動家たちでした。小さな運動が、やがてエスキモーまで巻き込んだ一大ムーブメントとなり、極北の地を核から守りきるのです。本書は、随所に美しい自然の様子を盛り込みながら当時の経過を記しているため重たい内容を感じさせないものになっています。

筆者は、後にロシアで非業の死を遂げた動物写真家だけに、自然に対する愛情が行間からひしひしと感じられます。

世俗的な生活から抜け出せない私は、アラスカを訪れたことはもちろんありませんし、アラスカへ行くという考えすら浮かびません。ただ友人の一人が毎年のように何十万円というお金を払ってアラスカへ行くのです(決して裕福な生活を送っているわけではないのに、失礼!)。本書はその友人に紹介してもらいました。

なお、タイトル「ノーザンライツ」とは、オーロラのこと。読後に爽快感が残る一冊です。私の部屋にも星野氏のカレンダーがありますが、早過ぎる死を惜しむのは当然として、夢のような世界があるのだという活力を与えてくれる気がします。


http://tokkun.net/jump.htm

ノーザンライツ

新潮社

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