巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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サヨナラの瞬間

2017-03-31 19:13:05 | 
今日ですべてが終わった
終わってほしいことも
終わってほしくないことも
安堵感と寂寥感
快感と不快感
放心状態と脱力感
全部終わらなくてもいいのに
思い通りにはならないね

君は行くの? 本当に行くんだね?
無色透明の未来が待つ空へ
僕は仮住まいに繋がれたまま
すぐには動けない、君を追えない
君の出立を笑顔で送り出せるかな

サヨナラの言葉は短く、いつも通り
また明日も会えるような、そんなノリで
センチメンタルな涙など不要
さりげなく、なにげなく、それとなく
君が笑顔でいるうちに
僕のほうが先に消えるよ

帰りの電車で意気消沈
去る君を見送るべきだったのか
先に姿を消すべきだったのか
優柔不断は僕らしくない
もう君に会えないという現実が
僕を苦しめる、きっと永遠に

僕は僕自身を元気づける
君に暗い顔を見せずに済んだ
僕は僕らしいキャラを保った
ああいう別れが二人らしいと
今一度別れの瞬間をリプレイする

やはり君の笑顔が恋しい

散り際、去り際

2017-03-31 07:14:50 | 
桜が散り際を間違えないように
私も去り際を間違えないように
私は貴方と距離を置く

愛とは束縛すること
自由を失うこと

貴方がそばにいることを
当たり前と思っていた私は
逆に自分から貴方を解き放つ
時代の寵児たる貴方に自由を

私が離れる決心をしたのは
貴方のせい、間違いない

安心して、この世界のどこかにいるから
貴方に出逢う確率は限りなく低いけれど

私はこうやって自分に反逆する
折り合いをつける
去り行く口実をつくる

貴方一筋だった私はこの心のロスを
埋め合わせる算段もなく
ただただ散り際を間違わないよう
桜の如く華麗に散る

嫌いになれないから嫌い

2017-03-30 20:00:11 | 
真っ黒な双頭の鷲が
二羽の烏を食い荒らす

揺るぎない決意の下
貴方は本当に行くんですね

真っ白なクロスの上
妖しげな光を放つアメジスト

持っていけばいい、必要なだけ
どうせ目当てなんてないんでしょ

貴方が嫌うなら私もそう
お互いによくわかってるでしょ
これで終わりならもうそれでいい
あとは全部お任せします

貴方の香りが今心の中に沁みます
貴方は私をどこまで食い荒らすの
嫌いになれない貴方のことが嫌い
聞き慣れた話し声が心を突き刺す
そんなはずじゃないのに涙が滲む

夜闇が息を飲み込むよ
貴方は貴方の世界を創ると言う
私は夢を追う貴方への餞別を送る

もう行くのならもっと早く行っちゃって
二度と見られない顔ならもう見たくない
そんな我が儘な私を広い心で包まないで
ここでおしまいです、貴方と私
他人同士
無関係
無関心
無表情

嘘、嫌いになれない貴方が大好き
本音がつい心からこぼれ堕ちる
好きなら好きと、行かないでって
一言どうして言えないのかしら

出逢いはいつだって別れとセット
そんなセット販売ならほしくない
でも出逢ってしまう
でも出逢いたくなってしまう
ひとりがとても寂しい
今とても寂しい
きっと明日はもっと寂しい

寄り添う二人

2017-03-30 00:25:24 | 
あの頃の声は
密かに聞こえていた

後戻りできない日々を過ごしてる
あなたとの関わりを持たず歩いている
真面目に暮らしていれば許されるのかな

あの頃の木々は
風に揺られていた

かけがえのない日々を過ごしてる
私との関わりはなくてもいいのかな
宇宙は広がりゆく、私は逃げる必要ない

前だけを見つめて、できることを
もっと、もっと、もっと大胆に
背中で感じて、私の雰囲気を
もっと、もっと、もっと繊細に

あの頃の私達は
可哀想なくらい美しく
気の毒なくらい優しく
春の日のように暖かく
蜃気楼のように透明で
痛々しいくらい真っ直ぐに
走ってみてもいいのかな

泣きたい気持ちが、喉元でつかえるそんな夜
支えてくれる君が横にいてくれれば最高
じっとしててね、そのまま

世界は彼ひとりのモノ

2017-03-29 20:02:34 | 
君は魔法使いのよう
世界中の不条理を秩序立てる
君が右を向けば誰もが右を向く
そんな存在を僕は怖れる

君を束縛するすべてから
守り切るのが僕に与えられた役割
この世に君はひとりきりだから
妬み嫉みを持つ追っ手は数多い

さながら護衛役の僕を迎え
君は御満悦に煙草をふかす
何故に僕がこんな役回りを
僕はすべてを消し去りたい

君が
作る
秩序など
崩壊してしまえ

心の声が響き渡る
僕はどれだけ君を信じているのだろう
言葉にもならない憎念と執念が
僕達を決裂させようとしている

何が起きたというんだい

僕の心を見透かした天の声は無神経
僕は今深刻な考え事をしている
君は自分の都合を最優先し
すべてを思い通りにしているだけ

君は不自由な我が身を憂うどころか
その窮屈さを堪能しているようだ
誰か早く僕のバリアを破り彼を抹消せよ
じゃないと世界は彼ひとりのモノ
臆病な僕を解放してほしい