『遠い未来を集めて』
懐かしい声が聞こえてきた
柔らかで、たおやかな
南向きの夏風に乗って
もう暦の上では秋だというのに
晴れやかな空を見上げては
アンニュイな気分を遮断する
「あの日の幸せは真実ですか?」
果たせぬ約束を交わして
遠い、遠い未来に腰掛け
誰も届かぬ地の果てを見つめ
当たり前ではない人生を思うのだ
過去にすがる私ではないさ
未来の断片を集める
夢のまにまに風は流れて
ふと耳を澄ませば
また懐かしい声が聞こえてくる
春が遠いよ
「過去を追うより、先を夢見よう」
遠く、遠くを見渡せば
私の庭には薔薇が一面に広がる
さよなら、咲いて散りゆく運命
誰もが彷徨いながらも生きる
感謝もない、美しい世界で