巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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時の歪み

2017-08-31 00:45:07 | 
一定に時を刻むメトロノーム
人は微妙なズレを好む

空高く舞い上がった雲は
大地に触れられないよね
煌めく星々も太陽も月も
私達が思うより遠い存在

重ね合わせた呼気を溶かして
私達は数メートル先を眺める
食べ残したピッツァの欠片を
啄ばむ手負いの小鳥達を慰る

ポケットの奥に隠した真実
決してまだ終わりじゃない
ひとりで成人した気分かい?
思い上がりは無慈悲に断罪

時に頼りないあなただけど
人間なんて所詮そんなもの
万能には程遠い私達だから
誰かの凸凹を補い合おうよ
みんなのカケラとカケラを
パズルのように組み合わせ
それでなんとか一人前かな
凸凹は個性だね、愛してる

オトナになるってことは
完璧になることじゃない
捩れ、もたれ合いながら
老いが隙間を埋めていく

時計の針の進みは人それぞれ
360℃でようやく一回り
放射状に広がる人生行路
時が光速を超えたその時
何を失うか気付き始めた

一定に時を刻むデゥオモの鐘
人は微妙なズレを好む

街中に響き渡る荘厳な鐘の音
私は時の歪みを探り当てる

人生から遠く離れて

2017-08-30 19:28:28 | 
消えゆく宇宙に共鳴する
戸惑う幼き星々の嘆き
思い切り声出して笑いなよ
落ち込むことなどないね

想いはただひとつだけ
スルリと通過するけど
あなたの優しさだけは
心に留めておきたいんだ

仮初めの現実
雁字搦めの緊迫状態
永遠がすべてじゃない
今を生きてるのだから
ほら、僕は生きている
そして、君も確かに生きている
その生の営みを分断してしまおう
しがみつくのは御門違い
おととい来やがれ

人生は思うほど永くはないね
近頃そう思うんだ

朝が来て、夜が暮れて
僕達は途方に暮れるけど
夕闇の餌食にだけはならないで
伝えたいことなら山ほどある

何だろう?
この胸騒ぎ
もしかしたら最期が近付いてる?

カレンダーをめくれば
明日も明後日もある
僕の心にあるはずの暦はいずこ?

水の透明度

2017-08-29 18:52:13 | 
きっと罰か報いだよ
刈り取りもまだなのに
青田買いしたツケが
ここへ来て噴出だね

そんな訳だから
僕を頼りにすんな
種を撒いたのは誰だ?
君の胆力を試すならば今

異世界に飛び出せ
空間は歪んで見える
蔓延ってる矛盾を止めよう
ポテンシャルなら無限
居心地ならツケ回し
そんなこと日常茶飯事
今ここにいるのが最悪

いつになったら君は独り立ちする
みんな君のこと認めているんだよ
エスカレーターも悪くない
濁ったぬるま湯は放り出せ

澄みきった冷や水を浴びるんだ
心地よいね、きっと
君の掌で踊らされた
馬鹿正直な僕は異端児
無為に過ぎた瞬間を悔やむ

もう一度チャンスを!
だからと言って熱湯は勘弁だ
今僕はようやく自由なんだから
せめて入浴剤は無色透明に

人混みを避けている
溺れることを拒否した僕だから
今ここにいるとは思えないんだ
世界中の誤解など皆無
異空間に位置する君は
誰の目から見ても異端

二人の眼に映るあれはきっと

2017-08-28 23:04:11 | 
零れる涙よりも塩気の強い
ふるさとの海水を掬ったら
枯れると思っていた泉が今
渾々と両手に満ち溢れてる

生きる自信なんてちっとも
あるはずのない私達は子供
こんな展開なんて、まさか
偶然か奇跡としか思えない

「大好き」を逆手にとって
今すぐに私をハグしてみて
密着はいつでも好感の証さ
本気にもなりかねないよね

僕がこの地を立ち去っても
君達の優しさを忘れないよ
もしも願いが叶うのならば
大人になった君と旅したい

ほら、雲の上を泳ぐように
そう僕達の旅立ちは上々だ
子供の頃の想い出に重ねて
新しい記憶と記録を創るよ

ちょっとだけ大人びた僕達
缶ビール片手に夕陽に乾杯

僕達が今まで生きた時代だ
時々刻々と過ぎる針を止め
僕の幸せだけなら無料販売
好きなだけ分かち合おうよ

見てよ、地平線の彼方向こうに
二度と見られない景色が広がる
オーロラが僕達を諫めるように
包み込んで世界の終わりを告ぐ

時が止まり、夜闇に僕らは耳を澄ます
二人の眼にしか映らないあれはきっと

プライド

2017-08-28 18:48:14 | 
君の瞳の黒と茶が潤んで
冷めきった胸に深く十字架を切る
追い詰めてしまって本当にゴメンね
悪いのはすべて僕にしておいて

許す、許されるじゃなく
愛す、愛されるじゃなく

誰が悪いのか、何が邪魔なのか

どうしても距離感が測れない
ぶち壊して始めから
曖昧にして途中から
そういうリズムでやってきた恋だから
そろそろ終わりにしませんか?
大切が何かを見極められなくなったら
未来に想いを馳せられなくなるね

振り返って見てご覧
幾千、幾万の子供達が
夢や希望を持っているんだ
輝く未来を待っているんだ
僕達はもう子供じゃないから
諦める人生も致し方ないんだ

無くなることは哀しいこと
何となくそんな風に感じてた
みんな、本音で語ってほしい
世の中いいことばかりじゃないだろう

君が君であるように
僕は誰以上に僕でなくてはいけない

内なる存在にすべてを否定されても
僕は現実から決して逃げないんだ
影響力のない表面的な僕の薄皮が
ボロボロと剥がされていくよ

出し切って消えゆく人生も悪くない
すべてを肯定する身勝手な惑星達が
自転公転のレースを次々と離脱する
そんな人生も認めざるを得ないのか

ああ、自分達ですら解決方法を知らず
無責任に世代交代を迫る強面の弱者よ

信念はどこへ、決断はどこへ
輝きはどこへ、誇りはどこへ