巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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夏色

2020-08-23 16:38:09 | 


「夏色」

ある穏やかな日
風の子をとらえた
てのひらに渦巻く暴れん坊
すぐにでも飛び出しそうな荒々しさ
まるできかん坊のような騒ぎっぷりに
やわらかな視線を向ける私

にちようび
まちの穏やかなひととき
行き交う人々は別世界とともにある
あの人が好きだった季節は何色?
日の光は人の好みに合わせ七変化
再び歩き出した私は風の子を握りつぶす
風の子は私の指の隙間を滑り抜け
親なる大空のもとへ駆けていった
カラカラと夏の音がする
カラカラと笑う声がする

か弱きものへ

2020-08-15 19:44:19 | 


「か弱きものへ」

人生は勝ち負けではなくて、入れ替わりがあり、移り変わりがあって、私の立ち位置に誰か他の人が座り、私は行き場を見失って、だから何処かへ行かねばならず、さまよい、移ろいながら、年齢を重ね、なんとなくそれらしい気分でこの世の中でひっそりと暮らしていて、そんな自分でも生きていていいのかと、誰もが自然に思うことを変に難しく考えて、自分の存在価値なんてどこにも転がっていなくても誰かが拾い上げてくれるかもしれないし、自分でひねりだしてしまえばいいし、相容れない誰かをゆるすことだって我慢することではないし、放置することだって、無視することだって、忘却することだって、誰かの目からすれば「ゆるし」なのかもしれないし、私が紡ぎあげる未来がたとえ美しくなかったとしても、誰もそんなことに関心を示すことなく、ひとり落ち込んだところで何も変わらず、自分だけが惨めな思いをするのかもしれないし、こんな風に疾走し、遂には失速することですら、珍しいことでなく、誰にでもあることかもしれないし、とはいえ自分がこんな木偶の坊であることを認めることはやはり不本意なことではあるけれども、他人の目からすれば至極当然のことなのかもしれないし、無駄口を叩くこともなく、自分の駄目さ加減を早く認めれば、少しは楽に生きることができるかもしれない

そんな自意識過剰な人間存在である私は鎮魂の歌を七十五年のときが経ってもやはり唄おうと思うのだ

人間という、か弱きものへ

肩の荷を少し降ろそう