リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

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地域で病気とつきあいながら暮らす方法(せいしれんセミナー)

2012年03月11日 | Weblog
平成24年3月9日、長野県内のいろんな団体から400人以上の当事者や支援者があつまった「せんしれん」の精神保健福祉セミナーが松本市の美ヶ原温泉、ホテル翔峰で開催された。

このセミナーは今年で19回目だそうで、支援者もサポートするが実行委員はみな当事者だ。
当事者の中にはお金を積み立てて毎年参加して泊まりがけで宴会に出るのを楽しみにしている人間も多い。
会場も県内各地から集まりやすく400人収容できる会場があり宴会、宿泊もできる場所ということで近年ほぼこの翔峰で行われているそうである。
私は2年ぶり、2回目の参加だが、昨年は会の最中に震災があったそうだ。

午前中は開会式のあと十勝障がい者総合支援センター理事長の門屋充郎氏の講演、「共に歩み、道を創る」だった。
私は朝、病院にいってから会場に向かったので残念ながら間に合わず講演を聞くことは出来なかったが、お昼の時間にすこしお話することができ帯広での取り組みなどをうかがうことができた。
氏はPSWの草分けで、地域に生き場、行き場、活き場を作り続けてきた方で、やはり合言葉は「リカバリー」「当事者の参加」のようだ。



午後は6つの会場にわかれての分科会だった。
松本の当事者グループ、アンダンテの会の小澤さんから推薦いただいて、分科会の一つを「ワークポートの野岸の丘」のメンバー、スタッフと企画させていただいた。
精神科の医師が参加する分科会は毎年一つ企画され、当事者の参加が多いが一方的なレクチャーになってしまったり個別の質疑応答になってしまいがちである。
短い時間でみんなが元気になれるセッションをどう企画するかということで頭をしぼった。
結局、鉄拳風に「◯◯は嫌だ。」シリーズで緊張をほぐしたあと、会場の皆の意見を聞いて、その後、最近のトレンドのミニレクチャーという構成にした。
本当は着ぐるみでコントをしたかったが今回は間に合わず・・。

スライドはこちら

会場のみんなが参加でき、思ったことを言える場をということで、会場での即席アンケートをしたり意見を募集したが発言もけっこうあってまずまず盛り上がった。
積極的に発言してくれる方が何人かおり、会場が和室で座布団だったこともあって参加者も次々と手をあげてくれ、ちょっとした大喜利のような雰囲気になった。
みんな薬や医者、病院、支援者に対して言いたいことは結構あるようだ。

「幻聴などをなくして自信を取り戻せる薬がほしい。」
「病院の待ち時間が長くて診察時間が短すぎる。」
「医師に言いたいことが言えない。」
「医師が交代するときが、自分のことをもう一度つたえていかなくてはいけなくて大変。」
「親戚が親の介護をしろというが自分は本当は働きたい。」
「近所付き合いで自治会の役をどうすればいいのか。」
「回覧板を止めないことが目標・・・。」

などなど・・・。
「受診の前に言いたいことをまとめている」、とか、「お薬手帳を使うといいよ」とか、「区長だけはやめておけと言ってもらってほっとした」など会場からも解決法のアイディアもでた。

途中で寝てたり出て行ったりする人は少なかったのでよかったと思う。
あとで良かったという声も結構聞いた・・・。



その後、大交流会にも参加、県内各地に当事者、支援者の知り合いも増えてきた。
専門職(特に病院の専門職)の参加はほとんどなかったが、こういう当事者主体の行事に参加すると文化をつくっていることを実感できる。
参加しないのはもったいない。