巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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「モノクロームキッス」(推敲中)

2020-03-29 13:10:05 | 


「モノクロームキッス」

薄桃の花びらがはらはらと舞い降り
風は空っぽの心の細道を吹き抜ける
少年はちっちゃな手指を差し出して
白灰色に沈積した路上の塵芥を拭った

道端に咲く花が揺れてダンスダンスダンス
限りなく白に近い薄桃に誰かが色を付ける

少年が開け放った扉の向こうには
モノクロームの日常が群れをなして待つ
視線の遥か先にある空に泳ぐ虹が
黒から白へ七色のグラデーションを描く

もはや涙も涸れ果てた老人は
黒ずんだ自らの躯を抱きしめるほかない
そしてただひたすら祈るのだ
少年が流す涙の一粒一粒にあらゆる黒が封じ込められるよう

涙は真実でできていると信じたあの日から
誰かがついてきた優しい嘘をすべて許そう
そしてすべての罪と罰に色をつけよう、春色を
口づけのようなやわらかなタッチで

「モノクロームキッス」(草稿)

2020-03-23 00:07:07 | 


薄桃の花びらが足早に舞い散り
空っぽの心の細道を吹き抜ける
少年は小さな手指を差し出して
白灰色に沈積した路上の塵芥を拭った

道端に咲く花が揺れてダンスダンスダンス
誰か色を付けて、誰か

アナタは何でできていますか?
私はコンビニの総菜コーナーに並ぶカレーパスタ
チープな食材でできています

町を一回りして帰ってきた飼い猫
我が家の軒先に寝転ぶ日日是好日
視界の遥か先にある空に泳ぐ虹よ
黒から白へ七色のグラデーションを描け

少年が開け放った扉の向こうには
モノクロームの日常が群れをなして待つ

老人はもはや涙も涸れ果てた
黒ずんだ自らの躯を抱きしめるほかない
そしてただ祈るのだ、
少年が流す涙の一粒一粒にすべての黒が封じ込められるよう

涙は真実でできていると知った夜(=君がそう教えてくれた)
誰かががついてきた優しい嘘をすべて許そう
そしてすべての罪と罰に色をつけよう、春色を
口づけのようなやわらかなタッチで