巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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永遠の契約

2018-01-28 23:07:26 | 
永遠の契約

舞い降りたるは天使か天女か
雨音が刻む一定なリズム
外さずに踊り続けるの道化者

今日という一日が長くて短くて
明日のことなど考えられない

視線を送る相手は既に夢の中

筋書き通りに事は運び
何も起きない日常
徒然なる苛立ち
自らの不遇さを呪う

どこかで何かひとつ掛け違えれば
また違う人生があるに違いない
そんな風に願ってきた私を
せいぜい笑い物にするがよい

永遠とは契約なり
私は契約を交わさなかった

悪に染まった私の紅の血は
元の赤より紅くて、黒くて
心に棲みついた悪魔は
背を向けたまま魂の劣化を嘲笑す

帰れ、あるべき場所に!
還れ、あるべき姿に!
返せ、我が最後の青春を!

最期の波があまりに荒れず
海が穏やかすぎるから
自分で自分を荒らして
天使だか、天女だか知らない
痴人の愛をいつか我が物に

耳を澄ませば自然と働く絶対音感
舞い降りたるは天使か天女か
その答えは音楽に宿るのかもしれない


心の在り様

2018-01-28 19:16:45 | 
心の在り様

私の心が求めている
欲している、わけもなく……
心はくすみ、鈍色をしている

薄い壁の内側で
寒さに耐え、熱量を蓄える
白む戸外では
衆人が我関せずと享楽に耽る

心の中では波が踊っている
その波は自分自身を
砕くかのようにうねる

求めるでもなく
奪われるでもなく
私の心はうねる……


4時間

2018-01-27 18:59:40 | 
「4時間」

黄金色の月が今日も僕の頭上から大地を眺めている。
寒さなど、いつもは気にしないのに、今日は心の芯まで冷え込む。

西方を向き、僅か4時間の距離を恨む。
ひとりの女が心と体を解放しているのだ、否、したのだ。

あれはまだ夏の日。
そう、思い起こせばいつも夏だった。
徒に年齢を重ねる僕を君は見捨てたりしなかった。
同様に年齢を重ねたはずの君。お互いの人生はどこで離れてしまったのか。
4時間の積み重ねが二人の関係を弄ぶ。

いつか、こんな日が来ると思っていた、恐れていた。
だから、そんなときはいつも家を飛び出して夜空の星屑を眺めた。
今、手元の写真を眺め、ひどく傷ついた心を抑えて放つ優しい言葉。
苦々しい感情はどこに捨てようか。

言葉は魔法だ。
強がりならいくらでも言える。優しい労りの言葉がいくらでも出てくる。
二人の距離が僕の涙を隠す。それが唯一の救いなのかもしれない。

幸福が西方に訪れた。
空白が東方に訪れた。

現実はあまりに唐突で、あまりに残酷だ。
夢や思い出は朽ち果ていつか消え失せる。

そうやって心を落ち着かせるのも単なる魔法であり、儀式でしかない。
それがわかるほど齢(よわひ)を重ねた自分をただただ嘆く。

黄金色の月が秒刻みで西へ向かう。僕は東端に昇る太陽を待つ。


月の風

2018-01-27 16:47:03 | 
月の風

心に射し込むのは永遠の光
たゆたう時の中で何を思わん
瞬くうちに飛びたとう
冬空がとても綺麗だから

悠然と時が流れる
夜空の星が明滅する
あゝ、そんな勢いで
姿を隠さないでくれ

定点にあると信じていた星雲が
そのバランスを崩すとき
うっすらと朝陽が顔を出し
闇の支配が終焉を迎える
すべての不安定が消え失せるから
誰もが心底ほっとするんだ

この雪景色に救われた
微かな未来に陽が射した
陽の現れるタイミングは
僕たちの祈りでもある

こんな風に朝が来て、
こんな風に夜が明けて、

この世に生きとし生けるもの
誰もがその生を
憎み
恨み
妬み
嫉み
いわゆる悪感情
それでも、この世界は美しい
そう信じていたいんだ
いがみ合い、
ぶつかり合って、
それでも、お互いのつながりは運命的なもの

君は今の君のままでいいから
赦しを得るんだ
護るだけ、庇って、救って
それこそが我が生の地

すべては秩序だってよ



微風が吹く月の大地に
一輪の花を咲かせたいんだ

あゝ、吸い込まれていく
あゝ、引き込まれていく

空があまりにも高すぎるから

僕は息を止め、
僕は目を覆い、
万物の運命を握る存在に
挑む覚悟を決める

永遠が潰えたとき
すべてを委ねる相手は誰だ
世界中の点を線でつなごう

消滅寸前

2018-01-27 01:39:50 | 
消滅寸前

新陳代謝の棘を刺す

劣化する魂が
猛烈な勢いで腐るよ

黄金比を測って
あらゆる律動を
一定にせんとす

華やぐ
燃ゆる

燃ゆる
華やぐ

綴られている数々の文字
紡がれていく数々の言葉

見惚れる今宵は妙に心地よい
骨抜きの馬は漠然とお茶を濁す

それは逃避であって
現実からではなく、無能だから

それは感謝であって
奉仕者ではなく、受け身だから

一体全体、優しすぎるのか
駆け出さない馬の目は
どことなく穏やかだ

淡々と一日が過ぎ
夜道は真っ暗闇
氷の塊を蹴飛ばしてみる

ピシッ

万物が生きている
この世がカラカラに乾く
真紅の薔薇に飢えている

物語は続いてゆく
面白いほど切なく
誰もが赦しを乞いながら
最後は地の果てに堕ちる

明日に貯金を蓄えたんだ
誰か私と踊りませんか