巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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青春の一コマ

2016-06-30 22:55:20 | 
家族が寝静まった後に
家を抜け出し一人
自転車で君の家に行ったね
開け放つ窓に佇む君と壁を隔ててのLINE
青春ってこういうものだと思ってた

ある夜、僕はいつものように
君の家の壁に寄りかかりLINE
「既読」の二文字が現れない
開かない窓、始まらないトーク
急に僕は臆病になった

お互い違う高校に進学し
傍にいられる時間は限られる
君の心に変化が起きたなら
君の笑顔が歪んでしまったなら
その思いを素直に吐き出してほしい

そんな日々が一週間ほど続き
一日に四十八時間、毎日思い悩んだ僕
学校帰りに校門の傍に立つ制服姿の君
「よう!」
と話しかけた君が待っていたのは誰

ただ意固地になってるだけ
思うよりも思春期な僕達
お互い犯した過ちに
気付くほど大人じゃない
早く元通りになりたい

夜の静寂が二人を包む
誰もいない学校の前
ようやく歩き出した君を
今僕は用心棒のように見守り続ける

君が僕の君であるように
僕が君の僕であるように
いつまでも、いつまでも
祈りはひとつ

素晴らしき哉、世界

2016-06-30 17:39:31 | 
この世界がこの世界であり続けるように
僕は僕であり続けよう

世界の表面を上滑っている自分を感じるたび
僕はこの世界の不要物だと思う

何故にここで生まれ、ここで育ち、ここに死すのか

この世界と調和しない自分に
どうしようもない苛立ちを覚え
ときに自分の存在意義なんて考えてみる

僕がいなくても世界は回る
いっぽうどうだ
この世界がなくては僕は僕でいられない
だから、僕はこの世界とともに生きるのだ

この世界を愛し、人を愛し、自然を愛し、万物を愛し、
そして僕は無用の長物となる

夜を愛す

2016-06-29 22:32:06 | 
空が暗転する
夕焼が夜闇に変わる
そんな瞬間が何よりも好きだ

一日が終わりに近付く
新たな一日の始まりが近付く

刻一刻、刻一刻と
漆黒の夜空が
終わりと始まりを連れてくる

騒然とした社会は活動を止め
忽然と、まさに忽然と
整然とした時間と空間に変貌する

僕はその反動を
真正面から受けながら
ただただ夜闇に立ち尽くし
終わりと始まりという反転の瞬間を
見届けんとする

生のリアリティー

2016-06-29 17:55:46 | 
生きてくために
僕は走り続けてる
生命の意味なんて
何も考えることなく

空を見るために
僕は目を見開いてる
晴れの日も雨の日も
空は僕の味方だから

ちょっとそこの貴方達
注意力散漫
理屈だけでは片付かない
ネットワークから遮断
とにかく説き伏せよう

僕等の人生なんて
結局自分次第だし
僕等の最期なんて
自分では見られないし

何の為に生きているのだろう
そんな哲学的な疑問は
日々の生活には不要
ドブに捨て去るがいい

幸せな最期を迎えたい
誰かがそんなこと言ってた
呼吸も脈も止まり、身体は硬直し
最期もクソもありゃしない

僕は今を生きる
リアルに感じ取れる今を
ただひたむきに、前向きに
生きてゆくだけさ

終末思想

2016-06-28 22:58:38 | 
捻れ切ったこの世って奴を
ぶっ潰してやる
叩き壊してやる

大人達が大切だという「秩序」は
人間界の何処にも見当たらず
無秩序ばかりが横行してる

秩序など、自然界の当たり前の法則
それを蔑ろにする人間達は
早晩滅びる、滅びてしまえ

いつか見た雲が北東の空に
連なって流れている
夕空と重なり不吉な極彩色
そのまま地平線へと流れ込め

僕などが声を上げなくても
総ては終わりに向かっている
そうだ
始まりとは終わりに近付くことなのだ