巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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卒業

2018-02-28 01:15:19 | 
「卒業」
 
時を止めよ 季節が移ろうから
 
もうこれ以上は難しいと
振り返った坂の上
誰かと重ね合わせた心は
混じりゆく波紋のよう
 
もうこのままでよいと
諦めかけたはずの未来が
 
いま、
 
何よりも響き 輝くから
 
大地が泣く 心を静めよ
 
赤子の愛撫はもう 不要だから
 
そして、
 
彼の国へと旅立つ
ひとひらの未練もなく

永遠の子供

2018-02-27 01:56:58 | 
「永遠の子供」

壊されていく地平線の果てに
ゆっくりと沈みゆく眩い太陽

すべてが美しい訳じゃなかった
いくつか受け容れ、いくつか抗いながら
僕は前進と後退を繰り返した

まっすぐに今を見つめ、歩を進め
去りゆく過去を慈しみながら
時は静かに過ぎてゆく

過ぎゆく時を知らずに無邪気に生きれば
いつまでも永遠の子供でいられるのに

生に対して冒瀆を働いた僕は
もう大人になってしまった
随分と年老いてしまった

過ぎゆく時を知る僕は
世界の素晴らしさを知りながらも
この人生からの退場を待つばかり

永遠の均しさ

2018-02-26 23:30:35 | 
『永遠の均しさ』

誰にも均しかったあの空

雲は瞬発力を持たなかった

映し出さぬ僕の影
まるで魔物のように
自分自身を獲物にして
蒸発するように消し去る

陰も陽も無関係に
永遠の孤独を抱き締め
これが最後の涙ならば
受け止めてくれないか

今が夜である限り
僕が君に会うことはない

誰にも均しかった君の温かさ

雲はすべてを覆い隠す

海の風

2018-02-25 16:50:06 | 
「海の風」

心に強い風が吹いてきた
碧い海はまだ肌寒いよね

あの日、二人で交わした約束は
古びた栞に書いたイニシャルのよう
もう一度ここで君と笑い合えたら
あの頃の二人に戻れるかな

僕は烏帽子岩を遠い富士に重ね
サーフボードを水に浸す
いつか浜辺に腰を下ろして
一緒に眺めた距離が近すぎて
君の面影が焼き付いた場所に
僕は君を求め、足繁く通った

風が過去を洗い流すから
何もかもが狂ってしまって
今、足元を見つめることと
これから先を考えることが
疎かになってきたこの頃

涙は海水に溶け合うから
満面の笑顔を取り繕って
心で泣けばそれでいい

風の中で僕が泣く
心の中で僕は涙する
その涙を振り払うかのように
カービングを決め、波を削る


桜道

2018-02-25 00:42:27 | 
「桜道」

透明色の天使が桜道を抜ける
揺れる花弁が君の頬を溶かす

トュルリラー
トュルリラー

それは一年前の春だった
あれから一年が経った今
憧れは泡沫の如く消えた

思い通りにいかないとき
些細な幸せを見失いがち
僕なら大きな夢を抱いて
小さな幸せを積み重ねる

あの日、君が夢見たような
願いは叶わなかったけれど
大人への切符を手に入れた
もう何処へでも行くがよい
邪魔する者などいないから

サクラ咲け
サクラ舞え
サクラ萌え
サクラ咲く



天使は透明の翼を広げ
桜道を飛び越えていく
無数の蕾を天から眺め
新しい春の到来を待つ
季節はもう変わるのだ
君の道も塗り変えよう

サクラ、あゝ、サクラ

サクラ咲け
君の心に