巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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ささやかな贅沢

2018-07-31 11:29:21 | 
『ささやかな贅沢』

川の流れは一様にして
山の肌は斑に乱れる

すべては大自然の為す所作
時のいたずらか
喉元を過ぎれば
人々は嬉々として歌う、踊る

奢ることなく
溺れることなく
諦めることなく
穏やかな大地は永遠に続いていくから
人間生活は脈々と続くのかもしれない

今こうして高い空を見上げ
夏時雨を求む
柔らかな水塊
水に似た感情

眩しそうな瞳で
ふと遠くに目を遣ると
この瞳に映る時空
それは過去
それは未来
それは現在

記憶に甦るのは一筋の清流
あゝ、涼風のようにありたい

この夏を凌げば豊穣の秋の訪れ
昨年はそうだった
一昨年はそうだった
懐かしむフリをして
耐え難い現実を消そうとしても
虚しさが募るばかり

我々にできることは何なのか
一歩一歩着実に進んで
しかし周囲を見渡せば
眼前に現実が迫りくる

過去に遡れないなら
ほんの少しの涼
水と風を求める
それくらいの贅沢は許されるだろう

水たまりの泥水がパンと跳ねた

人生は夢だらけ

2018-07-29 19:05:44 | 
『人生は夢だらけ』
     椎名林檎 featuring 小杉匠

廃人になるまで
時めいたり
傷付いたり
心を奪われてばかり

無になる瞬間
どこかの誰かが聴きたい歌をつくろう

こんな時代を謳うには
笑いも涙も混ぜ合わせよう
きっと違いが分かる人はいると
そう信じて丁寧に創り上げてみよう

この歌の真意が伝わらない今日を
正面切って進むのは難しいが、しかし
明日になれば遂に旅立ちの日
思いの外、縁切りは容易い

喉元過ぎれば酸いも甘いも無関係と言う
人生なんて、世界なんて
そんなものではないかと思うのは傲慢

最後になるまで
勇ましくて
励まし合って
歌いたい衝動

こんな時代じゃ
新しきに古きものが駆逐されるのは必至
だからこっそり、ひっそりと年を取りたい
そうあなたのように永遠でありたい、富士山

二度と会えない人の幸せなんて
口約束でやり過ごすのは胸が痛むが、しかし
近寄れば悲しく、離れれば愉しく見えてくるだろう、案外

誰も知らない歌を口ずさみ、街を闊歩する

それは人生、私の人生
ああ誰のものでもない

奪われるものか、私は自由

この人生は夢だらけ

心の様相

2018-07-28 14:37:33 | 
『心の様相』

ふわりと浮かんだ太陽を見上げ
心はほつれ
からまり、まとわりつき、
身動きがとれなくなる

西方を向いたはずの風見鶏が
東方を一瞬振り返るように
すべてを選べる訳ではないのだ

大切が何かを天秤にかけて
不均衡なバランスは
良否を示すだろうか

とりあえず太陽の向く方へ進む、進む

一日の始まりが東ならば
一日の終わりも東だというのに

愚か者は西へ、西へと向かう
ようやく辿り着いたとき
それはきっとまだ夢の途中

いつか来たはずの道を
トボトボと肩を落として歩き
大切とは何かがわからない
そんな自分を悟る

空っぽの心を空っ風が吹き抜けた

浅い眩暈

2018-07-21 16:52:20 | 
『浅い眩暈』

浅い眩暈が意識を殺すように
幼き悪魔は明日を奪いますか

この灼熱地獄のもと
透き通る青空を見上げ
すべては現実と悟る

突然襲った一陣の風に
揺すられた木々の葉は
この手に零れ落ちた

あゝ、時のまにまに
誰かの夢を数えても
真実など何処にもない
辺り一面に張り裂ける声
失うものなど何もなかった

さようなら

その一言の重さを噛みしめ
古ぼけたドアを締め切って
数え切れない溜息をつく
救いがたい未来は誰のせい
決断と裏腹の選択に身悶え
透明人間は今日も消えゆく

この広大すぎる宇宙で
貴方たちと出会った奇跡は
消えゆく記憶をきっと補う

遠ざかる意識は明日を導く
浅い眩暈は過去を消せないから

空の濁り

2018-07-19 22:36:51 | 
『空の濁り』(未推敲)

水を汲む
とくり、とくりと水を汲む

この一杯は誰のため
この一杯は何のため

地面に水を垂らして
池ができ
川となり
海となり
凝縮して雲となる

雲は星々を隠し
夜空の美しさを奪うだろう
光り輝く空が濁るとき
それが涙の粒だと初めて知った